冬の定番暖房として親しまれてきた石油ストーブは、いつごろ、どのように家庭に広まってきたのでしょうか。
実は、石油ストーブの歴史は、石油コンロの開発から始まり、戦後の高度成長期に大きく広がり、その後、FF式や石油ファンヒーターへと枝分かれしてきました。
この記事では、石油ストーブメーカーの公式年表をもとに、石油ストーブの歴史を時代ごとにたどります。
- 戦前〜戦後すぐの、石油コンロから石油ストーブへの流れ
- 昭和30年代〜40年代の、石油ストーブの普及と技術の進歩
- 昭和50年代以降の、FF式・石油ファンヒーターの登場
- 平成以降の、電子点火や省エネ、乾電池不要の進化
石油ストーブの歴史をひとことで
石油ストーブは、石油コンロの技術を土台に、昭和30年代に家庭へ広がり、昭和50年代には排気を屋外に出すFF式や石油ファンヒーターが登場して、暖房の選択肢が広がってきました。
年表の概要は、次の表のとおりです。
| 時代 | 主な流れ |
|---|---|
| 戦前〜昭和20年代 | 石油コンロの開発と製造。戦後に生産を再開 |
| 昭和30年代 | 石油ストーブが本格的に家庭へ普及 |
| 昭和40年代 | ガラス燃焼筒や対流型が定着。ロングセラーが誕生 |
| 昭和50年代 | FF式温風暖房機・石油ファンヒーターが登場 |
| 昭和末〜平成 | クリーン燃焼・電子点火・省エネ機能などが進化 |
| 平成後半〜 | 乾電池不要など、使いやすさがさらに進化 |
戦前〜昭和20年代:石油コンロから始まる
石油ストーブの前身にあたるのが、石油(灯油や軽油など)を燃料にしたコンロです。
国内メーカーの公式年表によると、1930年代には石油コンロの研究・開発が進み、1937年(昭和12年)には石油コンロの製造販売が始まっています。
戦後は、1950年(昭和25年)に石油コンロの本格生産が再開され、1952年(昭和27年)には、戦後初の加圧式石油コンロや、別のメーカーによる石油コンロの販売も始まりました。
昭和30年代:石油ストーブが家庭に広がる

(※:日本初の加圧式石油ストーブSB型。コロナが1950年代に開発・発売したストーブが「機械遺産」に認定された。)
1955年(昭和30年)に加圧式石油ストーブ「SB型」が発売されて大ヒットし、これが石油ストーブの第一期黄金期の始まりとされています。
その後、1959年には対流型石油ストーブが生産され、石油ストーブが日本工業規格(JIS)の表示認可を受けるなど、品質面での基準も整っていきました。
また、1960年には落差式カートリッジタンク方式の石油ストーブが発売され、1960年にはガラス燃焼筒を採用した反射型ストーブも完成するなど、現在につながる基本的な形がこの時期に作られました。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1955年 | 加圧式石油ストーブ「SB型」が大ヒット |
| 1959年 | 対流型石油ストーブが生産開始。石油ストーブがJIS表示認可を受ける |
| 1960年 | 落差式カートリッジタンク方式の石油ストーブが発売。ガラス燃焼筒の反射型ストーブが完成 |
| 1961年 | ガラス芯を採用した石油ストーブが発売 |
昭和40年代:ロングセラーの誕生と輸出

昭和40年代に入ると、石油ストーブはさらに広く使われるようになります。
1967年にはロングセラーとなる石油ストーブが発売され、1966年には輸出も始まりました。
1974年には、あるメーカーの累計生産台数が250万台を超えたと年表に記されており、石油ストーブがすでに広く普及していたことがうかがえます。
対流式と反射式という、いまも続く2つの暖まり方の違いが、この時期の製品を通じて定着していきました。
種類の整理は、石油ストーブの種類を一覧で解説した記事でまとめています。
昭和50年代:FF式・石油ファンヒーターの登場
昭和50年代は、石油暖房の歴史の転換点にあたります。
1974年には、室内の空気を汚さない石油FF式温風暖房機が発表され、1979年には石油ファンヒーターが発売されました。
同じころ、燃焼を2段階に分けて排気をよりクリーンにする方式も開発されています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1974年 | 室内の空気を汚さないFF式温風暖房機が発表される |
| 1979年 | 石油ファンヒーターが発売される。2段階燃焼のクリーン方式も開発 |
| 1980年 | クリーン燃焼方式の石油ストーブが発売される |
| 1983年 | ストーブの排熱を利用した温水床暖房システムが開発される |
この時期から、「石油ストーブ」「石油ファンヒーター」「FF式」というように、暖房の選択肢が枝分かれしていきました。
FF式の特徴は、FF式石油ストーブの特徴を解説した記事で、ファンヒーターとの違いは、石油ファンヒーターと石油ストーブの違いを解説した記事で詳しく紹介しています。
昭和末〜平成:使いやすさと省エネの進化
昭和末から平成にかけては、点火や給油、省エネの面で使いやすさが大きく進化しました。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1993年 | 電子点火装置を石油ストーブに搭載 |
| 1995年 | 省エネセンサー付きストーブが登場。給油時に手や衣類が汚れにくいタンクを搭載したファンヒーターも発表 |
| 2003年 | 人感センサー付き石油ファンヒーターが発売される |
| 2010年 | 電気ヒーターと石油ファンヒーターを同時制御するタイプが発売される |
| 2012年 | 乾電池不要の石油ストーブが発売される |
電子点火の登場によって、マッチやライターなしで点火できるようになり、安全性と利便性が高まりました。
その後も、センサーによる省エネ運転や、電池が不要な点火方式など、使い勝手の面での進化が続いています。
歴史から見える、石油ストーブの特徴
歴史をたどると、石油ストーブは、「安全性」「燃焼のクリーンさ」「使いやすさ」を高める方向で進化してきたことがわかります。
一方で、基本の構造は、芯で灯油を吸い上げて燃やすという点で、現在も大きくは変わっていません。
仕組みは、石油ストーブの仕組みを図解した記事で解説しています。
| 進化のポイント | 内容 |
|---|---|
| 安全性 | 規格の整備、安全装置の搭載など |
| クリーンさ | 2段階燃焼、FF式(屋外排気)など |
| 使いやすさ | カートリッジタンク、電子点火、乾電池不要など |
| 選択肢 | ストーブ・ファンヒーター・FF式への多様化 |
古い石油ストーブを使い続ける場合は、安全装置や芯、パッキンなどの劣化に注意し、異常があれば使用を中止してください。
寿命や買い替えの目安は、石油ストーブの寿命を解説した記事も参考にしてください。
よくある質問
Q1. 石油ストーブは、いつごろから家庭に広まりましたか?
メーカーの公式年表では、1955年(昭和30年)に加圧式石油ストーブが大ヒットし、石油ストーブの第一期黄金期が始まったとされています。昭和30年代から家庭に本格的に広まり、その後も、年代とともに改良が重ねられてきました。
Q2. 石油ファンヒーターはいつ登場しましたか?
メーカーの年表によると、石油ファンヒーターが発売されたのは1979年(昭和54年)です。FF式の温風暖房機は、それ以前の1974年に発表されています。
Q3. 対流式と反射式は、昔からあるのですか?
どちらも昭和30年代にはすでに製品化されており、歴史の長い方式です。1959年に対流型、1960年にガラス燃焼筒の反射型ストーブが生産されています。
Q4. 昔の石油ストーブを今も使えますか?
使える場合もありますが、古い機種は部品の劣化が進み、安全装置も十分に働かないおそれがあります。
使用前に取扱説明書で点検項目を確認し、不安な場合は販売店やメーカーに相談してください。
Q5. 乾電池がいらない石油ストーブは、いつから?
メーカーの年表によると、乾電池不要の石油ストーブは2012年に発売されています。それ以前は、電池を使う電子点火式が広く使われていました。
まとめ
石油ストーブは、石油コンロの技術を土台に、昭和30年代に家庭へ広がり、その後も改良が続けられてきた暖房機器です。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 始まり | 戦前〜戦後の石油コンロが土台 |
| 普及 | 1955年のヒットを機に、昭和30年代に家庭へ |
| 枝分かれ | 1970年代にFF式・石油ファンヒーターが登場 |
| 進化 | 電子点火、省エネセンサー、乾電池不要など |
| 現在 | 基本の仕組みは変わらず、安全性と使いやすさが向上 |
歴史を知ると、いまの石油ストーブの仕組みや種類の違いも、理解しやすくなります。
まずは、お使いのストーブがどの時代の流れに近い機種かを、型式や取扱説明書で確認してみてください。

