「リフォームすると固定資産税が上がるって本当?」——そう心配する方がいる一方で、実はリフォームによって固定資産税が下がる制度もあることは、あまり知られていません。
この記事では、リフォームの内容によって固定資産税がどう変わるのか、上がるケースと下がるケースの両方を整理して解説します。
固定資産税が上がるケース:床面積が増える工事
固定資産税は、市区町村が算定する「固定資産税評価額」をもとに計算されます。
増築によって床面積が増えると、その増えた部分が新たに評価の対象となり、固定資産税評価額、ひいては税額が上がるのが基本的な仕組みです。
増築部分は、翌年度の固定資産税評価の際に、新築の建物と同様の基準で評価されます。
そのため、部屋を増やす、サンルームを増設する、ベランダを拡張するといった床面積が増える工事は、固定資産税が上がる方向に働くと理解しておきましょう。
なお、増築部分がどの程度の評価額になるかは、構造・仕様によって個別に算定されるため、増築を検討する際は、おおよその税額への影響をリフォーム会社や自治体の窓口に確認しておくと安心です。
固定資産税が変わらないケース:設備交換・模様替え
一方、キッチン・浴室・トイレなどの設備交換や、壁紙の張り替えといった、床面積に影響しない工事は、基本的に固定資産税評価額に影響しません。
「リフォームしたら固定資産税が上がるかもしれない」という不安から、必要な設備更新をためらう必要はありません。
評価額の見直しは、増築のように建物の規模・構造そのものが変わる工事が対象であり、既存の建物内での模様替え・設備更新は対象外です。
固定資産税が下がるケース:耐震・バリアフリー・省エネ改修
意外と知られていませんが、一定の要件を満たすリフォームを行うと、翌年度分の固定資産税が減額される制度があります。
対象となる工事の種類と、減額される割合は次のとおりです。
| 改修の種類 | 減額割合 | 減額対象の床面積の上限 |
|---|---|---|
| 耐震改修 | 固定資産税額の1/2 | 120㎡相当分まで |
| バリアフリー改修 | 固定資産税額の1/3 | 100㎡相当分まで |
| 省エネ改修 | 固定資産税額の1/3(長期優良住宅化の場合は2/3) | 120㎡相当分まで |
令和8年度の税制改正により、これらの固定資産税減額措置の適用期限は5年延長され、令和13年(2031年)3月31日までとなりました。
あわせて、対象となる住宅の床面積要件も見直され、上限が240㎡以下、下限が40㎡以上に緩和されています。
減額されるのは、あくまで工事が完了した年の翌年度分の1年度のみである点に注意が必要です。毎年継続して減額されるわけではありません。
減額を受けるための主な要件
それぞれの改修について、代表的な要件は次のとおりです(詳細は自治体によって案内が異なる場合があります)。
- 耐震改修:昭和57年1月1日以前に建築された住宅が対象で、現行の耐震基準に適合させる改修を行うこと。1戸当たりの改修工事費用が50万円を超えること
- バリアフリー改修:新築後一定年数が経過した住宅が対象で、通路の拡幅・手すりの設置・段差の解消等の工事を行うこと
- 省エネ改修:窓の断熱改修を含む工事を行い、改修後の部位が現行の省エネ基準に新たに適合すること。工事費用が一定額を超えること
耐震改修とバリアフリー改修は、同時に受けることができません(いずれか一方の選択)。一方、バリアフリー改修と省エネ改修は、同じ年に行えば併用して減額を受けられます。
どの組み合わせが可能かは工事内容によって細かく異なるため、リフォーム会社や自治体の窓口に事前に確認しておきましょう。
具体例で見る減額額のイメージ
実際にどの程度減額されるのか、簡単な例で確認してみましょう。
床面積140㎡の住宅で、固定資産税の課税標準額が840万円、税率1.4%(標準的な税率)の場合を想定します。
この住宅で、要件を満たす省エネ改修工事を行ったとします。
- 通常の固定資産税額:840万円 × 1.4% = 117,600円
- 減額対象となる床面積の割合:120㎡(上限)÷ 140㎡ = 約6/7
- 減額される金額:117,600円 × 約6/7 × 1/3 = 約33,600円
- 減額後の固定資産税額:117,600円 − 33,600円 = 約84,000円
このケースでは、翌年度の固定資産税が約3万円強軽減される計算になります。
床面積が120㎡(省エネ改修の上限)以下の住宅であれば、床面積全体が減額対象になるため、さらに大きな減額効果が期待できます。
※あくまで一例であり、実際の金額は住宅の評価額・税率・床面積によって異なります。正確な金額は自治体の窓口で確認してください。
申告の手続き
固定資産税の減額を受けるには、工事完了後3か月以内に、住宅が所在する市区町村へ申告することが原則です。
主な必要書類は次のとおりです。
- 申告書(各制度ごとに様式が異なる)
- 改修工事の内容を証する書類(増改築等工事証明書、または工事の領収書・費用明細書等)
- 改修前後が分かる写真
- 国・地方公共団体からの補助金を受けている場合は、その交付を証する書類
申告期限を過ぎると、減額を受けられなくなる可能性があります。
工事完了後は早めに、お住まいの市区町村の税務担当窓口に相談することをおすすめします。
自治体によって申告書の様式や必要書類が若干異なることもあるため、事前に自治体のホームページで確認するか、電話で問い合わせておくと手続きがスムーズです。
所得税の投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)と、この固定資産税の減額は別の制度であり、要件を満たせば両方の適用を受けられます。投資型減税の詳細は、リフォーム減税はローンを組まなくても使える?投資型減税の仕組みで解説していますので、あわせて参考にしてください。
補助金・減税と固定資産税減額の組み合わせ
耐震・バリアフリー・省エネ改修は、住宅省エネ2026キャンペーンなどの補助金の対象工事と重なる部分が多くあります。
補助金・所得税の減税(投資型減税)・固定資産税の減額は、それぞれ別の制度であり、要件を満たせば組み合わせて活用できる可能性があります。
リフォーム全体で利用できる補助金の分類については、リフォーム補助金一覧|「もう終了した制度」で探していませんか?もあわせて参考にしてください。
同じ耐震・バリアフリー・省エネという工事内容から、補助金・所得税減税・固定資産税減額の3つを重ねて活用できる可能性があるため、リフォーム会社に相談する際は、これらの制度をまとめて確認することをおすすめします。
よくある質問
Q. リフォームすると固定資産税は必ず上がりますか?
A. いいえ。増築のように床面積が増える工事は評価額の見直し対象になり税額が上がる方向に働きますが、設備交換や模様替えなど床面積に影響しない工事は、基本的に固定資産税評価額に影響しません。
Q. どんなリフォームで固定資産税が下がりますか?
A. 耐震改修(1/2減額)、バリアフリー改修(1/3減額)、省エネ改修(1/3減額、長期優良住宅化の場合2/3)が対象です。いずれも工事完了年の翌年度分の1年度のみ減額されます。
Q. 固定資産税の減額はいつまで申告すればいいですか?
A. 工事完了後3か月以内に、住宅が所在する市区町村へ申告するのが原則です。期限を過ぎると減額を受けられなくなる可能性があるため、工事完了後は早めに窓口に相談しましょう。
Q. 耐震改修とバリアフリー改修、両方の減額を受けられますか?
A. 受けられません。耐震改修とバリアフリー改修は、いずれか一方の選択適用となります。一方、バリアフリー改修と省エネ改修は、同じ年に行えば併用して減額を受けられます。
Q. 固定資産税の減額制度はいつまで利用できますか?
A. 令和8年度の税制改正により、適用期限は5年延長され、令和13年(2031年)3月31日までとなりました。あわせて対象住宅の床面積要件も緩和されています。
Q. 増築とあわせて省エネ改修も行った場合、固定資産税はどうなりますか?
A. 増築部分は床面積の増加として評価額に反映され税額が上がる方向に働き、省エネ改修部分は要件を満たせば翌年度分の税額が減額されます。両者は別々に計算されるため、増築による評価額の上昇と、省エネ改修による減額が、同じ住宅で同時に生じることもあります。
まとめ
リフォームによる固定資産税への影響は、工事内容によって正反対の結果になります。
増築で床面積が増えると税額が上がる方向に働く一方、耐震・バリアフリー・省エネ改修を行うと、翌年度分の税額が減額される制度が用意されています。
減額を受けるには工事完了後3か月以内の申告が必要なため、対象となる工事を検討している場合は、リフォーム会社や自治体の窓口に早めに相談することをおすすめします。

