MENU

灯油をこぼした布・新聞紙は自然発火する?捨てる前の注意点

灯油をこぼした布や新聞紙の自然発火の危険性と、捨てる前の注意点を紹介するサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

灯油をこぼして、ぞうきんや新聞紙で拭き取った。
そのあと、「このまま置いておくと、勝手に燃えだすのでは」と不安になる方は少なくありません。

この記事では、「自然発火」と「引火」の違いを整理したうえで、灯油がしみた布や新聞紙を、どこに置き、どう扱い、捨てる前に何をするかをまとめます。
こぼしたときの拭き取り全般は、別記事の灯油をこぼしたときの対処をご覧ください。

目次

自然発火と引火は、別のもの

まず、言葉を分けておきます。

言葉意味きっかけ
自然発火火源がなくても、物質が自分で熱を出して燃えだす酸化による発熱と、熱のこもり
引火可燃性の蒸気に、火や火花が近づいて燃える炎、火花、高温の物

灯油がしみた布で、特に注意が必要なのは、後者の「引火」です。
灯油の燃え方そのものは、別記事の灯油に火は付くのかで整理しています。

自然発火が起きる、典型的な例

東京消防庁の資料では、油脂による自然発火は、不飽和脂肪酸の酸化発熱によるものとされています。
油が布などにしみこんで表面積が広がり、その布が積み重なると、内部に熱がたまり、やがて発火する、という流れです。

項目内容
起きやすい油不飽和結合を多くもつ植物油、塗料(亜麻仁油など)
目安となる数値ヨウ素価(高いほど発熱しやすい傾向)
発熱しにくい油ひまし油など、不乾性油は、実験では発熱しなかった
条件布が重なる、湿度が高い、熱がこもる
実際の火災例マッサージオイルのしみたタオル、塗料のウエスなど

東京消防庁の管内では、「揚げかす、油布等」による自然発火火災が、年に11〜18件ほどあったと報告されています。
いずれも、植物油や塗料、美容用オイルなどが中心で、灯油の布は、この資料では取り上げられていません。

灯油は、自然発火しやすい油なのか

灯油は、炭素と水素からなる炭化水素の混合物で、石油から分けて作られます。
成分の詳しい話は、別記事で整理しています。

比べるもの植物油・塗料灯油
原料植物(脂肪酸のエステル)原油(炭化水素)
空気中での変化酸化して発熱し、固まる油があるゆっくり揮発する
火災のきっかけの典型布に重なって熱がこもる蒸気に火が近づく

そのため、灯油の布は、植物油の布のように、「重ねて置いただけで、自然に燃えだす」という説明が、公的な資料で定着しているものではありません。
ただし、「だから安全」ではありません。
次の章のとおり、別の理由で、危険性が増すからです。

布にしみこむと、なぜ危険が増すのか

熊本市の灯油の注意書きには、布などの繊維製品にしみ込んだ状態では、空気に触れる面積が大きくなるので、危険性は増大する、とあります。

状態起こること
液体のままの灯油表面からしか揮発しない
布や新聞紙にしみた灯油広い面積から揮発し、蒸気が増える
蒸気が増えた場所床に近い低い所にたまりやすい
そこへ火や火花が来る一気に燃え広がるおそれがある

灯油の蒸気は空気より重く、低い所にたまります。
そのため、離れた場所の火気や、スイッチの火花でも、引火するおそれがあります。

拭いたあとの布・新聞紙を置く場所

拭き取り終えたら、その場に放置せず、次の順で扱います。

手順内容
1周りの火気(ストーブ、コンロ、たばこ)を止める
2布や新聞紙を、重ねずに広げる
3風通しのよい屋外へ運ぶ
4火気、車の排気、直射日光から離して置く
5灯油のにおいが、ほぼ消えるまで乾かす

灯油は揮発するため、風通しのよい場所で乾かすと、においが和らぎます。
ただし、においが消えたあとも、完全に安全とは言い切れません。
ごみに出す前に、自治体の案内を確認してください。

やってはいけない置き方

NG理由
ゴミ袋に入れて、口を縛ったまま室内に置く蒸気が袋にこもり、においも抜けない
灯油布を何枚も重ねて、物置の奥に置く風通しが悪く、蒸気がたまる
ストーブやヒーターの近くで乾かす熱で蒸気が増え、引火のおそれが高まる
乾燥機に入れる熱がかかり、蒸気に引火するおそれがある
車内や玄関先にそのまま置く蒸気がたまり、火花やエンジンの熱が近い
紙や布の山に混ぜる灯油布だけを見分けられなくなる

灯油が衣類についたときの洗い方は、別記事の灯油が服についたときのにおい対策にまとめられています。
衣類は、においが和らいでから洗い、乾燥機は避けてください。

捨てる前に、自治体へ確認する

灯油がしみた布や新聞紙を、燃えるごみに出せるかは、自治体ごとに異なります。
今回調べたいくつかの自治体の案内でも、灯油がしみた布の出し方は、案内ページには直接書かれておらず、担当窓口への確認を勧めるものでした。

確認先内容
自治体のごみ担当窓口灯油のしみた布・紙の出し方
ごみ分別の冊子「油のついた布」などの項目
灯油の購入店・ガソリンスタンド引き取りの可否、相談

確認が取れるまでは、屋外の風通しのよい場所で、火気から離して保管します。
灯油そのものは、下水や側溝へ流してはいけません。
灯油を流した場合の影響は、別記事で詳しく整理されています。

量が多いとき、広い範囲を拭いたとき

少量のにじみと、大量にこぼした場合では、考え方が変わります。

こぼした量布・新聞紙の扱い
数滴〜少量広げて乾かしてから、自治体のルールで処分
ぞうきんが、しっとり重くなる量屋外で広げて乾かし、においの状態を見る
ぞうきんが、ぼたぼた垂れる量絞らず、口の閉じる金属缶や丈夫な容器へ入れ、窓口へ相談
床一面にこぼした吸着マットなどを使い、大量なら消防や販売店へ連絡

大量の灯油を含んだ布は、通常のごみと同じ扱いにしないでください。
灯油の販売店や、自治体に、扱いを尋ねるのが確実です。

再発・事故を防ぐポイント

NITE(製品評価技術基盤機構)の事故事例では、ストーブなどの消火後、再点火時にこぼれた灯油へ引火した事故や、高温の燃焼部に灯油がこぼれて発火した事故が報告されています。
灯油をこぼした場所では、布の扱いと同時に、周りの火気にも注意します。

場面注意
給油するとき必ず消火してから行う
給油したあとふたを確実に閉め、漏れがないか確かめる
ストーブの上にこぼした再点火せず使用を中止し、販売店などへ相談する
消火した直後燃焼筒が熱いため、灯油がかかると発火するおそれがある

拭き取りの布を乾かしている間にも、近くで火を使わないようにしてください。

灯油の布を、屋外で乾かすときのコツ

屋外で乾かすといっても、置き方によって、乾き方も安全性も変わります。

ポイント内容
場所風通しがよく、人や車が通らない場所
置き方物干しざおなどにかけるか、地面に広げる。丸めない
時間帯日中の、風がある時間帯。夜間は避ける
周囲近くで、たばこ、火を使う作業、草刈り機などを使わない
見張り子どもやペットが触れない場所にする
雨・雪濡れると乾かないため、屋根のある場所に移す

直射日光で温度が上がりすぎるのも、好ましくありません。
日陰の風通しのよい場所が、扱いやすいでしょう。
集合住宅のベランダで乾かすときは、隣家への蒸気の流れや、避難経路をふさがないことにも気を配ってください。

乾かしている間に、においがほとんどしなくなったら、自治体の案内に沿って処分します。
においが強く残っている布を、ごみ置き場へそのまま出すことは避けてください。
収集の際に、ほかのごみと一緒に圧縮されたり、火を使う場所の近くで保管されたりするおそれがあるためです。

拭き取りに使うものによる違い

家庭にあるものは、どれも灯油を吸いますが、扱いやすさは異なります。

使うもの特徴注意点
新聞紙手軽で、すぐ使える破れやすく、量が多いと何枚も必要になる
ぞうきん・古布吸う量が多い洗って再利用せず、捨てる前提のものを使う
キッチンペーパー少量のにじみに向く吸う量に限りがある
市販の油吸着マット油を吸い、水は吸いにくい使用後は、商品の案内に沿って処分する

大切なのは、使ったものを、きれいな布と混ぜないことです。
灯油のしみた布を洗濯物の山に入れたり、掃除用の布の袋に戻したりすると、においが移るだけでなく、取り扱いを忘れる原因になります。
灯油用と決めた古布を、1か所にまとめておくと便利です。

においが残るときの考え方

乾かしても、においが残ることがあります。
灯油は、成分が揮発することでにおいが薄れますが、布の繊維の奥に残ると、時間がかかります。

状況考え方
数時間〜1日で、においが薄くなるそのまま乾かし続ける
数日たっても強いにおいが残る無理に再利用せず、処分を検討する
室内にまだにおいがこもっている窓を開け、換気を続ける

においが残る布を、室内のクローゼットや押し入れへ戻さないでください。
においだけでなく、蒸気がこもる点でも、好ましくありません。

家庭で備えておくと安心なもの

灯油をこぼす場面は、突然やってきます。
次のようなものを、給油用品の近くにまとめておくと、慌てずに済みます。

備え理由
灯油用と決めた古布拭き取りに使い、捨てる前提にできる
新聞紙少量のこぼれにすぐ使える
ゴム手袋手に灯油がつくのを防ぐ
口の閉じる丈夫な袋・缶一時的な保管に使う
自治体のごみ分別表捨て方を、その場で調べられる

これらを、ストーブや火気から離れた場所に置いておくことも大切です。
備えのための道具が、火元の近くにあっては、意味がありません。

よくある質問

Q1. 灯油をこぼした布を、積んでおくと自然発火しますか?

自然発火の典型例は、植物油や塗料をしみこませた布です。
灯油の布が、同じように自然発火する、とまとめた公的な資料は、今回調べた範囲では見当たりません。
ただし、蒸気に火が近づけば引火するため、重ねず、屋外で風通しよく乾かしてください。

Q2. 灯油を拭いた新聞紙は、燃えるごみに出せますか?

自治体によって扱いが異なります。
ごみの担当窓口か、分別の冊子で、先に確認してください。
確認できるまでは、屋外の風通しのよい場所で、火気から離して保管します。

Q3. 灯油がしみた布を、洗濯機で洗ってもよいですか?

においが和らぐまで風通しのよい場所で乾かしてから洗います。
乾燥機は使わないでください。
においが強い場合は、洗濯せず、クリーニングへの相談も考えられます。

Q4. 布をビニール袋に入れて、においを閉じ込めてもよいですか?

口を縛った袋の中に、蒸気がこもり続けます。
一時的に屋外に置くとしても、日なたや火気の近くは避け、早めに自治体の案内に沿って処分してください。

Q5. 少しだけこぼしたときも、同じ扱いですか?

数滴程度なら、布を広げて風通しのよい場所で乾かし、においが消えるのを待つ方法でよいでしょう。
それでも、乾かしている間は火気を近づけないでください。

まとめ

灯油をこぼした布・新聞紙の扱いを、最後に整理します。

ポイント内容
自然発火典型例は、植物油や塗料をしみこませた布
灯油の布の危険蒸気が増えて、火や火花に引火しやすくなる
置き方重ねず広げ、屋外の風通しのよい場所で、火気から離す
やってはいけないこと乾燥機、ストーブの近く、袋に入れて室内放置
捨て方自治体の窓口や販売店に確認してから出す
量が多いとき通常のごみと同じにせず、販売店や窓口へ相談

まずは、お住まいの自治体のごみ分別表で、「油のついた布」の項目を、一度探してみませんか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次