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灯油が目に入った時の応急処置とは|洗い流し方と受診の目安

灯油が目に入った時の応急処置について、水道の蛇口から流れる水と灯油ポリタンクで表現したサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

給油中に灯油が跳ねて、目に入ってしまった。
そのとき、最初の数分間の動きが、そのあとの経過を左右します。

この記事では、灯油が目に入ったときの洗い流し方、やってはいけないこと、受診の目安、病院で伝えることを順番に整理します。
灯油を飲み込んだ場合は、別記事の灯油を飲んだ時の応急処置をご覧ください。

目次

最初の1分でやること

灯油が目に入ったら、迷わず「水で洗う」ことから始めます。

順番やること
1目をこすらない
2すぐに、水道の流水で洗い始める
3洗いながら、まぶたを指で開く
4コンタクトレンズが容易に外せるなら、外す
5洗浄を続ける(最低15分)
6洗い終えたら、医師の手当てを受ける

最も大切なのは、洗い始めるまでの早さです。洗眼薬を探したり、誰かを呼んだりして、時間を使わないでください。
水道水で、すぐ始めることが優先です。

洗い流し方の手順

石油会社が公開している灯油の安全データシート(SDS)には、眼に入った場合として、清浄な水で数分間注意深く洗い、コンタクトレンズを外せるなら外し、最低15分間洗浄した後に医師の手当てを受ける、という趣旨の記載があります。
これをもとに、家庭でやりやすい形に直すと、次のようになります。

項目方法
水水道水を、弱めの流水にして使う
姿勢洗う側の目を下にして、顔を横に傾ける
水の当て方目頭側から目尻側へ流れるように当てる
まぶた指で上下に開き、目の表面全体に水が当たるようにする
水圧強すぎると痛いため、やさしい流れにする
時間最低15分。時計やタイマーで測る

水道の蛇口の位置が使いにくいときは、洗面器にぬるめの水をため、顔をつけてまばたきを繰り返す方法もあります。
その際は、水を替えながら続けてください。
お風呂場なら、シャワーを弱くして、額のあたりから流す方法も使えます。

両目に入ったとき、一人しかいないとき

状況対応
片方の目だけに入った入った側を下にして洗い、もう一方に流れ込まないようにする
両目に入った両目を同時に流水へ当てる。シャワーが使いやすい
周りに人がいる洗い続ける間に、受診先の確認や連絡を頼む
一人しかいない洗浄を優先し、洗い終えてから電話をかける
痛くて目が開かない水で洗いながら、指で少しずつ開く

灯油を浴びたのが、目だけではないことも少なくありません。
顔や服についたときは、洗浄が一段落したあと、汚れた衣類を脱ぎ、皮膚を多めの水と石けんで洗います。

やってはいけないこと

NG理由
目をこする角膜(黒目の表面)を傷つけるおそれがある
目薬でごまかす市販の目薬では、洗い流す量が足りない
自己判断で洗浄を早く切り上げる15分は最低ラインと考える
灯油で汚れた手で、目に触れる指に付いた灯油が、さらに目に入る
無理にコンタクトを外そうとして、目を傷つける外せるときだけ外す
痛みが引いたからと、そのままにする痛みが消えても、傷が残る場合がある

コンタクトレンズは、容易に外せる場合だけ外します。
外しにくいときは、無理をせず洗浄を続け、医療機関で外してもらってください。

灯油の安全データシート(SDS)には、何と書かれているか

石油販売会社などが公開しているSDSは、灯油の危険有害性を整理した資料です。
灯油のSDSの一例では、眼への影響と周辺の項目が、次のように整理されています。

スクロールできます
項目内容
眼に対する刺激性試験で刺激性が認められなかったとして、区分に該当しないとされている例がある
皮膚への刺激性人で、皮膚への接触により刺激性が認められた
誤えん(飲み込んで気道に入る)生命に危険のおそれがあり、区分1とされている
眼に入った場合の応急措置数分間洗い、コンタクトを外し、最低15分洗浄して、医師の手当てを受ける

SDSの書き方は、会社や製品によって異なります。
また、「眼への刺激が区分に該当しない」ことは、洗わなくてよいという意味ではありません。
実際には、異物感や充血、痛みが出ることがあります。
SDSの応急措置は、洗浄の後に医師の手当てを受ける、という流れです。

洗ったあと、受診するか迷ったとき

最低15分洗ったあとは、医師の手当てを受けるのが、SDSに沿った流れです。
そのうえで、次の症状があるときは、特に急いで受診します。

症状受診の目安
強い痛みが続くすぐ眼科へ
目が開けられないすぐ眼科へ
ものがかすんで見えるすぐ眼科へ
光がまぶしくて、目を開けていられないすぐ眼科へ
充血や涙が止まらない当日中に受診
ごろごろした異物感が残る当日中に受診
症状が軽くなった念のため、受診して確認する

受診先は、眼科が基本です。
夜間や休日で眼科が開いていないときは、救急に対応している医療機関を探します。
お住まいの地域で救急安心センター(#7119)などの電話相談が使える場合は、受診先の相談に使えます。
命に関わるような症状(呼吸が苦しい、意識がもうろうとする)があるときは、ためらわず119番へ連絡してください。

受診するときに伝えること

伝えること内容
何が入ったか灯油(白灯油)。ガソリンや軽油が混ざっていないか、分かる範囲で
いつ入ったか何時ごろか
どれくらい洗ったか洗った時間と方法
コンタクトの有無装着していたか、外したか
他の症状皮膚の痛み、においで気分が悪いなど
持ち物分かれば、購入店や容器の表示

灯油にガソリンや軽油が混ざっていた可能性があるときは、必ず伝えてください。
混ざり物の種類によって、注意すべき点が変わるためです。

目だけでなく、顔・皮膚・においも気をつける

灯油が目に入る場面では、顔や服にも灯油がついていることが多くあります。

部位・状況対応
顔の皮膚石けんと多めの水で洗う。こすらない
衣類汚れた服は脱いで、風通しのよい場所へ置く
手洗ってから、目や口に触れる
においで気分が悪い風通しのよい場所へ移り、休む
火気ストーブやたばこの火を、先に消す

灯油は、衣類にしみこんだ状態で火に近づくと、燃えやすくなります。
灯油の燃え方については、別記事の灯油に火は付くのかで整理しています。
目の洗浄を始める前に、ストーブなどの火気が近くで使われていないかを、ひと目だけ確かめてください。

子どもが灯油を目に入れたとき

小さな子どもは、嫌がって目を閉じ、洗浄が続けにくくなります。

場面対応
嫌がって暴れる大人が二人で、一人は体を支え、一人が水を当てる
洗面台が使えないお風呂場でシャワーを弱くして使う
泣いて目を開けない泣くと涙で洗い流される。水を当て続ける
洗ったあと年齢にかかわらず、医療機関で診てもらう

子どもが灯油を口に入れた疑いがあるときは、無理に吐かせずに、医療機関や相談窓口へ連絡してください。
詳しくは、前述の灯油を飲んだ時の応急処置をご確認ください。

液体が入ったときと、蒸気でしみるとき

目が痛くなる場面は、灯油が直接入ったときだけではありません。
給油中に、においの強い蒸気で、目がしみることもあります。

状況考え方
液体が目に入った流水で最低15分洗い、医師の手当てを受ける
においでしみる程度風通しのよい場所へ移り、まばたきや水洗いで様子を見る
室内で給油して、においがこもった窓を開けて換気し、作業を中断する
しみる症状が長く続く眼科に相談する

蒸気でしみるだけの場合は、液体が入ったときほど急ぐ必要はありません。
ただし、においが強いほど、換気が足りていない合図です。
給油は、風通しのよい屋外で行うのが基本です。

15分が長く感じるときの考え方

実際に洗ってみると、15分はとても長く感じます。
痛みが少しやわらぐと、「もう十分だろう」と切り上げたくなります。
けれども、目の表面に残った油分は、見た目では分かりません。

洗浄の時間は、感覚ではなく、時計で測ってください。
スマートフォンのタイマーを15分にセットして、洗い場の近くに置いておくと、途中でやめずに済みます。
洗っている間にも、まばたきをして、目の表面に水が行き渡るようにします。

水が冷たすぎて続けにくいときは、ぬるま湯に切り替えても構いません。
大切なのは、洗浄を途切れさせないことです。

洗ったあとの過ごし方

洗い終えて、医療機関へ向かうまで、あるいは受診したあとの過ごし方も整理しておきます。

場面注意点
受診までの移動自分で運転せず、家族や公共交通機関を使う
目の状態こすらず、清潔なガーゼやタオルで軽く押さえる
痛みがあるとき無理に目を開けて確かめようとしない
受診後医師の指示した点眼や通院の予定を守る
数日後充血、かすみ、痛みが戻らないか確認する

洗い終えて痛みが和らいでも、視界がかすんでいるときは、運転を避けてください。
運転中に見えにくくなると、事故につながります。

職場・店舗・家庭で備えておくもの

灯油を扱う機会が多い職場や、家庭の給油場所には、次のような備えがあると安心です。

備え内容
洗眼できる水場給油場所の近くに、蛇口やホース付きの水栓があると早く洗える
保護めがね液体の跳ねを防ぐ。普段のめがねでも、ないよりは役に立つ
受診先のメモ近くの眼科と、夜間・休日に対応する医療機関を控えておく
緊急連絡先家族の連絡先、救急相談の電話番号
時計・タイマー15分を測るため、洗い場の近くに置く

灯油を扱う場所の近くに水場がない場合は、給油の場所そのものを見直すことも考えられます。
給油場所が、室内や水場から遠いときほど、洗い始めが遅れるためです。

灯油が目に入るのを防ぐには

場面工夫
給油するとき保護めがね、ゴム手袋をつける
ポンプを使うとき自動停止タイプを選び、ホースが外れないよう確認する
缶を傾けるとき顔を缶の口から離し、注ぎ口を見下ろさない
風の強い日風上に立たず、風下側で作業する
缶を運ぶときキャップをしっかり閉め、缶を振らない
子どもがいる家庭給油中は、近づけない

特に、ポンプのホースが缶から外れる、注ぎ口から灯油が跳ねる、という場面で、目に入る事故が起きやすくなります。
給油の姿勢を少し変えるだけでも、リスクは下がります。

よくある質問

Q1. 灯油が目に入ったとき、目薬を差せばよいですか?

目薬では足りません。
まず、水道水で最低15分洗い流してください。
洗ったあとに、医師の手当てを受けます。

Q2. 痛みが引いたら、病院に行かなくてもよいですか?

SDSでは、洗浄のあとに医師の手当てを受けることとされています。
痛みが引いても、角膜に傷が残ることがあるため、念のため受診して確認してください。

Q3. コンタクトレンズをしたまま洗ってもよいですか?

容易に外せるなら、外してから洗います。
外しにくいときは、無理に外さず、洗浄を続けて、医療機関で外してもらってください。

Q4. 水道水で洗って、目に害はありませんか?

清浄な水で、数分間注意深く洗う、とSDSにも書かれています。
強い水圧は避け、やさしい流れで続けてください。
洗眼薬を探して時間を使うより、水道水ですぐ洗うことを優先します。

Q5. 灯油とガソリンで、対応は違いますか?

目に入ったときの基本は、流水で洗う、という点で同じです。
ただし、ガソリンなどは別の危険性があるため、混ざった可能性があるときは、受診時に必ず伝えてください。

まとめ

灯油が目に入ったときの対応を、最後に整理します。

ポイント内容
最初の動きこすらず、すぐ流水で洗う
洗う時間最低15分。時計で測る
コンタクト容易に外せるなら外す
洗ったあと医師の手当てを受ける(眼科が基本)
急ぐ症状強い痛み、目が開かない、かすむ、まぶしい
予防保護めがね、自動停止ポンプ、風上に立たない

まずは、給油用の缶やポンプを置いている場所に、保護めがねとゴム手袋を一組、そろえてみませんか。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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