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2026年冬の灯油が北海道だけ高いのはなぜ?輸入と供給の仕組みを解説

雪が積もった北海道の屋外灯油タンクと、2026年冬の灯油価格が高い理由を輸入・供給の流れとともに紹介するサムネイル
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

2026年の秋、北海道の灯油は全国の平均より高い水準になっています。
結論から言うと、北海道だけ高くなる主な理由は、道外から運ぶ灯油の割合が大きいこと、冬の需要が早く大きいこと、10月に卸売りの動きが一気に出たことの3つが重なったためです。
どれも、北海道の地理と暮らし方に根ざした事情であり、原油価格だけでは説明しきれません。

この記事では、全国との価格差のデータを確認したうえで、高くなる4つの理由、全国向けの補助で差が埋まりにくい理由、冬前にできる備えを整理します。
今後の価格の見通しや、補助の金額と期間そのものは、別の記事で扱っているため、ここでは「なぜ北海道だけ高いのか」という仕組みに絞って解説します。

目次

まず確認|北海道は全国より、どれくらい高いのか

数字を見ると、差の大きさと、その差が最近になって開いたことが分かります。
資源エネルギー庁の石油製品価格調査をもとにした10月中旬の集計では、18L当たりの店頭価格が、北海道で2,799円、全国平均で2,563円でした。
配達価格では、北海道が2,847円、全国平均が2,749円です。 1Lに直すと、店頭で約13円、配達で約5円ほど、北海道のほうが高い計算になります(当サイト計算)。

項目(10月中旬)北海道全国平均差(1L換算)
店頭価格(18L)2,799円2,563円約13円
配達価格(18L)2,847円2,749円約5円
参考:最も高い地域沖縄 2,938円(店頭)――
参考:最も安い地域福岡 2,471円(店頭)――

ここで押さえておきたいのは、北海道が「全国で一番高い」わけではない点です。
店頭価格では沖縄のほうが高く、北海道は高いほうから2番目という位置です。
それでも北海道が話題になるのは、灯油の使用量が桁違いに多い地域であり、わずかな差でも家計への影響が大きいからです。

もうひとつ注目したいのは、時期による変化です。
今年の3月下旬の時点では、北海道の配達価格は、1L当たり148.4円で、全国平均より3.3円ほど安い水準でした。
それが10月下旬には、道内の報道で1L当たり158.8円となり、全国の153.5円を上回っています。
つまり、北海道は「もともと高い」のではなく、この秋に逆転して高くなったという動きが、今回の話題の中心です。

📎 出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」

なお、ここで挙げた数字は、報道や集計サイトが紹介しているものを整理したものです。
最新の価格は毎週更新されるため、公開時点の数字は、資源エネルギー庁の調査ページで確認してください。

北海道だけ高くなる4つの理由

理由は、ひとつではありません。 構造的な事情が3つあり、そこに今年10月の事情が重なった、という見方が分かりやすいと思います。

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理由内容性格
① 道外から運ぶ灯油が多い輸入灯油や本州で作られた灯油の割合が大きく、船賃や為替の影響を受けやすい構造的
② 道内の製油所が1か所道内の供給は苫小牧の製油所に頼る形で、足りない分は道外から移入する構造的
③ 冬の需要が早く大きい暖房の開始が早く、1世帯当たりの使用量も多いため、仕入れの動きが先に出る構造的
④ 10月の卸売りの動き元売りの卸値が1週間で10円を超えて動き、供給の目詰まりも報じられた今年の事情

理由①|道外から運ぶ灯油の割合が大きい

道内の報道では、北海道で流通する灯油のうち、輸入灯油などが約3割を占めるのに対し、全国では約1割にとどまると紹介されています。
輸入灯油は、国際的な相場、為替、船賃の影響を直接受けます。
そのため、円安が進んだときや、中東情勢などで海上輸送のコストが上がったときに、北海道のほうが先に、大きく価格へ響きやすい構造です。

これは、国の補助が「元売りへの支給を通じて、全国どこでも同じ考え方で入る」仕組みであることとも関係します。
補助は全国の卸値を押し下げますが、輸入分の割合が高い地域では、補助で下がる部分以外の要因が、もともと大きいのです。

理由②|道内の製油所は1か所で、足りない分は船で運ぶ

道内の石油の製油所は、現在は苫小牧の1か所です。
室蘭の製油所は、2014年に原油の処理を止めており、現在は油の受け入れや出荷の拠点という位置づけです。
道内の需要を道内の製油所だけで賄うことは難しく、足りない分は本州の製油所から船で移入しています。

本州の各地には複数の製油所があり、陸路でも海路でも、近くから灯油を運べます。
一方、北海道は海を越えて運ぶ必要があり、輸送の手間とコストが、価格に上乗せされやすい地域です。
天候が荒れて船が遅れると、特定の地域で在庫がひっ迫し、卸値が上がる要因にもなります。

理由③|冬の需要が早く、大きい

北海道は、暖房を使い始める時期が早く、使う期間も長い地域です。
環境省の家庭部門CO2統計では、世帯当たりの年間の灯油の支払額が、北海道で約7.9万円、全国平均で約1.3万円と、約6倍の開きがあります。
家庭のエネルギー消費に占める灯油の割合も、北海道は5割を超えるのに対し、全国では2割弱です。

📎 出典:環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」

需要が大きく、しかも早く立ち上がるため、販売店や卸売業者は、秋の早い時期から冬の仕入れを増やします。
この「仕入れの動きが先に出る」ことが、10月の価格の動きを大きくしたと考えられます。
暖房を使う量が多い分、価格の変化が、そのまま家計の負担の変化になる点も、北海道ならではです。

理由④|今年10月に起きた卸売りの動きと、供給の目詰まり

3つの構造的な事情に加えて、今年は10月に特有の動きがありました。
元売りの卸値が、1週間で10円を超えて上昇したと伝えられ、道内の消費者団体からは、供給の「目詰まり」が起きているという指摘も出ています。
これは、冬の本格的な需要を前に、出荷の調整や仕入れの前倒しが重なった結果とみられます。

この動きは、一時的な面もあります。
ただし、元売りの出荷や在庫の状況は日々変わるため、いつ落ち着くかはっきり言い切ることは難しい状況です。
価格の今後の見通しについては、灯油価格が下がる見通しを整理した記事で詳しく解説しています。

全国向けの補助が入っても、北海道の差が残る理由

ガソリンや灯油には、価格の急な上昇を抑えるための国の補助があります。
補助は、全国で共通の考え方で元売りへ支給されるため、全国の価格が同じ幅で下がるはずなのに、北海道の「上乗せ分」は残るという形になります。
先ほどの4つの理由は、いずれも補助の対象ではなく、北海道の地理や需要に由来する部分だからです。

また、冬場には、輸入灯油の価格を調整するための単価が、期間を区切って設定される場合もあります。
詳しい金額や期間は、公表のたびに見直されるため、最新の情報を資源エネルギー庁の発表で確認してください。

つまり、補助があっても、「全国との差」そのものは、自然には縮まりにくいということです。
そのため、北海道では、国の補助に加えて、市町村の独自の支援が重要になります。

北海道で暮らす人が、冬前にできること

価格そのものは自分で変えられません。 けれども、買い方と使い方を工夫することで、負担を抑えられます。

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やること内容
店頭と配達を比べる店頭と配達で、価格差が違う時期がある。ホームタンクの人は複数の販売店に見積もりを聞く
市町村の福祉灯油を調べる低所得世帯などを対象に、灯油代を助成する制度を設けている自治体がある。対象と申請期限は自治体の窓口で確認する
買いだめを避ける一度に多く買うと、保管の安全面でも、盗難のリスクの面でも不利になる。必要な量を、こまめに買う
残量を確認する灯油の残りを早めに確認し、価格が大きく動く時期に慌てて買わないようにする
暖房の使い方を見直す断熱や、使っていない部屋の暖房を止めるなど、使用量を減らす工夫で、価格の影響を和らげる

特に、灯油を何十リットルも家の外に置いたまま長く保管する買いだめは、避けたほうが安全です。
火災や、盗難のおそれがあるためです。 盗難への備えについては、灯油の盗難対策グッズを解説した記事で整理しています。

よくある質問

Q1. 北海道の灯油は、全国で一番高いのですか?

一番ではありません。
10月中旬の集計では、店頭価格は沖縄のほうが高く、北海道は高いほうから2番目でした。
ただし、北海道は使用量が多いため、わずかな差でも家計への影響が大きくなります。

Q2. 北海道の灯油は、いつから高くなったのですか?

今年の3月下旬の時点では、北海道の配達価格は、全国平均より3円ほど安い水準でした。
それが10月に入って、元売りの卸値の上昇と供給の目詰まりが重なり、全国平均を上回りました。
つまり、もともと高かったのではなく、秋に逆転した形です。

Q3. 国の補助があるのに、なぜ北海道は高いままなのですか?

補助は全国共通の考え方で入るため、全国の価格が同じように下がります。
北海道の上乗せ分は、道外から運ぶ灯油の割合や、製油所の少なさ、冬の需要の大きさといった構造的な事情によるものです。
補助では、この部分までは変わりません。

Q4. 今のうちに、たくさん買っておいたほうがいいですか?

おすすめしません。
大量に保管すると、火災や盗難のおそれが高まります。
残りの量を確認して、必要な分をこまめに買うほうが安全です。

Q5. 灯油代の負担が重いとき、頼れる制度はありますか?

市町村によっては、福祉灯油として、灯油代を助成する制度があります。
対象の世帯や申請の期限は自治体ごとに違うため、お住まいの市町村の窓口やホームページで確認してください。

まとめ

北海道の灯油が全国より高くなったのは、構造的な事情に、今年10月の動きが重なったためです。 最後に、この記事のポイントを整理します。

ポイント内容
価格差10月中旬の店頭価格は、北海道が全国より1Lで約13円高い。ただし、沖縄のほうが高い
変化3月は全国より安かったが、秋に逆転した
理由①道外から運ぶ灯油の割合が大きい
理由②道内の製油所は1か所で、足りない分は船で移入する
理由③冬の需要が早く大きく、仕入れの動きが先に出る
理由④10月に、元売りの卸値の上昇と供給の目詰まりがあった
補助全国共通のため、北海道の上乗せ分は残りやすい
備え店頭と配達を比べる、福祉灯油を調べる、買いだめは避ける

まずは、お住まいの市町村の福祉灯油の案内と、いつもの販売店の最新の価格を確認してみてください。 そのうえで、灯油の残量を見て、必要な分だけを無理なく買い足すことをおすすめします。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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