ポストに「水道料金 督促状」と書かれた封筒が入っていると、驚いて不安になる方が多いと思います。
ですが、督促状が届いた段階では、すぐに水が止まることはほとんどありません。
督促状は「支払い忘れがありますよ」というお知らせであり、記載された期限までに支払えば、多くの場合それで解決します。
一方で、督促状を放置し続けると、催告書・給水停止の予告と段階が進み、最終的に水道が止められてしまう可能性があります。
この記事では、督促状が届いてからどう対応すればよいのか、放置した場合に何が起こるのか、延滞金や時効・差押えといったお金の話まで、水道法や自治体の公式情報をもとに整理します。
ポイント
督促状は「まだ間に合う」サインです。
一番よくないのは、書面を見ずに放置してしまうことです。
支払えるなら早めに支払い、支払いが難しいなら給水停止の前に水道局へ相談することが、最も確実な解決方法です。
水道料金の督促状とは?請求書との違い

督促状とは、支払期限(納期限)を過ぎても入金が確認できないときに送られる「支払いの請求(催促)」のことです。
毎月(または2か月ごと)に届く検針票や請求書(納入通知書)とは役割が異なり、督促状は「期限を過ぎています」という一歩進んだ通知にあたります。
近年は、検針や料金徴収の業務を自治体が民間の委託業者に任せているケースが増えています。
そのため、督促状の差出人が「◯◯市上下水道局」ではなく委託業者名になっていることもありますが、正規の通知であることに変わりはありません。
差出人や記載の連絡先に見覚えがない場合は、自治体名と「水道局」で検索し、公式サイトの連絡先と照らし合わせて確認すると安心です。
自治体によっては、督促状の送付時に督促手数料や延滞金が加算される場合があります。
金額や有無は各自治体の条例・供給規程によって異なるため、通知に記載された金額の内訳を確認しておきましょう。
督促状を放置するとどうなる?給水停止までの流れ

結論から言うと、督促状を無視して支払いをしないままでいると、「督促 → 催告 → 給水停止の予告 → 給水停止」という段階を経て、最終的に水道が止められます。
ただし、いきなり止まるわけではなく、通常は複数回の通知による猶予が設けられています。
一般的な流れは次のとおりです。
段階の呼び方や時期は自治体によって異なりますが、大枠は共通しています。
| 段階 | 通知名(例) | 時期の目安 | この段階でやること |
|---|---|---|---|
| ① 請求 | 納入通知書・請求書 | 検針後 | 納期限までに支払う |
| ② 督促 | 督促状 | 納期限の約20日後〜1か月後 | 期限までに支払う/払えなければ相談 |
| ③ 催告 | 催告書・勧告書 | 督促からさらに数週間〜1か月後 | 早急に支払う/必ず水道局へ連絡 |
| ④ 予告 | 給水停止(処分)予告通知 | 催告後 | 予告日までに支払えば停止を回避できる |
| ⑤ 停止 | 給水停止 | 予告日を過ぎても未納の場合 | 未納分を納付し、開栓を依頼する |
自治体によっては、催告と給水停止予告が1通にまとめられていたり、逆に段階がもう少し細かく分かれていたりします。
たとえばある自治体の規程では、督促状は納期限後20日以内、催告書はその翌月25日以内に送付すると定められています。
別の自治体では、督促状 → 催告書 → 給水停止処分予告通知書 → 給水停止処分通知書と、数回にわたって通知したうえで停止するとしています。
📎 出典:給水停止について(松本市)
📎 出典:水道給水の停止に関する規程(由仁町)
給水停止には法律上の根拠がある
「水は生活に欠かせないのに、止めるのは違法では?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、料金の未払いを理由とした給水停止は、水道法第15条第3項に定められた正当な手続きです。
同項では、給水を受ける者が料金を支払わないときは、供給規程の定めるところにより給水を停止できるとされています。
つまり、督促や催告を無視し続けた場合、給水停止は「脅し」ではなく実際に行われる処分だということです。
とはいえ、自治体は生活への影響が大きいことを踏まえ、いきなり止めるのではなく段階を踏んで通知しています。
どの段階であっても、支払いか相談で対応すれば、給水停止は十分に回避できます。
督促状が届いたときに、まずやるべきこと

督促状を受け取ったら、次の順番で確認・対応すると迷わずに済みます。
1. 「なぜ払えていないのか」を確認する
まずは未納の原因を確かめましょう。
よくあるのは次のようなケースです。
- 口座振替の残高不足で引き落としができていなかった
- 請求書(納付書)払いで、支払い自体を忘れていた
- 引っ越し前後で請求先や名義が変わり、通知を見落としていた
- クレジットカードの有効期限切れや変更で決済が通っていなかった
原因が分かれば、対応もはっきりします。
残高不足なら入金してから再引き落としを待つ、払い忘れなら納付書で支払う、といった具合です。
2. 「期限内に払えるか」で対応を分ける
次に、通知に記載された支払期限までに払えるかどうかで対応を分けます。
ここが最初の分岐点です。
- 期限内に払える → そのまま支払う(コンビニ・銀行・口座振替・アプリ決済など)
- 期限内に払うのが難しい → 支払う前でもよいので、早めに水道局へ連絡する
判断に迷ったときの目安は「放置しない」の一点です。
支払えるなら早く支払う、支払えないなら早く相談する。
どちらであっても、連絡や行動が早いほど、延滞金の加算や給水停止といった不利益を小さく抑えられます。
3. 支払える場合:どこで・どう払うか
督促状に付いている払込票(納付書)は、コンビニや銀行、郵便局で支払えることが多いです。
ただし、バーコードの支払期限が切れると、コンビニでは受け付けられなくなる場合があります。
期限が切れてしまった納付書については、「どこで支払えるか」を水道局に電話で確認するのが最も確実です。
水道局の窓口でなら支払える、再発行の納付書を送ってもらえる、といった案内を受けられます。
支払い後は、コンビニや銀行での入金確認に数日かかることがあるため、給水停止が近い場合は「支払いました」と一報を入れておくと行き違いを防げます。
4. 支払いが難しい場合:給水停止の前に相談する
「今は一括で払えない」という場合でも、放置は避けてください。
多くの自治体では、給水停止の前であれば分割払い(分納)の相談に応じています。
事情を伝えれば、無理のない範囲で少しずつ納めていける場合があります。
ポイント
支払いが難しいときこそ、早めの相談が効きます。
「支払う意思はあるが、今は一括が難しい」と伝えるだけで、分納などの選択肢が広がります。
生活そのものが苦しい場合は、自治体の福祉窓口や生活困窮者向けの支援につながることもあります。
延滞金・遅延損害金はかかる?お金の話
督促状の段階で気になるのが「余計にお金がかかるのか」という点です。
水道料金を滞納すると、自治体の条例や供給規程に基づいて、延滞金や遅延損害金が加算される場合があります。
料率や計算方法、いつから発生するかは自治体ごとに異なるため、通知に書かれた金額の内訳や、公式サイトの案内を確認してください。
金額は日数に応じて増えていくため、放置するほど負担が大きくなる点は共通しています。
また、口座振替やクレジットカード払いにしている場合は、別の注意点もあります。
クレジットカードの引き落としが失敗し、その延滞がカード会社側で長期化すると、いわゆる信用情報に影響が及ぶ可能性があります。
水道局が直接「ブラックリスト」に載せるわけではありませんが、カードの支払い遅れが続くと審査面で不利になることがあるため、カード払いの未納も早めの対処が安心です。
給水停止されたら?復旧までの手順
もし給水停止に至ってしまった場合でも、多くのケースで復旧は可能です。
慌てず、次の手順で進めましょう。
- まず担当の水道局(上下水道局)へ電話する
- 未納分を納付する(原則は全額)
- 支払った旨を水道局に連絡する
- 開栓の手続きを依頼する
止水後に最初にすべきことは、水道局への電話です。
連絡先は督促状や請求書、または「自治体名+水道局」で検索した公式サイトで確認できます。
午前中に手続きが完了すれば、その日の午後に開栓してもらえる自治体も多く、連絡と納付が早いほど早期の復旧につながります。
原則は未納分の全額納付ですが、事情によっては一部納付と分納の約束によって、期限付きで給水を再開してもらえる場合もあります。
いずれの場合も、鍵になるのは「支払う意思を早く伝えること」です。
連絡なしで放置していると、記録上も対応が遅れ、解決までに時間がかかってしまいます。
ポイント
止められても、支払いと連絡で当日〜翌営業日に復旧できるケースが多くあります。
「払えない金額がある」場合でも、まず電話で相談することで道が開けます。
差押えや裁判に発展することはある?上水道と下水道の違い

滞納をさらに長期間放置すると、給水停止だけでなく、財産の差押え(強制執行)に進む可能性もあります。
ここで知っておきたいのが、上水道料金と下水道使用料では、法律上の扱いが異なるという点です。
上水道の料金は、最高裁判所の判断(平成15年10月10日)により、私法上の債権(民間の売買代金などと同じ性質)とされています。
そのため、自治体が差押えを行うには、原則として裁判所を通じた手続き(支払督促や訴訟を経た強制執行)が必要になります。
一方、下水道の使用料は公法上の債権とされ、地方自治法にもとづき、裁判所を通さずに滞納処分(差押え)ができるとされています。
水道と下水道はまとめて請求されることが多いため、下水道分を含む滞納では、より強い回収手続きが取られる可能性があります。
| 区分 | 債権の性質 | 差押えの手続き |
|---|---|---|
| 上水道料金 | 私法上の債権 | 原則、裁判所を通じた手続きが必要 |
| 下水道使用料 | 公法上の債権 | 滞納処分(裁判所を通さない差押え)が可能 |
いずれにしても、差押えは滞納を長く放置した場合の話であり、督促や催告の段階できちんと対応していれば、そこまで進むことはまずありません。
「督促状が来た=すぐ差押え」ではないので、過度に不安になる必要はありませんが、放置を続けるリスクは正しく知っておきましょう。
水道料金に時効はある?誤解しやすいポイント
「一定期間が過ぎれば、時効で支払わなくてよくなるのでは」と考える方もいます。
たしかに法律上の消滅時効は存在しますが、時効を当てにして放置するのは現実的ではありません。
2020年4月1日に施行された改正民法では、それまで職業ごとに定められていた短期消滅時効が廃止されました。
これにより、改正後に発生した水道料金は、原則として5年で消滅時効となる扱いに統一されています。
なお、下水道使用料はもともと地方自治法により5年とされており、改正前から5年です。
改正前(2020年3月31日以前)に発生した上水道の料金については、旧民法の規定により2年とされていました。
ただし、ここが重要な注意点です。
督促・催告や、裁判上の請求(支払督促・訴訟など)があると、時効は更新(リセット)され、そこから期間が数え直しになります。
自治体は未納を把握して督促を行っているため、放置していても時効が静かに完成することは期待できません。
時効を狙って放置すれば、その間に延滞金が積み上がり、差押えのリスクも高まります。
「踏み倒し」を前提にせず、支払いか相談で早めに解決するのが、結局は負担を最小限にする方法です。
引っ越し・賃貸のときに気をつけたい督促状

督促状は、引っ越しのタイミングでも起こりがちです。
次のような点に注意しておくと、思わぬ未納を防げます。
- 退去時に水道の使用中止(閉栓)の手続きを忘れると、その後も料金が発生し続けることがある
- 最終月の精算分の請求が、転居後の新住所に督促状として届くことがある
- 契約者(名義人)に対して請求されるため、同居家族が支払ったつもりでも名義人あてに通知が来る場合がある
賃貸物件では、水道が大家・管理会社経由で共益費に含まれているのか、個別契約なのかで扱いが変わります。
引っ越しの前後で督促状が届いたときは、まず「どの期間・どの物件の料金か」を通知で確認し、必要なら旧居・新居それぞれの水道局に問い合わせましょう。
督促状に心当たりがないときの確認ポイント
「支払っているはずなのに督促状が届いた」「まったく身に覚えがない」というケースもあります。
その場合は、慌てて支払う前に、次の順で落ち着いて確認しましょう。
- 対象期間を確認する:いつの分の料金かを見て、実際に支払ったか通帳・カード明細・支払い履歴で照合する
- 名義と住所を確認する:前の入居者あての請求が誤って届いていないか、名義が自分になっているかを見る
- 行き違いの可能性を考える:支払い直後は入金確認が反映されておらず、督促状と入れ違いになることがある
- 差出人の連絡先を公式サイトと照合する:自治体名と「水道局」で検索し、通知の連絡先が正規のものか確かめる
とくに注意したいのが、公共料金を装った偽の請求・詐欺的な通知です。
本物の督促状は、自治体または委託業者から届き、支払い先も自治体の口座やコンビニ・銀行など一般的な方法です。
一方で、見慣れないURLやショートメッセージで支払いを求めてきたり、個人口座への振込を指定してきたりする場合は、正規の通知か疑ってかかる必要があります。
少しでも不審に感じたら、通知に書かれた番号ではなく、公式サイトで調べた水道局の番号に自分からかけて確認するのが安全です。
支払い済みや二重請求だと分かった場合は、証拠(支払い日・金額・方法)を手元に用意して水道局へ連絡すれば、記録の照合をしてもらえます。
確認が取れるまでは、あわてて二重に支払わないようにしましょう。
督促状を防ぐための支払い方法の見直し
督促状の多くは、悪意ではなく「うっかり」から生まれます。
一度落ち着いたら、同じことを繰り返さないために支払い方法を見直しておくと安心です。
主な支払い方法には、それぞれメリットと注意点があります。
| 支払い方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 口座振替 | 自動で引き落とされ、払い忘れが起きにくい | 残高不足だと引き落とし不能になる。口座残高の管理が必要 |
| クレジットカード | ポイントが付く。自動で決済される | 有効期限切れ・カード変更で決済が止まることがある |
| スマホアプリ決済 | 納付書のバーコードを読み取って手軽に支払える | 支払期限が切れると使えない場合がある。自治体の対応可否を要確認 |
| 納付書(コンビニ・銀行) | 現金で都度支払える | 支払いを忘れやすい。期限切れに注意 |
払い忘れを最も防ぎやすいのは口座振替やクレジットカードなどの自動支払いです。
ただし、自動支払いでも「残高不足」「カード期限切れ」で決済が止まると督促状につながるため、口座やカードの状態は定期的に確認しておきましょう。
アプリ決済に対応しているかどうかは自治体によって異なるため、利用したい場合は公式サイトで対応状況をチェックしてください。
引っ越しの際は、旧居の閉栓手続きと新居の開栓手続きを忘れずに行うことも、無用な督促状を防ぐポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q. 水道料金の督促状が届きました。すぐ水道が止まりますか?
すぐには止まりません。督促状は支払い忘れを知らせる最初の段階で、多くの自治体ではこのあと催告書、給水停止の予告と、複数回の通知を経てから停止に進みます。督促状の段階で記載の期限までに支払えば、給水停止に至ることはほとんどありません。ただし放置すると段階が進み、最終的に給水停止となる可能性があります。期限や連絡先は通知に記載されているため、まずは書面を確認し、早めに支払うか水道局へ相談することが大切です。
Q. 期限が過ぎた納付書でも支払えますか?
コンビニ払いの納付書はバーコードの期限が切れると使えなくなることが多いですが、支払いそのものができなくなるわけではありません。多くの自治体では、水道局の窓口で支払える、期限切れでも一定期間は使えるなど、扱いが分かれます。確実なのは、通知に記載の水道局へ電話し「どこで・どうやって払えるか」を確認することです。再発行の納付書を送ってもらえる場合もあります。放置して延滞金が増える前に、早めに連絡するのが安心です。
Q. 水道料金をどうしても払えないときはどうすればよいですか?
支払いが難しいときこそ、給水停止の前に水道局へ相談することが重要です。多くの自治体では分割払い(分納)の相談に応じており、事情を伝えれば一括ではなく無理のない範囲で納めていける場合があります。生活が困窮している場合は、自治体の福祉窓口や生活困窮者向けの支援制度につながることもあります。連絡せずに放置すると選択肢が狭まるため、まずは電話で「支払う意思がある」ことを伝えるのが解決への近道です。
Q. 水道を止められた後、すぐに使えるようにできますか?
未納分を納めれば、多くの自治体で当日から翌営業日に開栓してもらえます。ポイントは、支払い後に水道局へ「支払った」と連絡することです。コンビニや銀行での支払いは入金確認まで数日かかる場合があり、連絡がないと開栓が遅れることがあります。原則は全額納付ですが、事情によっては一部納付と分納の約束で再開に応じてもらえる場合もあります。止められたら、まず担当の水道局へ電話しましょう。
Q. 水道料金に時効はありますか?放置すれば消えますか?
法律上の消滅時効は存在し、2020年4月の民法改正後に発生した水道料金は原則5年とされています。ただし、督促・催告や裁判上の請求があると時効は更新(リセット)され、実際に支払いを免れることは容易ではありません。時効を当てにして放置すると、延滞金の増加や差押えなど不利益が大きくなる可能性があります。放置による「踏み倒し」を前提にせず、早めに支払いや相談で解決するのが安全です。
まとめ|督促状は「早めの対応」で必ず落ち着きます
水道料金の督促状は、驚くかもしれませんが、対応すれば怖いものではありません。
最後に、押さえておきたいポイントを整理します。
- 督促状の段階では、すぐに水は止まらない(複数回の通知による猶予がある)
- 一番のリスクは「放置」。支払えるなら早く支払い、難しいなら早く相談する
- 期限切れの納付書や支払い方法は、水道局への電話で確認するのが確実
- 支払いが難しいときは、給水停止の前に分納などの相談ができる
- 延滞金や差押え・時効を理由に放置しても、負担が増えるだけで得はしない
督促状が届いたら、まずは書面に目を通し、支払うか相談するかを決めるだけで大丈夫です。
早めに一歩動くことが、給水停止や余計な延滞金を防ぐ、いちばん確実な方法です。

