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灯油ホームタンクとは?仕組み・配管・給油口の基本を解説

住宅の屋外に設置された灯油ホームタンク2基の写真を使用し、仕組み・配管・給油口の基本を紹介するサムネイル
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

寒冷地の家では、庭先に大きな灯油タンクが置かれているのをよく見かけます。
これが「ホームタンク」です。
毎日使うものなのに、中の仕組みや、各部分の名前、どこを見ればよいのかは、意外と知られていません。
この記事では、ホームタンクの役割、各部の名前と働き、配管と給油口の基本、日ごろ見ておきたい点を順番に整理します。
置き場所の基準は別記事の屋外の灯油タンクはどこに設置すればいい?で扱っているため、ここでは「しくみ」を中心にまとめます。

目次

ホームタンクとは

ホームタンクは、家庭用の灯油を貯めておく、据え置き型のタンクです。
配達の車から灯油を入れてもらい、配管を通して、暖房機器や給湯機器へ送ります。

項目内容
役割灯油をまとめて貯め、機器へ送る
置き場所多くは、家の屋外
給油の方法配達の車が、注入口から灯油を入れる
機器への送り方配管を通して、ストーブやボイラーへ送る
容量90L、200L、490Lなど、家庭によって異なる

ポリタンクで灯油を運ぶ必要がなく、冬の暖房に頼る地域では、手間と危険の両方を減らせる設備です。
容量の違いは、別記事の灯油タンクの容量で扱っています。

灯油が流れる順番

給油してから、機器で燃えるまでの流れを、先に押さえておきます。

順番部分働き
1給油口(注入口)配達の車が、ここから灯油を入れる
2タンク本体灯油を貯める
3ストレーナー灯油の中のごみを、ろ過する
4バルブ配管への灯油の流れを、開閉する
5配管灯油を、家の中の機器まで送る
6ゴムホース配管と、ストーブなどの機器をつなぐ
7機器灯油を燃やして、暖房や給湯を行う

このうち、どこかが劣化したり、壊れたりすると、灯油が漏れる原因になります。
各部の役割を知っておくと、異常に気づきやすくなります。

各部の名前と役割

自治体が公開しているホームタンクの点検資料などをもとに、主な部分を整理します。

部分役割・見どころ
タンク本体灯油を貯める。錆が進むと穴があくことがあり、特に底部の外面に注意
脚部タンクを支える。ぐらつきや傾き、固定の緩みがないか
基礎(束石など)脚部を固定する。埋設の深さが足りないと、浮き沈みでタンクが傾くことがある
給油口(給油キャップ)灯油を入れる口。キャップが付いているか
通気管タンク内の圧力を一定に保つ
燃料ゲージ(油量計)タンク内の残量を表示する
ストレーナー灯油から不純物をろ過する。ひび割れに注意
水抜き栓タンク下部にあり、たまった水を抜く
配管ストレーナーを通った灯油を、機器へ送る
ゴムホース配管と機器をつなぐ。ひび割れは交換が勧められている
防油堤(ある場合)漏れた灯油が広がるのを防ぐ。内部に水やごみがたまっていないか

名称は、メーカーや地域で多少異なることがあります。
残量メーターの見方は、別の記事で詳しく扱う予定です。

給油口のこと

給油口は、配達の車が灯油を入れる口で、いたずらの対象にもなりやすい部分です。

項目内容
キャップ付いているか、しっかり閉まるかを確かめる
カバー札幌市の資料では、いたずら防止の観点から、注入口のカバー設置が勧められている
給油できる量登別市の資料では、タンク内容積の90%までとされている
給油時の注意業者が、注入口ぎりぎりまで入れることがあるため、残量を確認する
気温の影響気温が上がると灯油が膨張し、あふれるおそれがある

灯油の量は、タンクにいっぱい入れればよいわけではありません。
膨張を見込んで、余裕を残すことが大切です。
配達の際は、立ち会うか、あらかじめ給油量を伝えておくと安心です。

配管の基本

ホームタンクのトラブルで多いのは、配管まわりです。
札幌市の資料では、少量危険物施設などの事故104件のうち、配管関係が50件で最多でした。

項目内容
配管の役割タンクから機器へ、灯油を送る
ループ状の部分地震などで、タンクとの結合部が損傷しないための工夫
露出した配管雪や氷による折れ、盗難による切断に注意。配管カバーの設置が勧められている
土の中の配管掘削やくい打ちの前に、位置を確認する
工事や草刈りの前配管の経路を確認し、必要なら保護カバーをつける

雪の多い地域では、落雪や雪割りの作業で、配管をつぶしたり折ったりすることがあります。
冬の前に、配管のまわりを片づけ、雪かきの際にぶつけないよう気をつけてください。

ストレーナーと水抜き

ストレーナーは、灯油の中の不純物を取る部品で、タンクの下部にあります。

項目内容
役割灯油中のごみをろ過する
割れやすい原因経年劣化、内部の水の凍結
割れたときそこから、灯油が漏れる
対策ひび割れがあれば交換し、定期的に水を抜く

タンクの中に水がたまると、冬に凍って、ストレーナーを傷める原因になります。
水抜きの方法は、別記事の灯油タンクの水抜きで扱われています。
また、水抜き栓が開いたままになっていないかも、見ておくと安心です。

バルブの使い方

バルブ(元栓)は、タンクから配管への灯油の流れを止める部品です。

場面使い方
暖房シーズン中開けて使う
長期間、使わないとき閉めて、配管への供給を止めておく
使っていないタンクバルブが開いたままになっていないか、確認する

札幌市の資料では、長期間使わないときにバルブを閉め、配管に灯油を送らない状態にしておくと、漏れが起きたときの被害拡大を防げる、とされています。

通気管の役割

通気管は、タンクの中に空気を出し入れして、内部の圧力を一定に保つ部品です。
灯油を入れたり、使って減ったりするときに、タンクがふくらんだり、へこんだりしないようにする働きがあります。

項目内容
役割タンク内の圧力を、一定に保つ
先端の向き雨や雪が入らないよう、下向きに曲げてある
注意雪や物でふさがない

通気管の寸法や、位置の基準は、前述の設置場所の記事に、条例の例をまとめています。

日ごろ見ておきたい点検項目

自治体の資料では、日常点検が事故を防ぐ基本とされています。
頻度の具体的な数字は、示されていません。
給油のときや、冬の前後など、決めたタイミングで見る習慣をつけておくと便利です。

見る部分確認すること
タンク本体水平か、にじみや錆がないか
脚部・基礎ぐらつきや傾き、束石の浮き沈みがないか
ストレーナーひび割れ、接続部の漏れがないか
配管漏れ、腐食、潰れ、折れ曲がりがないか
ゴムホース亀裂がないか
燃料ゲージ減り方が、いつもと違わないか
におい屋外、室内、床下から、灯油のにおいがしないか
バルブ・水抜き栓使っていないのに開いていないか

特に、「いつもより減りが早い」「においがする」は、漏れのサインのことがあります。
気づいた段階で、販売店に連絡してください。

地震と、ホームタンク

地震のときには、ホームタンクにも被害が出ます。
札幌市の資料では、北海道胆振東部地震で、ホームタンク関連の事故が105件発生し、そのうち約85%が、タンクの転倒や傾きによるものでした。

項目内容
主な被害タンクの転倒・傾き
背景脚部のぐらつきや、基礎の浮き沈み
対策脚部と基礎を、しっかり固定する
配管ループ状にして、結合部の損傷を防ぐ
地震のあと傾きや、においの有無を確かめる

地震のあとは、タンクが傾いていないか、配管や接続部から灯油が漏れていないかを、火を使う前に確認してください。

ポリタンクとの違い

ホームタンクと、ポリタンクで灯油を運ぶ暮らしは、手間も注意点も異なります。

項目ホームタンクポリタンク(18L缶)
灯油の入れ方配達の車が、注入口から入れる自分で買って運び、ポンプで給油する
機器への送り方配管で自動的に送る機器のタンクへ、手で入れる
一度に貯める量多い(90L〜490Lなど)少ない(18L単位)
気をつける点配管、ストレーナー、固定、凍結運搬、こぼし、保管
向いている地域・家庭冬の暖房や給湯に灯油を多く使う家使用量が少ない家、機器が少ない家

ホームタンクは、運ぶ手間とこぼす危険を減らせる反面、配管や固定の管理が必要になります。
使う量や、住まいの状況によって、どちらが合うかは変わります。

冬の前にやっておくこと

寒冷地では、冬になってから不具合に気づくと、対応が大変です。
暖房を使い始める前に、次の点を確かめておくと安心です。

項目確認すること
タンクまわり雑草や物を片づけ、雪かきの動線を確保する
脚・基礎傾きやぐらつきがないか
配管雪や氷で折れないよう、カバーや養生を検討する
ストレーナー・水抜きひび割れがないか。水がたまっていないか
ゴムホース亀裂や硬化がないか
給油口キャップとカバーが、しっかり付いているか
灯油の残り前のシーズンの灯油が、傷んでいないか

特に、水抜きは、冬の前に済ませておくと、凍結による不具合を減らせます。
わからない点は、灯油の配達業者に、給油のついでに見てもらうこともできます。

いたずら・盗難への備え

ホームタンクは屋外にあるため、いたずらや盗難の対象になることがあります。
札幌市の資料では、露出した配管について、雪や氷による折れに加えて、盗難による切断にも注意するよう示されています。

部分対策の例
配管配管保護カバーを設置する
注入口カバーをつける
タンクの周囲見通しをよくし、防犯の工夫をする
異変に気づいたとき使用を止め、販売店や消防署へ相談する

盗難対策については、別に、まとまった記事もあります。
カバーをつけるだけでも、被害を減らす助けになります。

灯油が漏れているのを見つけたとき

漏れや、においに気づいたときは、火の元と、人の安全を優先します。

場面対応
灯油が漏れている火気を使わず、速やかに通報する
通報先の例119番(苫小牧市の資料では、油漏れは速やかに119番)
においが気になる灯油の配送業者や、消防本部の予防担当に相談する
近づける状況ならバルブを閉めて、供給を止める
水で流さない側溝や排水に流れ込まないよう、せき止める

漏れた灯油は、土壌や上下水道にも影響し、処理に高額な費用と時間がかかる場合があります。
早く見つけるほど、被害を小さくできます。
土にこぼれた場合の対処は、別記事で扱っています。

相談先

ホームタンクの不安は、1人で抱えず、次のような窓口へ相談できます。

状況相談先
灯油の減りが早い、においがする普段、灯油を配達してもらっている業者
漏れている119番
設置や基準が不安所轄の消防署(予防担当)
配管や機器の修理設備業者、販売店

よくある質問

Q1. ホームタンクは、どんな仕組みですか?

給油口から入れた灯油が、タンクにたまり、ストレーナーを通って、配管で機器へ送られます。
通気管で内部の圧力を保ち、燃料ゲージで残量を確かめます。

Q2. ホームタンクには、灯油をいっぱいに入れてよいですか?

登別市の資料では、タンク内容積の90%までとされています。
気温の上昇で灯油が膨張して、あふれるおそれがあるため、余裕を残してください。

Q3. ストレーナーは、何のためにありますか?

灯油の中の不純物を取る部品です。
内部の水が凍ったり、古くなったりすると割れて、灯油が漏れることがあります。

Q4. 長いあいだ使わないときは、どうしますか?

バルブを閉めて、配管への供給を止めておくと、漏れたときの被害拡大を防げます。
バルブが開いたままになっていないかも、見ておいてください。

Q5. 灯油の漏れに気づいたら、どうすればよいですか?

火気を使わず、速やかに通報してください。
においが気になるだけのときは、配達の業者や、消防の予防担当へ相談します。
漏れた灯油は、水で流さないでください。

まとめ

ホームタンクの基本を、最後に整理します。

ポイント内容
役割灯油を貯め、配管で機器へ送る
流れ給油口 → タンク → ストレーナー → バルブ → 配管 → 機器
給油内容積の90%まで。余裕を残す
配管事故が多い部分。雪や草刈りに注意し、カバーも検討
ストレーナーひび割れ・凍結に注意。水を抜く
点検傾き、錆、においなどを、給油のときに見る
漏れたとき火気を使わず、119番。水で流さない

まずは、次の給油の機会に、タンクの脚と配管のまわりを、ひと回り見てみませんか。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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