4月になっても灯油の価格が高いままなのではないか…?
そんなモヤモヤを感じていませんか?
2026年3月は、中東情勢の急変に伴う原油価格の高騰を受け、灯油価格は1リットルあたり20〜33円前後という異例の値上がりを経験しました。
そこに政府の緊急補助金が再開され、3月末から4月にかけて、ようやく価格が落ち着きつつあります。
ただし、ひとことに「値下がり」といっても、実際には販売店によって価格が動いた店と据え置きのままの店とに大きく分かれているのが実情です。
なぜそのような差が出るのか、4月の価格はどこに向かうのか——この記事では、現在も燃料店で働く著者がリアルな価格動向と販売店ごとの値下げ事情を丁寧に解説します。

3月の灯油価格急騰を振り返る

まず、4月の価格を理解するために、直前の3月に何が起きたかを整理します。
中東情勢の急変がすべての起点
2026年2月28日、米軍とイスラエル軍がイランの軍事施設・政府中枢に向けた大規模ミサイル攻撃を実施し、イラン革命防衛隊(IRGC)がホルムズ海峡付近の船舶に通過禁止を通告したことで、海峡は事実上の封鎖状態となりました。
ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ最も狭い部分で幅約33kmの海峡です。
「世界の石油の咽喉部」とも呼ばれ、2024年には世界の原油供給量の約20%にあたる日量約2,000万バレルがこの海峡を通過しています。
日本にとっても直撃の影響でした。
原油の主要供給ルートであるホルムズ海峡周辺で緊張が高まり、保険会社がホルムズ海峡を通るタンカーへの保険引き受けから撤退したことで、各国の商船会社がリスクを判断して自主的に通行を制限する事態となりました。

3月の灯油価格はどこまで上がったか
2026年3月12日以降、全国の石油販売店で灯油価格の大幅な値上げが相次いでいます。
地域や販売店によって差はありますが、1リットルあたり20〜33円前後という異例の幅での引き上げが報告されており、18リットルのポリタンク1缶あたりでは360〜600円近くもの値上がりとなっています。
ガソリンも同様に急騰し、資源エネルギー庁の公式資料によると、2026年3月16日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は190.8円/L(前週比+29.0円)に達しました。
政府の緊急補助金が3月19日から再開

価格急騰を受け、政府は矢継ぎ早に対策を打ちました。
緊急激変緩和措置の概要
原油価格高騰による石油製品価格の高騰を抑制するため、緊急的に燃料油(ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料)に対する支援が令和8年3月19日から開始されています。
資源エネルギー庁は3月25日、26日以降のガソリン補助金の支給単価をレギュラー1リットルあたり48.1円に引き上げると発表しました。
2022年1月の補助制度開始以来、過去最高額で、前週の30.2円/Lから約18円の大幅増額となりました。
軽油は65.2円/L、灯油・重油は48.1円/L、航空機燃料は19.2円/Lです(いずれも資源エネルギー庁公表値)。
以下に、3月の灯油補助額の変遷を整理します。
| 期間 | 灯油補助額(1リットルあたり) | 18L缶1缶あたりの抑制効果 |
|---|---|---|
| 〜2026年3月18日 | 補助なし(措置終了後) | — |
| 3月19日〜25日 | 30.2円/L | 約543円 |
| 3月26日〜 | 48.1円/L | 約866円 |
(出典:資源エネルギー庁 公式発表)
国家備蓄の放出も同時進行
補助金だけでなく、石油の供給面でも動きがありました。
高市首相は24日の関係閣僚会議で、3月26日から国内11カ所の石油備蓄基地から国家備蓄の放出を開始すると正式に表明。
元売り4社と5,100万バレル(約5,400億円)の随意契約が締結されています。
あわせて、2025年度予備費のほぼ全額にあたる約8,000億円を補助金基金に積み増すことを閣議決定し、合計約1兆800億円規模の財源が確保されました。
財源規模は過去最大水準です。補助金が短期間で途絶えるリスクは、当面は低い状況といえます。
では4月からの灯油価格はどうなるのか?

補助金の店頭反映は「3月末〜4月上旬」
補助金が出たからといって、スタンドの価格板がすぐに変わるわけではありません。
補助金は石油元売りへの卸売段階で支給されるため、各スタンドの在庫が入れ替わるまで店頭価格には反映されません。実際に安くなるのは3月末〜4月上旬が見込みです。
つまり、4月初旬の時点では、追加分の補助後の価格と補助前の在庫が混在している過渡期になります。
地域や販売店によってタイミングのズレが生じるのは、この仕組みによるものです。
高止まりは継続する見通し
一方で、補助金が入っても「激安」になるわけではありません。
今後の価格動向は「中東情勢がいつ収束するか」という外部要因に大きく左右されるため、「○月には値下がりする」と断言できる状況ではありません。
また、解決策が見えず、戦略的な要所が閉鎖されたままであるため、暖房油価格は今年に入ってから110%以上急騰しています。
ただし同時に、トランプ大統領が地上部隊を派遣する計画はないと確認し、イスラエルがイランのエネルギー施設へのさらなる攻撃を一時停止する意向を示したとの報道もあり、情勢は流動的です。
4月の灯油価格の見通しをシナリオ別に整理すると、以下のようになります。
| シナリオ | 前提条件 | 4月の灯油価格感 |
|---|---|---|
| 緩和シナリオ | 中東情勢の一定の落ち着き+補助金継続 | 補助込みで3月より低下。18L缶2,500〜2,800円前後の可能性 |
| 現状維持シナリオ | 情勢は不透明なまま補助金継続 | 高止まり継続。18L缶2,800〜3,200円前後 |
| 悪化シナリオ | ホルムズ封鎖長期化+補助財源逼迫 | 補助の縮小・廃止で大幅高騰の恐れ |
※上記はあくまで参考目安です。実際の価格は原油市場・為替・各販売店の在庫状況によって大きく変わります。
販売店によって「値下げする店」と「据え置く店」に分かれる理由

今回の灯油価格動向で特に注目すべきポイントがあります。
それは、補助金が入っても価格を動かさない販売店が一定数存在する可能性があるということです。
これにはいくつかの合理的な理由があります。
① 補助金再開前に先行値下げしていた店は据え置き
もともと3月の急騰期に、競合他社より安い価格を維持していた店があります。
地域で最安値に近い水準で販売してきた店舗は、補助金が入ったからといって追加で値下げをしても利益が出ません。
そういった店舗は、補助金を受け取りながらも価格を据え置きにする可能性が高いです。
むしろ収益の改善・回復に充てるのが経営上の合理的な判断です。
② 競合と価格差が大きかった店は値下げの余地あり
逆に、地域の最安値店と比べて高い価格を設定していた店舗は、補助金を受けることで値下げに動きやすくなります。とくに「地域で最安値の店と1リットルあたり5円以上の差がある店」は、4月に入って価格を引き下げてくる可能性が相対的に高いといえます。
③ 在庫回転の速度による反映タイムラグ
販売量が多く在庫の回転が速いガソリンスタンドや大型ホームセンター系の販売店は、早い段階で補助後の安い仕入れ価格が店頭に反映されます。
一方、回転が遅い小規模な配達専門店などは、旧在庫を抱えている間は価格が下がりにくい構造があります。
④ 配達専門店はコスト構造が異なる
配達に人件費・車両費がかかる灯油専門の配達業者は、ガソリンスタンドとは原価構造が異なります。
補助金の恩恵を受けても、配達コスト分が乗るため、店頭価格との差は縮まりにくい傾向があります。
「安くなる」と「安くならない」——どう判断すればいい?

お近くの灯油販売店が4月に値下げするかどうかを判断するポイントをまとめます。
| チェックポイント | 値下げしやすい店 | 据え置きになりやすい店 |
|---|---|---|
| 地域内での価格ポジション | 地域の中〜高価格帯の店 | 地域最安値に近い店 |
| 販売規模 | 大型SS・ホームセンター系 | 小規模配達専門店 |
| 3月の対応 | 急騰時に大きく値上げした店 | 急騰時も価格を抑えていた店 |
| 在庫の回転速度 | 回転が速い(需要が多い) | 回転が遅い(在庫を抱えがち) |
最終的には、3月末時点の地域最安値と自分が使っている店の価格を比べてみることが一番の確認方法です。
その差が大きければ、4月に値下げが来る可能性は十分あります。
gogo.gsで地域の最安値を確認しよう
どの販売店が安いかをリアルタイムで調べるには、価格情報サイトを活用するのが手っ取り早い方法です。
gogo.gs(ゴーゴーガス)はガソリン・灯油の価格をユーザーが投稿する口コミ型の価格比較サービスです。
「灯油限定店を含む」の検索オプションを使うと、灯油専門の販売店も含めて地域の最安値を確認できます。
同様にe燃費でも価格情報を確認できますので、複数のサービスを使い合わせて最新価格をチェックするのがおすすめです。
今の灯油、「買い」か「待ち」か

購入タイミングについては、以下の考え方を参考にしてください。
▶ 今すぐ購入したほうがいいケース
- 暖房用途がまだ続いている(東北・北海道・高地など)
- お近くの安い販売店がすでに補助後価格を反映している
- 在庫が底をついている
▶ 少し様子を見てもいいケース
- 暖房需要が落ち着いてきた(4月中旬以降、気温が安定してきた)
- お近くの販売店がまだ旧価格のまま
- 複数の店を比較できる時間的余裕がある
なお、灯油は長期保管に向かない燃料です。
春以降に余剰が出た場合は、次のシーズンまで持ち越すのは避けてください。
色の変化(変質灯油)による燃焼不良や、ストーブ・ファンヒーターの故障につながるリスクがあります。
灯油を賢く使う——この春にできる家計対策

価格がコントロールできない以上、使う量を減らすことが最も確実な防衛策です。
以下の対策を参考にしてください。
窓の断熱で暖房効率を上げる
暖かい空気の多くは窓から逃げています。
断熱カーテンや窓用断熱シートをつけるだけで、室温の維持が格段に楽になります。特に、「床から30〜50cm」の低い位置からの冷気侵入を防ぐと効果的です。
暖房機器の使い方を見直す
灯油ストーブやファンヒーターは、部屋全体を温めようとすると燃費が悪くなります。
サーキュレーターで暖かい空気を撹拌し、効率よく循環させることで、同じ灯油量でも体感温度が上がります。
10年以上の古い機器は買い替えの検討も
燃焼効率が低下した古いストーブは、同じ灯油量でも暖まり方が落ちています。
省エネ性能の高い新型モデルへの買い替えで、1シーズンあたりの灯油代を節約できる場合がありますので、10年以上を経過している機種に関しては買い替えも検討しておきましょう。
よくある質問
Q1. 4月の灯油はいくらになりますか? A. 補助金が全国平均を引き下げる効果があるため、補助前の最高値よりは下がる見込みです。ただし、中東情勢の行方や原油市場の動向によって変わるため、具体的な数字を断言することは難しい状況です。地域の価格情報サービス(gogo.gsなど)でリアルタイムの価格を確認するのが一番確実です。
Q2. 3月末に補助金が始まったのに、近くのスタンドはまだ高いままです。なぜですか? A. 補助金は石油元売り段階で支給されるため、店頭への反映には在庫の入れ替わりが必要です。在庫の回転が遅い店ほど、反映が遅くなる傾向があります。1〜2週間程度様子を見てから、複数の店を比較してみてください。
Q3. 補助金が終わったら、すぐに高くなりますか? A. 補助金が縮小・終了した場合、卸価格に対する下支えがなくなるため、店頭価格が上昇する可能性はあります。ただし、春以降は暖房需要が落ちる季節でもあるため、需要面からの価格下押し効果も同時に働きます。現時点では終了時期は未定です。
Q4. 昨年の春と比べて、4月の灯油価格はどのくらい違いますか? A. 昨年(2025年)春の灯油価格は、1リットルあたり120〜130円前後で推移していました。今年は中東情勢という特殊要因が加わっており、補助込みの水準でも昨年より高めで推移する可能性が十分あります。
Q5. 地域によって価格差はどのくらいありますか? A. 灯油価格は地域ごとに差があり、輸送コストや競合状況によって変わります。また、同じ地域でも「配達価格」と「店頭(持参)価格」では1リットルあたり10〜20円前後の差が出ることも珍しくありません。可能であれば、自分でポリタンクを持参してガソリンスタンドで購入するほうが、コスト面では有利です。
まとめ

2026年4月の灯油価格については、政府の緊急補助金(3月26日以降48.1円/L)が主な下支えとなっており、3月の急騰直後に比べると一定程度落ち着いてくると見込まれます。
ただし、以下の点は押さえておく必要があります。
- 補助金の効果が店頭に出るのは3月末〜4月上旬が目安(在庫の入れ替わりにタイムラグあり)
- 地域最安値に近い価格で販売してきた店は、4月も据え置きのままになる可能性が高い
- 競合と価格差があった店ほど、4月に値下げをしてくる見込み
- 中東情勢の行方次第では、補助金の規模変更や継続期間の変動もあり得る
価格を自分でコントロールできない以上、使う量を減らす断熱対策や省エネ機器への切り替え、価格比較サービスの活用で、賢く乗り切ることが現実的な家計防衛策です。
最新の補助単価は資源エネルギー庁の公式サイトで毎週更新されていますので、こまめにチェックしてみてください。
本記事の価格・制度情報は2026年3月26日時点の情報をもとに作成しています。原油価格・中東情勢・政府の補助方針は随時変わる可能性がありますので、最新情報は経済産業省 資源エネルギー庁の公式サイトをご確認ください。

