「電気代の明細に『再エネ賦課金』という項目があるけれど、なぜ毎年上がるのだろう?」と感じている方は多いのではないでしょうか。
2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円と、制度開始(2012年)以来の過去最高を更新しました。
しかも2026年度は、政府の電気代補助が終了したタイミングと重なっており、家庭の電気代への影響は例年以上に大きくなっています。
この記事では、再エネ賦課金の仕組みや単価の推移、2026年度に上昇した理由、家庭への具体的な負担額、そして電気代を抑えるための対策をわかりやすく解説します。

再エネ賦課金とは何か?仕組みをわかりやすく解説

制度の概要
再エネ賦課金(正式名称:再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT制度)を支えるために設けられた費用です。
FIT制度とは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで作られた電気を、電力会社が国の定めた価格で一定期間買い取ることを義務づける仕組みです。
この買取費用の一部を、電気を使うすべての家庭・企業が「使用量に比例して」分担しているのが再エネ賦課金です。
電力会社の独自値上げとは異なり、どの電力会社と契約していても、全国一律で同じ単価が適用される点が大きな特徴です。
計算の仕組み
再エネ賦課金の単価は、以下の算定式に基づいて経済産業大臣が毎年3月に決定し、5月の検針分から翌年4月の検針分まで適用されます。
賦課金単価(円/kWh)= [再エネ買取費用 - 回避可能費用 + 事務費] ÷ 予想販売電力量
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 再エネ買取費用 | FIT・FIP制度で電力会社が再エネ電気を買い取る総費用 |
| 回避可能費用 | 再エネがなければ火力発電などで賄うはずだったコスト(これを差し引く) |
| 販売電力量 | 国内で販売される電気の総量(分母。量が多いほど単価は下がる) |
ポイントは、「再エネ買取費用が増えても、回避可能費用や販売電力量の変化次第で単価は上下する」という点です。2023年度に単価が急落したのも、この仕組みによるものです。
毎月の家庭での負担額は非常にシンプルで、以下の式で計算できます。
再エネ賦課金の負担額(円)= 単価(円/kWh)× その月の電気使用量(kWh)
再エネ賦課金の単価推移|2012年〜2026年度

制度開始からの単価推移をまとめました。
| 年度 | 単価(円/kWh) |
|---|---|
| 2012年度(7月〜) | 0.22 |
| 2013年度 | 0.35 |
| 2014年度 | 0.75 |
| 2015年度 | 1.58 |
| 2016年度 | 2.25 |
| 2017年度 | 2.64 |
| 2018年度 | 2.90 |
| 2019年度 | 2.95 |
| 2020年度 | 2.98 |
| 2021年度 | 3.36 |
| 2022年度 | 3.45 |
| 2023年度 | 1.40(大幅下落) |
| 2024年度 | 3.49 |
| 2025年度 | 3.98 |
| 2026年度 | 4.18(過去最高) |
(出典:経済産業省資源エネルギー庁)
制度開始の2012年度と比較すると、2026年度の単価は約19倍に達しています。
2023年度だけが例外的に1.40円まで下落しましたが、2024年度以降は急回復し、2026年度には初めて4円台を突破しました。
2023年度に大きく下がった理由
2022年〜2023年にかけて、ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした燃料価格の高騰が起き、国内の電力卸売市場(JEPX)の価格も急騰しました。
算定式の「回避可能費用」(火力発電で賄う場合のコスト)が跳ね上がったことで、差し引かれる金額が大きくなり、結果として2023年度の賦課金単価は1.40円まで押し下げられました。
このように、再エネ賦課金は「再エネが増えたら一直線に上がる」単純な仕組みではなく、化石燃料の価格や電力市場の動向に連動して変動する特性を持っています。
2026年度に過去最高を更新した理由

回避可能費用の縮小が主因
2024年度以降、国際的な燃料価格の落ち着きに伴い電力卸売市場の価格も安定してきました。
その結果、算定式の「回避可能費用」が減少し、2023年度のような大幅な押し下げ効果が働かなくなっています。
2026年度の経産省公表データを見ると、再エネ買取費用は前年度比でほぼ横ばいであるにもかかわらず、回避可能費用の減少により差し引き後の純コストが増加した結果、1kWhあたりの単価が上昇しました。
再エネ導入量の拡大
FIT制度に登録された再生可能エネルギー設備(特に太陽光発電)の稼働量は増加を続けており、買取費用全体の規模は拡大傾向にあります。
2026年度の再エネ買取費用は約4兆8,507億円に達しており、この巨大な費用を支える基盤として賦課金単価は高止まりしやすい構造になっています。
洋上風力・連系ケーブルへの費用負担
電気事業法の改正により、2026年度以降は再エネ賦課金が大規模な地域間連系送電ケーブルの敷設費用にも充当されることになりました。
高コストが見込まれる洋上風力発電への支援も継続されており、今後も賦課金が高水準で推移する要因の一つとなっています。
まとめ:2026年度値上がりの背景
ポイント
2026年度の再エネ賦課金上昇は「再エネが急増したから」という単純な話ではありません。燃料価格の安定化による回避可能費用の縮小、洋上風力や連系ケーブルへの費用負担の拡大が複合的に作用した結果です。再エネの買取単価(価格)自体は太陽光を中心に下落しており、新規設備ほど調達コストは安くなっています。
2026年度の家庭への影響|世帯別の負担額シミュレーション

2026年度の単価4.18円/kWhを使った、世帯規模別の負担額の試算です。
| 世帯規模 | 月の使用量の目安 | 月額負担 | 年間負担 | 前年度(3.98円)比 |
|---|---|---|---|---|
| 1人暮らし | 160kWh | 約669円 | 約8,026円 | 年間+約384円 |
| 2人世帯 | 280kWh | 約1,170円 | 約14,045円 | 年間+約672円 |
| 3人世帯 | 330kWh | 約1,379円 | 約16,552円 | 年間+約792円 |
| 4人世帯 | 420kWh | 約1,756円 | 約21,067円 | 年間+約1,008円 |
※電気使用量は目安です。実際の使用量によって異なります。
前年度(3.98円)との差は月あたり0.2円/kWhであり、単純な賦課金の上昇幅だけを見れば月80〜100円程度の増加にとどまります。
注意:補助終了との「ダブルパンチ」に要注意
2026年度に家庭の電気代を大きく押し上げる主因は、再エネ賦課金の上昇よりも、政府の電気・ガス料金支援(補助)の終了にあります。
政府は2026年1〜3月の使用分について、1kWhあたり最大4.5円の補助を実施していました。
この補助が2026年3月使用分(4月請求分)をもって終了したため、4月使用分(5月請求分)以降は補助終了による600〜1,800円超の上昇が発生します。
つまり、2026年5月以降の電気代明細は次の2つが同時に影響します。
| 変化の要因 | 家庭への影響 |
|---|---|
| 政府補助の終了 | 月600〜1,800円超の増加(最大4.5円/kWh) |
| 再エネ賦課金の改定 | 月80〜100円の増加(0.2円/kWh) |
電気代明細を見て「再エネのせいだ」と感じる場合でも、実際の負担増の大部分は補助終了が原因である可能性が高い点は、正確に理解しておくことが重要です。
再エネ賦課金は今後どうなるのか

短期的(〜2027年度)には高水準が続く見通しです。
回避可能費用が安定している間は値下がりの要因が働きにくく、洋上風力・連系ケーブル整備への費用負担が継続することから、4円台が当面の「新常態」となる可能性が高いと見られます。
一方、2030年以降は緩やかな低下の可能性もあります。
高コストのFIT契約の買取期間が順次終了することで、買取費用全体が縮小していくためです。
ただし予想より単価上昇が早く進んでいる現状から、推計どおりに低下するかは不透明です。
ポイント
再エネ賦課金が急に大幅下落する可能性は低い状況です。中期的には4円前後の高水準を前提とした電気代計画を立てておくことが賢明です。
再エネ賦課金の負担を軽減するためにできること

再エネ賦課金は国が定める全国一律の制度であり、電力会社を変えても金額は変わりません。
負担を減らすためには、電気の使用量そのものを減らすか、自家発電で電力購入量を減らすかのアプローチが基本になります。
再エネ賦課金の削減策は、大きく「使用量を減らす」「自家発電で購入量を減らす」の2方向です。
| 対策 | 効果の特徴 |
|---|---|
| 省エネ家電への買い替え | 大型家電(エアコン・冷蔵庫・洗濯乾燥機)は10年以上前との比較で消費電力が大幅改善。寿命を迎えたタイミングで省エネラベル上位機種を選ぶと長期的に有効 |
| 給湯器のエコ運転活用 | 給湯器の「エコ運転」モードや設定温度の最適化で、電気・ガス消費量を抑制できる。機種ごとの設定は取扱説明書を参照 |
| エアコンのフィルター清掃 | 目詰まりしたフィルターは冷暖房効率を低下させ電力消費を増やす。夏前(5〜6月)と冬前(11月頃)の定期清掃が効果的 |
| LED照明への切り替え | 蛍光灯からLEDへの置き換えで照明の消費電力を大幅削減。日常的に使う設備のため長期節電効果が出やすい |
| 太陽光発電・蓄電池の導入 | 自家消費分は電力購入不要となるため、賦課金の課税ベースを直接削減できる。初期費用が必要だが補助金制度も活用可能 |
ポイント
再エネ賦課金は「電気を買う量」に比例します。電力会社を変えても単価は変わりませんが、使用量を減らすことで負担を直接抑えることができます。
再エネ賦課金に関するよくある質問
Q1. 再エネ賦課金は電力会社によって金額が変わりますか?
いいえ、変わりません。再エネ賦課金は経済産業大臣が決定する全国一律の単価(2026年度:4.18円/kWh)が適用されます。東京電力でも関西電力でも、新電力でも、同じ使用量であれば負担額は同じです。
Q2. 2026年度の適用期間はいつからいつまでですか?
2026年5月検針分から2027年4月検針分までの1年間が対象です。電気料金の明細書には2026年6月請求分から4.18円/kWhが反映されます。
Q3. 太陽光発電を設置すれば再エネ賦課金がゼロになりますか?
電力会社から購入する電力量が減った分だけ、再エネ賦課金の負担も減ります。ただし夜間・曇天時など発電できない時間帯は電力購入が発生するため、完全にゼロにはなりません。蓄電池と組み合わせることでより多くの自家消費が可能になります。
Q4. 再エネ賦課金はいつ廃止されますか?
廃止時期は現時点で決まっていません。ただし、高コストのFIT契約の買取期間が順次終了する2030年以降は、賦課金単価が緩やかに低下していくという見通しもあります。一方、洋上風力や地域間連系ケーブルへの費用負担が新たに加わる要因もあることから、見通しは不透明な面があります。
Q5. 再エネ賦課金を減免してもらえる制度はありますか?
電気を大量に使用する製造業者などには、賦課金減免制度があります。電気の使用量が一定規模を超える事業者が対象で、事業の種類や省エネへの取り組み状況によって2割〜8割の減免が受けられる場合があります。一般家庭向けの減免制度は設けられていません。
まとめ

2026年度の再エネ賦課金単価は1kWhあたり4.18円と、制度開始以来の過去最高を更新しました。
この上昇は、燃料価格の安定化による回避可能費用の縮小、洋上風力・連系ケーブルへの費用負担拡大が主な要因です。
家庭への影響をまとめると、以下のとおりです。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 2026年度単価 | 4.18円/kWh(前年度比+0.20円) |
| 適用期間 | 2026年5月検針分〜2027年4月検針分 |
| 4人世帯の年間負担 | 約2万1,000円(月1,756円) |
| 前年度との差(4人世帯) | 年間+約1,008円 |
| 注意すべき点 | 補助終了(最大4.5円/kWh)の影響の方が体感増加は大きい |
再エネ賦課金は電力会社を変えても削減できませんが、電気使用量を減らすことで負担を抑えることが可能です。
省エネ家電の活用、給湯器のエコ運転、エアコンのフィルター管理など、日常的な節電から取り組んでみてください。
また、電気代全体の見直しとしては、電力会社・料金プランの比較検討も有効な手段のひとつです。
ご自身の使用パターンに合ったプランに切り替えることで、賦課金以外のコスト削減につながる場合がありますので、今一度電力会社の変更や料金プランの変更も視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか?
本記事は経済産業省資源エネルギー庁の公表データ(2026年3月19日発表)に基づいて作成しています。単価や負担額は目安であり、実際の請求額は契約内容・使用量によって異なります。

