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ユニットバスが受注停止になった原因とは|TOTO・LIXIL・パナソニックへの影響と今後の対応策

窓から自然光が差し込む白基調の浴室で、水が張られたシンプルな浴槽と観葉植物が配置された清潔感のあるバスルーム空間
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

新築やリフォームでユニットバスを検討していた方に、見逃せない事態が起きています。
2026年4月13日、住宅設備大手のTOTOがユニットバス・システムバスの新規受注を当面の間停止すると発表し、住宅業界に大きな衝撃が走りました。
さらにLIXIL、そしてパナソニックも同様の影響を受けており、主要メーカーが軒並み供給体制の見直しを迫られるという前例のない状況となっています。

「お風呂のリフォームを頼もうとしたら、納期が出せないと言われた」「新築の打ち合わせ中なのに、ユニットバスが選べなくなるかもしれないと言われた」
——そうした不安の声が、施主や建築関係者から多数上がっています。

この記事では、なぜユニットバスが受注停止になったのか、その構造的な原因をわかりやすく解説したうえで、各メーカーの現状と、今リフォーム・新築を検討している方が取るべき行動を整理します。


目次

ユニットバス受注停止の直接的な原因:ナフサ不足

ナフサ不足により供給が減少し、石油化学プラントと日用品の生産に影響が出ている様子を示したイラスト

ホルムズ海峡の通航制限という震源地

今回の受注停止の根本にあるのは、中東情勢の緊迫化です。
ペルシャ湾と外洋を結ぶホルムズ海峡は、世界の原油輸送量の約2割が通過する極めて重要な海上ルートです。
この海峡周辺での通航制限が続いたことで、日本向けの石油化学基礎原料の調達環境が急速に悪化しました。

TOTOは2026年4月10日の時点で「中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡周辺の通航制限等に伴い、原油・ナフサをはじめとする石油化学基礎原料の供給環境が急速に悪化している」との声明を公式サイトに掲載しており、状況が悪化した4月13日に正式な受注停止を卸業者などに通知しました。

ユニットバスとナフサの切っても切れない関係

「ナフサ」という言葉を聞いても、浴室とどう結びつくのかピンとこない方も多いかもしれません。
ナフサ(粗製ガソリン)とは、原油を精製する過程で得られる石油化学の基礎原料で、プラスチックや合成繊維、塗料、接着剤など、私たちの身の回りの無数の製品の出発点となっている素材です。

ユニットバスにおいては、主に以下の部分でナフサ由来の素材が使われています。

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使用箇所ナフサ由来の材料役割
壁・天井パネルフィルム接着剤(有機溶剤)表面フィルムをパネルに貼り合わせる
人工大理石浴槽コーティング剤(有機溶剤)表面の光沢・耐久性を確保する
樹脂部品全般合成樹脂(ポリエチレン・ポリプロピレン等)棚・ドア枠・排水部材など

なかでも今回の直接の引き金となったのは、壁・天井フィルムの接着剤と人工大理石浴槽のコーティング材に含まれる有機溶剤です。
これらはナフサを原料として製造されており、中東情勢の緊迫化によってナフサの調達が滞ると、製造工程のごく初期段階で手詰まりが生じてしまいます。

「原油はあるのにナフサが足りない」という構造問題

ここで重要なのは、日本が原油の備蓄を一定量保有していても、それがすぐにナフサ不足の解消につながらないという点です。
原油備蓄は主に石油製品(ガソリン・灯油・重油など)の供給確保を目的としたものであり、石油化学向けのナフサは別のサプライチェーンで流通しています。

化学産業のサプライチェーンは多層構造になっており、ナフサ→エチレン等の基礎化学品→中間素材→最終製品という複数の工程を経て製品が作られます。
ホルムズ海峡の通航制限でナフサの輸入が細ると、この複雑な流通網の各所で「目詰まり」が同時多発的に発生します。
これが、ユニットバスという比較的川下の産業にまで急速に影響が波及した理由です。


各メーカーの現状:TOTO・LIXIL・パナソニックはどうなっているか

ユニットバスとトイレを左右に分けて比較したシンプルな室内イラスト(左に浴槽とシャワー、右に洋式トイレと手洗いカウンター)

TOTO:新規受注を全面停止

住宅設備最大手のTOTOは2026年4月13日付で、システムバス・ユニットバス・トイレユニットの全シリーズについて新規受注の停止を卸業者に通知しました。
なお、トイレ単体については受注が可能な状況です。
同社広報は「現時点において再開の目途は立っていない」と説明しており、東日本大震災やコロナ禍・ウクライナ戦争の際も含め「直近でここまで見通しが立たないことは初めて」と異例の事態であることを認めています。

TOTOのユニットバス・システムバスの売上高は2025年3月期で約1,107億円と、同社の日本事業の約23%を占める主力製品群です。
この受注停止の発表を受けて、TOTO株は一時前週末比8.8%安にまで急落しました。

なお、既に納期回答を行っている受注済み案件については生産・出荷を継続しているため、すでに発注済みのお客様は担当業者に確認することをお勧めします。

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項目内容
停止開始日2026年4月13日
対象製品システムバス・ユニットバス・トイレユニット全シリーズ
再開見通し未定(「見通し立たず」)
既存受注分生産・出荷は継続

LIXIL:納期未定で事実上の受注制限へ

LIXILはTOTOより一足早い4月9日〜10日の段階で「中東情勢の緊迫化に伴う製品供給への影響について」という声明を公表し、石油由来原材料(樹脂等)の供給制限やコスト上昇により「生産活動に影響が生じており、今後さらに深刻化する懸念がある」と明らかにしていました。

その後、TOTOの受注停止を受けて通常を上回る発注が殺到したことも重なり、4月14日から同日受注分のユニットバスについて納期を未定とする措置をとりました。
受注そのものは停止していないものの、出荷を確約できない状態であり、今後の状況によっては受注停止に踏み切る可能性も示しています。

LIXILは窓・ドア・キッチンなど多岐にわたる製品を展開していますが、ユニットバスについては樹脂部品やアルミニウムの調達コスト上昇も重なっており、価格改定を含む供給条件の見直しが避けられない状況となっています。

パナソニック ハウジングソリューションズ:バス・トイレ商品が納期未定に

パナソニック ハウジングソリューションズ(PHS)は2026年4月14日、中東情勢の影響によるナフサ等一部素材の調達の不安定化を理由に、同日以降に受注したバス・トイレ関連商品の納期を「未定」とすると顧客に通知しました。
対象にはトイレ「アラウーノ」を含むバス・トイレ関連商品全般が含まれます。

同社は「現時点では価格変更や受注中止の予定はない」としていますが、「今後の受注量の状況によって、納期の回答ができなくなる可能性もある」とも説明しており、事実上の供給制限状態に入っています。
4月13日までに受注した商品については納期通り納品するとしています。

なお、PHS社は2026年3月にYKKグループ入りしており、「パナソニック」ブランドではあるものの、現在はパナソニックホールディングスから独立した体制となっています。

タカラスタンダード:比較的影響が小さい理由

こうした状況の中、業界内外から注目を集めているのがタカラスタンダードです。
同社のユニットバスはホーロー(金属にガラスを高温で焼き付けた素材)を主な壁パネルとして採用しており、ナフサ由来のフィルム接着剤が他社よりも影響しにくい製法となっています。

ただし、タカラスタンダード自身も2026年4月13日付で「原材料の調達が不安定な状況であり、長期化した場合には納期・数量・価格に影響が発生する可能性がある」と発表しています。
受注を継続している点でTOTO・LIXILと異なりますが、TOTO・LIXILからの乗り換え需要が急増することによる納期の長期化は避けられないとみられます。


各メーカーの現状比較

メーカー受注状況詳細
TOTO新規受注停止4月13日付。再開時期未定。既存受注分は生産継続
LIXIL納期未定(受注継続)4月14日受注分から納期確約不可。受注停止の可能性も示唆
パナソニック ハウジングソリューションズ納期未定(受注継続)4月14日付でバス・トイレ関連商品(アラウーノ等)が対象。「現時点では受注中止の予定はない」と説明。
タカラスタンダード受注継続ホーロー製法でナフサ依存が低いが、価格・納期影響の可能性あり
クリナップ新規受注停止4月15日以降のシステムバスルームの新規受注を停止。再開の目途は立っていないとしている

※2026年4月14日時点の情報。状況は日々変化しているため、各メーカー公式サイトおよび施工会社への確認を推奨します。


リフォーム・新築予定者が今すべきこと

木造住宅のリフォーム現場で、天井の下地作業を行う作業員と脚立が並ぶ解体途中の室内風景

すでに契約・発注済みの方

まず確認すべきことは、発注済みの製品が「納期回答済み」の状態かどうかです。
TOTOでは、すでに納期を確定している受注分については生産・出荷を継続すると明言しています。
担当の施工会社や工務店に連絡し、以下の点を確認してください。

  • 発注済み製品の納期はすでに確定しているか
  • 納期確定前の場合、代替メーカーへの切り替えは可能か
  • 変更に伴うコスト差額はどうなるか

検討中・打ち合わせ中の方

現時点でTOTOのユニットバスを検討していた場合は、早急にプランの再検討を始める必要があります。
受注再開の見通しが立っていない以上、いつ注文できるようになるかは不透明です。

代替メーカーへの切り替えを検討する際は、タカラスタンダードのショールームに早めに予約を入れることをお勧めします。
乗り換え需要が集中すれば、ショールームの混雑や納期の長期化が進む可能性があるためです。

なお、住宅リフォームに関しては現在も各種補助金制度が継続されていますが、制度の期限や予算枠があるため、リフォームプラン自体の検討は遅らせず、設備の発注を待つ形で進めることが賢明です。

新築を計画中の方

ユニットバスは新築住宅において必須の設備です。
受注停止が長期化すれば、建築スケジュール全体に影響が及ぶ可能性があるでしょう。
ましてや家を建築する上で、戸建てでも集合でもユニットバスというのは一番最初に組み立てるものなので尚更厄介といえます。
ハウスメーカーや工務店の担当者に、現時点での選択肢と納期見通しを確認してください。

建築スケジュールに余裕がある場合は、受注再開後に改めて検討するという選択肢もあります。
一方で着工時期が決まっている場合は、タカラスタンダードや今後受注を継続しているメーカーへの変更を含めて、早急な意思決定が必要になります。


今後の見通しと長期的な影響

石油精製プラントの全景で、複雑に組まれた配管設備が高解像度で写された工業施設の様子

短期的な見通し

中東情勢が正常化しない限り、ナフサの供給不安は続くとみられています。
化学産業のサプライチェーンは多層的であることから、仮にホルムズ海峡の通航が再開されたとしても、実際にユニットバスの生産・供給が正常化するまでには一定の時間を要する可能性があります。

また、受注停止が解除された後も、積み上がった受注の処理に時間がかかることから、コロナ禍の給湯器不足の際と同様に「受注再開後も数か月待ち」という状況になることも十分考えられます。

中東依存のサプライチェーンが抱える構造的リスク

今回の事態が改めて浮き彫りにしたのは、日本の石油化学産業が中東産ナフサへの依存度が高いという構造的な脆弱性です。
国内の製造業全体が、エネルギーに限らず化学原料の調達においても中東情勢の影響を直接受けるリスクを抱えていることが、今回の受注停止という形で住宅設備という身近な場面で可視化されました。

代替調達先としてインド・東南アジア・北米などからのナフサ調達を拡大する動きが進んでいますが、既存の中東依存構造から転換するには相当な時間とコストを要する見通しです。

ユニットバス以外への波及可能性

ユニットバス以外の住宅設備・建材でも、ナフサ由来素材を使う製品は少なくありません。
断熱材・塗料・接着剤・配管部材など、住宅建設に関わる多くの資材が石油化学素材に依存しています。
状況の長期化によってはこれらの分野にも影響が広がる可能性があり、住宅業界全体での建設コスト上昇や工期の長期化が懸念されています。


よくある質問(Q&A)

Q. すでにTOTOのユニットバスを発注していますが、届かなくなりますか?

A. TOTOは「すでに納期回答を行っているご注文については予定通り出荷する」と明言しています。ただし、まだ納期が確定していない発注については影響を受ける可能性があります。施工会社に現在の発注状況を確認してください。

Q. LIXILはなぜ受注停止ではなく「納期未定」なのですか?

A. LIXILは受注自体は継続しているものの、出荷時期を確約できない状況です。TOTOの受注停止を受けて発注が急増したことに加え、ナフサ由来素材の調達が不安定であることが重なり、納期の確定が困難な状態となっています。状況次第では受注停止に踏み切る可能性も同社は示しています。

Q. タカラスタンダードに切り替えれば問題ないですか?

A. タカラスタンダードはホーロー壁パネルを採用しているため、今回の受注停止の直接の原因であるフィルム接着剤(有機溶剤)の影響は比較的小さいとされています。ただし、タカラスタンダード自身も「長期化した場合は納期・数量・価格に影響が出る可能性がある」と発表しており、乗り換え注文の集中による納期の長期化も懸念されます。できるだけ早めに問い合わせ・見積もりを進めることをお勧めします。

Q. 受注停止はユニットバス以外にも広がりますか?

A. 現時点ではTOTOのユニットバス・システムバス・トイレユニットが受注停止の対象です。ユニットバス以外の製品(トイレ単体・洗面台等)については通常通り受注を受け付けているとTOTOは説明しています。ただし、状況が変わる可能性もあるため、最新情報の確認が必要です。また、他の住宅設備・建材メーカーへの影響が徐々に広がる可能性については業界内で懸念が示されています。

Q. 今はリフォームを先送りにしたほうがよいですか?

A. 一概にはいえませんが、受注再開後に注文が殺到して長期待ちとなる可能性があることを踏まえると、リフォームプランの検討や見積もりを先に進めておき、受注できる状況になったタイミングで素早く動けるよう準備しておくのが賢明です。補助金の申請期限などにも注意しながら、担当業者と早めに相談することをお勧めします。


まとめ

グレーのアクセント壁と白い浴槽が特徴的な、清潔感のあるユニットバスの室内空間

2026年4月、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡周辺の通航制限が引き金となり、ナフサ由来の有機溶剤が不足。
TOTOがユニットバス・システムバスの新規受注を全面停止し、LIXILとパナソニックも納期未定という状況に追い込まれています。

この事態の本質は、日本の石油化学産業が中東産ナフサへの依存度が高いという構造的な問題と、化学品サプライチェーンが多層的であるがゆえに川下の製造業に急速に影響が伝播するという点にあります。

リフォームや新築でユニットバスを検討中の方は、以下のポイントを押さえて対応してください。

  • 発注済みの方:施工会社に納期確定の有無を今すぐ確認する
  • 検討中の方:タカラスタンダードなど代替メーカーを含め、早めに選択肢を広げる
  • 新築計画中の方:ハウスメーカー・工務店に建築スケジュールへの影響を確認する
  • 全員共通:情報は日々変化しており、メーカー公式サイトと担当業者からの一次情報を優先する

今後の中東情勢の動向や各メーカーの公式発表を継続的に確認しながら、柔軟に対応することが大切です。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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