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住宅のコーキング工事費が上がる?シリコーン値上げの背景と対策

外壁のひび割れにコーキング剤を充填して補修している様子
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

「最近、お風呂や外壁のコーキングを直そうと思っているのに、見積もりが以前より高くなっている気がする」——そう感じている方は、2026年の今、少なくないのではないでしょうか。

その背景のひとつにあるのが、シリコーンの値上げです。
2026年4月17日、シリコーン国内トップメーカーがシリコーン全製品を10%以上値上げすると発表しました。
5月1日出荷分から適用されるこの改定は、住宅の水回りや外壁補修のコーキング工事費にも、じわじわと影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、シリコーンとはどんな素材なのか、住宅のどこに使われているのか、今回の値上げによって家庭の工事費がどう変わるのかを、わかりやすく解説します。
コーキングの補修を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。


目次

シリコーンとは何か|住宅で使われる理由

外壁の目地にマスキングテープを貼り、コーキングガンで白いシーリング材を充填している様子

シリコーンの基本的な性質

シリコーン(シリコーン樹脂)は、ケイ素(Si)と酸素を骨格とした有機化合物です。
プラスチックや天然ゴムとは異なり、温度変化に強く、紫外線や水分にも劣化しにくいという特性を持ちます。

住宅材料に求められる条件——耐熱性・耐候性・防水性・柔軟性——をバランスよく備えているため、建材・シーリング材・工業用途など、幅広い分野で使われています。

なお、「シリコン」と「シリコーン」は混同されがちですが、半導体に使われる元素「シリコン(Silicon)」と、ここで扱う有機化合物「シリコーン(Silicone)」は別物です。
ホームセンターでよく見かける「シリコンコーク」も、正確にはシリコーン系コーキング材のことを指しています。

住宅のどこにシリコーンが使われているか

一般家庭において、シリコーンは目に見えない部分も含めて幅広く使われています。代表的な用途を整理すると、以下のとおりです。

使用箇所用途・役割
浴槽・洗面台・シンク周り防水・防カビシーリング
サッシ・窓ガラス周り気密・防水目地シール
外壁目地・タイル目地防水・クッション目地材
給湯器・配管の取付部隙間シール・防水処理
レンジフード・換気扇周り壁面との隙間シール
屋根・棟板金の継ぎ目雨水侵入防止シール

このうち特に身近なのが、浴室や洗面台周りの白いゴム状のパッキンです。
あれがシリコーン系コーキング材の代表例です。経年劣化でカビが生えたり、ひび割れてきたりしたときに打ち替えが必要になります。


今回のシリコーン値上げ|何が起きているのか

ホームセンターの棚に並ぶシーリング材や接着剤がイラスト風に描かれた売り場の様子

発表内容の概要

2026年4月17日、シリコーン国内シェア首位のメーカーが、シリコーン全製品を対象に10%以上の値上げを実施すると発表しました。
適用は2026年5月1日出荷分からです。

値上げの理由として公表されているのは、以下のコスト増加要因です。

  • 原材料(ナフサ由来のトルエン・キシレン等)の価格高騰
  • 製造用エネルギーコストの上昇
  • 人件費・工場建設費・設備補修費の増加
  • 包装資材・物流費などの副資材コスト上昇

これらが複合的に重なり、自社のコスト削減努力だけでは吸収しきれないと判断しての改定です。

ナフサ高騰がシリコーン価格を押し上げる仕組み

シリコーンの製造には、ナフサ(原油を精製して得られる粗製ガソリン)から作られるトルエンやキシレンが原料として使われます。
2026年に入り、中東情勢の緊迫化でナフサ供給が逼迫し、価格が急騰しています。

原油→ナフサ→トルエン・キシレン→シリコーン、という川上から川下への価格転嫁が起きており、最終的に住宅用シーリング材の価格にも影響が波及する構図です。

ポイント 今回の値上げは「シリコーン原料」のコスト上昇が主因です。住宅用コーキング材は工業製品への供給が優先されるため、家庭向け製品への価格転嫁には若干のタイムラグが生じる場合がありますが、工事業者が調達する業務用資材の価格には早期に影響が出てくると考えられます。


シリコーン値上げが住宅コーキング工事に与える影響

外壁の目地部分にマスキングテープを貼り、コーキングガンでシーリング材を充填している作業のイラスト

コーキング材の種類と価格への影響度

住宅に使われるコーキング材(シーリング材)には複数の種類があります。
今回の値上げで影響を受けるのは、シリコーン系の製品が中心です。

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種類主な用途値上げの影響
シリコーン系水回り・ガラス・サッシ周り直接影響あり
変成シリコーン系外壁目地・サイディング原料が異なるため影響は限定的
ウレタン系外壁塗装仕上げ目地影響なし
アクリル系内装目地・間仕切り影響なし

シリコーン系コーキング材は、浴室・キッチン・洗面台まわりの水回りに使われる場面が最も多い素材です。
耐水性・防カビ性・柔軟性に優れ、水回りのシーリングには不可欠な存在です。

一方、外壁補修によく使われる「変成シリコーン系」は、名称に「シリコーン」が含まれますが、実際の主原料はポリエーテル樹脂であり、今回のシリコーン値上げの直接的な影響は受けにくい素材です。

コーキング工事費への影響はどれくらいか

コーキング工事費の内訳は大きく「材料費」と「施工費(人件費)」に分かれます。

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費用項目割合の目安値上げ影響
材料費(コーキング材)全体の20〜30%程度シリコーン系は10%以上の値上げ
施工費(職人の人件費)全体の70〜80%程度今回は直接影響なし

コーキング工事費全体に占める材料費の割合はおよそ2〜3割程度とされています。
シリコーン材料費が10%以上上昇したとしても、工事費全体への影響は数%程度に留まる計算になります。

ただし、これはあくまで単純計算の話です。実際には以下のような要因も工事費を押し上げている可能性があります。

  • 職人の人件費・出張費の上昇(人手不足による単価上昇)
  • 下地処理材・マスキングテープなどの副資材コスト増
  • 業者の利益率調整

「見積もりが以前より上がった」という感覚は、今の市場全体の傾向と一致しています。

特に影響が出やすい工事の種類

今回のシリコーン値上げで、特に材料費への影響が出やすいのは以下の工事です。

水回りのコーキング打ち替え 浴槽・洗面台・キッチンシンク周りのコーキングは、シリコーン系が標準的に使用されます。経年劣化によるカビ・ひび割れの補修工事を検討している方は、5月以降の材料費上昇に注意が必要です。

給湯器交換工事の付帯コーキング 給湯器の交換工事では、本体設置後に配管の貫通部や外壁との取合い部分にシーリング処理が行われます。この部分にもシリコーン系コーキング材が使われることがあり、材料費に若干の上乗せが生じる可能性があります。

浴室リフォーム 浴室全体のリフォームでは、タイル目地・浴槽周り・ドア枠などに大量のシリコーン系コーキング材が使用されます。使用量が多いぶん、材料費の値上がり影響も相対的に大きくなる場合があります。


シリコーン系コーキング材を自分で補修する場合の注意点

床と巾木の隙間にコーキング材を丁寧に充填している作業風景

DIY補修は限られた場所に限定する

「工事費が上がるなら自分でやってしまおう」と考える方もいるかもしれません。
浴槽周りや洗面台まわりの軽微なコーキング補修であれば、DIYで対応できる場面もあります。
ただし、以下の点を事前に確認することが大切です。

DIYで対応しやすい箇所

  • 浴槽と壁の継ぎ目(打ち増しまたは打ち替え)
  • キッチンシンクと天板の隙間
  • 洗面台と壁の境目

業者に依頼すべき箇所

  • 外壁目地・サイディング目地(防水性能に直結するため)
  • 給湯器・配管の貫通部(設備に関わるため)
  • 屋根・棟板金周り(高所作業・専門知識が必要)
  • タイル全体の目地(施工量が多く仕上がりに差が出やすい)

DIYコーキングの手順と必要な道具

浴室などの水回りを自分で補修する場合、以下の手順と道具が基本です。

用意するもの

  • シリコーン系コーキング材(防カビタイプを選ぶ)
  • コーキングガン
  • マスキングテープ
  • ヘラ(コーキングヘラ)
  • カッター(古いコーキングを除去する際に使用)
  • ウエス・雑巾

補修の基本手順

  1. 古いコーキングをカッターで丁寧に除去する
  2. 下地をきれいに清掃し、水分・油分を完全に除去する
  3. マスキングテープを両側に貼り、仕上がりラインを確保する
  4. コーキングガンで均一にコーキング材を充填する
  5. ヘラで表面をならし、余分な材料を取り除く
  6. マスキングテープを剥がす(コーキングが硬化する前に行う)
  7. 完全硬化まで水がかからないように養生する(目安:24時間以上)

注意点 古いコーキングをきれいに除去せずに「増し打ち」するだけでは、剥がれやカビ再発の原因になります。打ち替え(全除去してから新たに充填)が推奨です。また、シリコーン系コーキング材は硬化後に塗装ができないため、塗装仕上げが必要な外壁補修には使用しないでください。

製品選びのポイント|防カビタイプを選ぶ理由

浴室など湿気が多い場所のコーキングには、必ず防カビタイプを選ぶことをおすすめします。
一般タイプは防カビ剤が入っておらず、浴室の湿気の多い環境では数ヶ月でカビが発生する可能性があります。

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タイプ特徴推奨場所
防カビタイプ防カビ剤配合・水回り専用浴室・洗面台・キッチン
一般タイプ標準的な耐候性・防水性窓枠・ガラス周り(乾燥した場所)
抗菌タイプ防カビ剤+抗菌剤浴室・医療施設など衛生管理が重要な場所

カラーはホワイト・グレー・クリアなどがあります。
既存のコーキングと色を合わせることで、補修後の見た目が自然に仕上がります。


コーキングの劣化サインと補修タイミング

シリコーンシーラントのコーキングガンを手に持っている様子

放置すると水漏れ・カビの原因になる

コーキングは消耗品です。使用環境にもよりますが、一般的に5〜10年程度で劣化が目に見えてきます。
劣化したまま放置すると、防水機能が失われ、壁の内部への水の侵入やカビの繁殖につながる可能性があります。

特に給湯器まわりや浴室は、水や蒸気に常にさらされているため、劣化が早い傾向があります。定期的に状態を確認することが重要です。

補修が必要な劣化サインの確認方法

以下のいずれかの状態が見られる場合は、早めの補修・打ち替えを検討してください。

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劣化サイン状態緊急度
カビが黒く広がっている防カビ効果が失われている中(清掃後に補修)
表面にひび割れがある経年硬化・収縮による亀裂高(防水機能低下)
コーキングが浮いている・剥がれている接着力の喪失高(水侵入リスクあり)
コーキングが縮んで隙間が生じている収縮・劣化高(早急に補修)
触ると硬くなっている弾性の喪失中(亀裂の前兆)

カビが表面に見えるだけであれば、防カビ剤入りの洗剤で清掃後に様子をみることもできます。
ただし、コーキング自体がひび割れていたり、浮き・剥がれが発生している場合は、水が内部に侵入している可能性があります。
このような状態になっている場合は、打ち替えを優先してください。


工事業者に依頼する場合の費用相場と見積もりのコツ

外壁のタイル目地にコーキングガンでシーリング材を充填している様子のイラスト

コーキング工事の費用目安

業者にコーキング補修を依頼する場合の費用は、施工方法・使用素材・施工箇所によって異なります。
以下は一般的な目安です。

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施工方法費用目安(1mあたり)特徴
打ち替え工事700〜1,200円/m古いコーキングを除去して新規充填。防水性能が高い
打ち増し工事500〜900円/m既存の上から充填。費用は安いが耐久性が劣る場合も

一般的な戸建て住宅の外壁コーキング打ち替えを全面的に行うと、施工延長が100〜150m程度になることもあり、合計費用が10〜20万円前後になるケースもあります。

浴室・水回りの部分補修であれば、1〜3万円程度から対応してくれる業者も多いです。
また5月以降は材料費の上乗せが見積もりに反映される可能性があります。
補修を検討している方は、早めに複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

相見積もり時の確認ポイント

業者に依頼する際は、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 使用するコーキング材の種類(シリコーン系か変成シリコーン系かなど)
  • 打ち替えか打ち増しか(作業内容の確認)
  • 下地処理の内容(プライマー塗布の有無)
  • 施工保証の有無と期間
  • 材料費と施工費の内訳が明示されているか

見積もり書に「一式」とだけ記載されている場合は、内訳を確認することをおすすめします。
材料費と施工費が分かれていると、今後の価格変動の影響を受ける部分がどこかを判断しやすくなります。


給湯器交換・リフォームを検討中の方への注意点

給湯器交換工事とシリコーンの関係

給湯器を交換する工事では、新しい給湯器本体の設置だけでなく、外壁の貫通部(配管が外壁を通る箇所)に防水シーリング処理が必要です。
この部分には、シリコーン系またはウレタン系のコーキング材が使用されます。

給湯器交換工事全体の費用に占めるシーリング材の割合は小さいため、今回の値上げによる工事費への影響は軽微です。
ただし、工事業者全体でコスト意識が高まっている状況で、複数箇所のシーリング作業が必要な大掛かりな工事では、影響がやや出やすい可能性があります。

給湯器の交換時期を迎えている方は、シーリング材の価格動向だけでなく、給湯器本体の価格・工事費の全体像を複数業者で比較検討することが重要でしょう。

浴室リフォームでは材料費への影響が相対的に大きい

浴室全体のリフォームでは、タイル目地・浴槽周り・ドア枠・換気扇周りなど、多くの箇所でシリコーン系コーキング材を使用します。
使用量が多いぶん、材料費上昇の影響が工事費全体に占める割合も相対的に高くなります。

浴室リフォームを計画中の方は、できるだけ早めに複数の業者から見積もりを取り、資材価格の動向を業者に確認しながら施工時期を検討することをおすすめします。


よくある質問(Q&A)

Q. シリコーン系コーキングと変成シリコーン系コーキングは何が違いますか?

A. 大きな違いは「硬化後に塗装できるかどうか」です。シリコーン系は塗装ができないため、浴室・水回り・ガラス周りなど塗装の不要な場所に使います。変成シリコーン系は塗装ができるため、外壁目地やサイディングの補修など、塗装仕上げが必要な場所に使います。なお、変成シリコーン系の主原料はポリエーテル樹脂であり、今回のシリコーン値上げによる直接的な材料費影響は受けにくい素材です。

Q. 浴室のコーキングは自分で補修できますか?

A. 浴槽と壁の継ぎ目など、アクセスしやすい限られた箇所であれば、DIYでの対応も可能です。ただし、古いコーキングを完全に除去してから新しいコーキング材を充填する「打ち替え」が基本です。下地の状態が悪い場合や、広い範囲にわたる補修が必要な場合は、仕上がりの品質や防水性能の観点から、業者への依頼を検討してください。

Q. コーキングの打ち直しはどのくらいの頻度で必要ですか?

A. 使用環境によって異なりますが、浴室など湿気の多い場所では5〜8年程度が一般的な目安です。防カビタイプのシリコーン系コーキング材を使用することで、カビの発生を抑えつつ耐久性を維持できます。定期的に目視でひび割れや浮き・剥がれがないかを確認し、劣化サインが見られたら早めに補修することで、壁内部への水の侵入を防ぐことができます。

Q. シリコーン値上げの影響はいつ頃から工事見積もりに反映されますか?

A. 今回の値上げは2026年5月1日出荷分からの適用です。工事業者が調達している在庫の消化状況によって差はありますが、5月〜6月頃以降の見積もりに材料費が転嫁されてくる可能性があります。補修を検討している方は、早めに見積もりを取ることで、価格上昇前に工事を進められる場合があります。

Q. コーキング工事の費用を抑える方法はありますか?

A. 複数の業者から相見積もりを取ることが最も効果的です。また、小規模な補修であれば防カビタイプのシリコーン系コーキング材を使ってDIYで対応することで、材料費のみに費用を抑えられます。一方で、外壁や屋根まわりなど専門的な判断が必要な箇所は、DIYによる施工不良が後々の水漏れにつながるリスクがあるため、業者への依頼が安全です。


まとめ

コンクリートの立ち上がりと床の継ぎ目にシーリング材を充填している作業風景(

今回の信越化学工業によるシリコーン全製品10%以上の値上げは、住宅のコーキング工事費にも影響を及ぼす可能性があります。
ただし、コーキング工事費全体に占める材料費の割合は2〜3割程度であるため、工事費全体への影響は数%程度に留まる計算です。

記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。

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項目まとめ
値上げの内容シリコーン全製品10%以上、2026年5月1日出荷分から
住宅への影響浴室・水回りのコーキング材(シリコーン系)に直接影響
外壁補修への影響変成シリコーン系は主原料が異なるため直接影響は限定的
DIY補修浴室など限られた箇所は対応可能。防カビタイプを選ぶ
業者依頼早めの見積もり取得が有効。5月以降に材料費転嫁の可能性

補修を検討している方は、5月以降の価格転嫁が本格化する前に、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
また、小規模な水回りの補修であれば、防カビタイプのシリコーン系コーキング材を使ったDIY補修も選択肢のひとつです。

家のコーキングは目立たない部分ですが、防水性能を維持するうえで非常に重要な役割を果たしています。
劣化サインを見逃さず、適切なタイミングで補修することが、住まいを長く守ることにつながりますので、補修をお考えの方は早めに検討してみてはいかがでしょうか。


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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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