長府製の石油給湯器に321や322と表示された。
調べると「サーミスタの断線またはショート」と出てくるが、それが何を意味するのか分からない。
サーミスタとは、温度によって電気の流れやすさが変わる性質を利用した温度センサーです。
石油給湯器の内部には複数のサーミスタが配置され、水の通り道のそれぞれの地点で温度を見張っています。
そのため、番号ごとに「どこの温度が測れなくなったか」が違います。
そして、ここが実用上いちばん大切なのですが、壊れた場所によって、お湯が使えるかどうかが変わります。
この記事では14のコードを場所ごとに整理し、給湯が使えるケースと止まるケースを切り分けていきますので、ぜひご参考ください。
このページで扱うエラーコード
| 表示 | 対象のサーミスタ | 給湯の可否 |
|---|---|---|
| 311 | 給水サーミスタ | 運転停止 |
| P5 | 給水サーミスタ | 運転停止 |
| 321 | 給湯サーミスタ | 運転停止 |
| E5 | 給湯サーミスタ | 運転停止 |
| 322 | 缶体サーミスタ | 運転停止 |
| F2 | 缶体サーミスタ | 運転停止 |
| 330 | 缶体出口サーミスタ | 運転停止 |
| H2 | 缶体出口サーミスタ | 運転停止 |
| 331 | 缶体入口サーミスタ | 運転停止 |
| H3 | 缶体入口サーミスタ | 運転停止 |
| 312 | ふろサーミスタ | 給湯は使用可能 |
| F5 | ふろサーミスタ | 給湯は使用可能 |
| P7 | お湯はりサーミスタ(KIB-322SGXが対象) | 給湯は使用可能 |
| 2・5 | 浴室リモコンの表示。台所リモコンで確定させる | 表示により異なる |
サーミスタは水の通り道を見張っている
番号をひとつずつ覚える必要はありません。
水がどこを通っていくかを追えば、自然と整理できます。
石油給湯器の中で、水はおおむね次の順に進みます。
- 水道から入ってくる(給水サーミスタが見ている)
- 熱交換器に入る(缶体入口サーミスタ)
- 熱交換器で温められる(缶体サーミスタ)
- 熱交換器から出る(缶体出口サーミスタ)
- 蛇口やシャワーへ向かう(給湯サーミスタ)
これとは別に、浴槽との間を循環する経路があります。
- 浴槽の湯の温度を見る(ふろサーミスタ)
- お湯はりの温度を見る(お湯はりサーミスタ)
| 見ている場所 | 該当するコード |
|---|---|
| 入ってくる水の温度 | 311・P5 |
| 熱交換器の入口 | 331・H3 |
| 熱交換器そのもの | 322・F2 |
| 熱交換器の出口 | 330・H2 |
| 出ていくお湯の温度 | 321・E5 |
| 浴槽の湯の温度 | 312・F5 |
| お湯はりの温度 | P7 |
同じ場所を見ているのに番号が2つあるのは、機種によって表示のしかたが違うためです。
たとえば321とE5はどちらも給湯サーミスタで、内容は同じです。
解除方法は2種類しかない
長府の一覧を読むと、これらのコードの警報解除方法は2種類に分かれています。
そしてこの違いが、今日お湯を使えるかどうかを決めます。
| 解除方法の記載 | 該当するコード | 意味 |
|---|---|---|
| 正常温度検出(交換)により復帰します | 311・321・322・330・331・E5・F2・P5・H2・H3 | リモコン操作では解除できない |
| 運転スイッチのOFF/ONにより警報解除・給湯は使用可能 | 312・F5・P7 | ふろ系。給湯は継続して使える |
つまり、リセットを試す価値があるのはふろ系だけです。
給湯・給水・缶体系のサーミスタが壊れている場合、リモコンを何度操作しても状況は変わりません。
ふろ系なら給湯は使える
312・F5・P7が表示されている場合、長府は明確に「給湯は使用可能です」としています。
これは実務的に大きな違いです。
- できないこと:追いだき、自動お湯はり(機種により異なります)
- できること:蛇口とシャワーからのお湯の使用
お風呂に入れないわけではありません。
浴槽に蛇口からお湯を張れば、入浴そのものは可能です。
追いだきができないため冷めたら足し湯で対応することになりますが、修理までの数日をしのぐことはできます。
なお、P7には注意点があります。
KIB-322SGXが対象の場合はお湯はりサーミスタの断線またはショートですが、KIB-3300(WG・WF)・3840WFが対象の場合は循環水(不凍液)が規定水位以下になったことを意味します。
後者は暖房系の話で、対処もまったく違います。
P7が出たら機器前パネルの銘板で型名を確認してください。
給湯・給水・缶体系は運転が止まる
一方、311・321・322・330・331とその同義コードは運転停止をともないます。
なぜ止まるのかは、それぞれのサーミスタの役割を考えると分かります。
給水サーミスタ(311・P5)
入ってくる水の温度が分からなければ、どれだけ加熱すればよいかを計算できません。
冬の5℃の水と夏の25℃の水では、必要な熱量がまったく違うためです。
給湯サーミスタ(321・E5)
出ていくお湯の温度が分からなければ、設定温度に合っているかを確認できません。
熱すぎるお湯が出ても検知できないことになります。
缶体サーミスタ(322・F2)
これがもっとも重い意味を持ちます。
缶体、つまり熱交換器そのものの温度を見張っているセンサーだからです。
缶体の温度が測れない状態は、過熱を検知できない状態でもあります。
機器が異常な高温になっても気づけないことになるため、運転を止めるのは当然の判断です。
なおF2については、長府の処置欄が他と少し異なり「復帰しない又は再発する場合は点検・修理が必要です」と書かれています。
缶体入口・出口サーミスタ(331・H3/330・H2)
熱交換器の入口と出口の温度差から、どれだけ熱が入ったかを把握しています。
片方が欠ければ、加熱量の制御ができなくなります。
浴室リモコンの「2」と「5」の読み分け
長府の石油給湯器は台所リモコンと浴室リモコンの2台構成が多く、浴室側では省略された数字が表示されることがあります。
| 浴室リモコンの表示 | 考えられる内容 |
|---|---|
| 5 | E5(給湯サーミスタ)/F5(ふろサーミスタ)/P5(給水サーミスタ) |
| 2 | F2(缶体サーミスタ)/P2(油切れ予告) |
とくに注意したいのが「2」です。
F2は缶体サーミスタの断線で運転停止ですが、P2は油切れ予告であり、給油すれば解決します。
まったく別の話なので、台所リモコン側の表示を必ず確認してください。
「5」も3択になります。
F5であれば給湯は使えますが、E5とP5は運転停止です。
浴室リモコンの表示だけで判断すると、対応を誤ります。
長府の他のエラー表示については長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説で確認できます。
「正常温度検出により復帰します」とはどういうことか
この表記が分かりにくいという声はよくあります。
意味としては、センサーが正常な温度値を返すようになれば、自動的に警報が解除されるということです。
リモコンで解除する操作ではなく、機器が正常を確認したら戻る仕組みです。
ここから、ひとつ実感に沿う説明ができます。
配線の接触不良が原因の場合、条件によって一時的に正常な値が返ることがあります。
すると警報は解除され、しばらく普通に使えてしまいます。
「勝手に直った」という状態です。
しかし接触不良そのものは解消していないため、また同じコードが出ます。
復帰したことは、直ったことを意味しません。
断線やショートが確定している場合は、部品を交換するまで復帰しません。
サーミスタ以外の原因も考える
温度が思うようにならないからといって、必ずしもサーミスタの故障とは限りません。
エラーコードが表示されていない場合は、別の要因を先に確認してください。
長府は取扱説明書で次のように案内しています。
- リモコンの給湯温度はめやすであり、配管の放熱によって設定より低くなることがある
- サーモスタット付混合水栓を使うときは、リモコンの給湯温度を混合水栓の設定温度より約10℃高めにする
- 1箇所の混合水栓だけ設定した給湯温度にならないときは、混合水栓の故障が考えられる
最後の項目は切り分けとして有効です。
台所は正常なのに浴室だけぬるい、といった場合は給湯器ではなく水栓側を疑うことになります。
水栓の種類による違いは水栓とは?種類・選び方・交換費用まで住宅設備のプロがわかりやすく解説で整理しています。
複数のサーミスタが立て続けに壊れたら
サーミスタは電子部品であり、経年で劣化します。
配線の被覆や端子も同様です。
そのため、1年のうちに違う番号のサーミスタ異常が繰り返し出るようになったら、それは特定の部品ではなく機器全体の経年を示すサインと考えたほうが実態に近くなります。
判断の目安として、次が重なっているかを見てください。
- お湯の温度が安定しない
- 点火に時間がかかる
- 異音がする
- エラーの種類が増えてきた
- 設置から10年以上経っている
これらが揃っているなら、部品を1つずつ交換していくよりも、本体交換と比較して考える段階です。
同種の判断についてはコロナ給湯器のエラー「88」とは?表示される理由と正しい解除方法を解説の考え方も参考になります。
判断の早見表
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 312・F5が出ている | 追いだきは不可。蛇口からお湯を張れば入浴できる |
| P7が出ている | 銘板で型名を確認。お湯はりサーミスタか不凍液かで対処が変わる |
| 311・321・322・330・331・E5・F2・P5・H2・H3が出ている | リモコン操作では解除できない。点検を依頼 |
| 浴室リモコンに2または5だけ表示 | 台所リモコンで内容を確定させる |
| 一度消えたが数日後にまた出た | 接触不良の可能性。復帰しても直っていない |
| エラーは出ないが温度が不安定 | 混合水栓側や配管の放熱を先に確認 |
| 違う番号のサーミスタ異常が続く | 機器全体の経年。交換と比較して判断する |
よくある質問
Q1. 322と321は何が違うのですか?
見ている場所が違います。
321は給湯サーミスタで、蛇口やシャワーへ向かう出ていくお湯の温度を測っています。
322は缶体サーミスタで、熱交換器そのものの温度を測っています。
どちらも断線またはショートで運転停止となり、リモコン操作では解除できません。
とくに322は過熱の検知にも関わる部分なので、そのまま使い続けようとせず点検を依頼してください。
Q2. F5が出ましたが、お風呂に入れませんか?
入れます。
F5はふろサーミスタの断線またはショートですが、長府は給湯は使用可能としています。
追いだきや自動お湯はりは使えなくなるものの、蛇口やシャワーからお湯を出すことはできます。
浴槽に蛇口からお湯を張れば入浴は可能で、冷めたら足し湯で対応することになります。
修理までの数日をしのぐことはできますが、放置せず点検の予約は入れてください。
Q3. 「正常温度検出により復帰します」と書かれていますが、待てば直りますか?
センサーが正常な値を返せるようになれば復帰しますが、断線やショートが起きているなら待っても直りません。
配線の接触不良が原因の場合は一時的に復帰することがあり、しばらく普通に使えてしまうこともあります。
ただしそれは直ったのではなく、たまたま接触した状態です。
同じコードが再び出るため、一度でも表示されたなら点検を依頼してください。
Q4. 浴室リモコンに「2」とだけ出ています。どう判断すればよいですか?
台所リモコンの表示を確認してください。
浴室リモコンの「2」は、F2(缶体サーミスタの断線またはショート)とP2(油切れ予告)のどちらかを示しています。
F2であれば運転停止で点検が必要ですが、P2であれば給油するだけで解決します。
まったく性質の違う2つが同じ表示になるため、浴室側だけを見て判断すると対応を誤ります。
「5」も同様に、E5・F5・P5の3択になります。
Q5. サーミスタだけ交換すれば直りますか?
多くの場合は交換で復旧します。
ただし、原因が配線側の断線や端子の腐食にある場合は、センサー本体を替えても再発します。
また、短期間に違う番号のサーミスタ異常が続けて出ているなら、個別の部品ではなく機器全体の経年が背景にあると考えられます。
設置から10年以上が経過し、温度の不安定や異音といった症状が重なっているなら、修理を重ねるより本体交換と比較して判断するほうが現実的です。
まとめ
311・312・321・322・330・331とその同義コードは、いずれもサーミスタの断線またはショートを示します。
番号ごとに、水の通り道のどの地点を見ているかが違います。
実用上もっとも重要なのは、解除方法の違いです。
ふろ系の312・F5・P7は運転スイッチのOFF/ONで解除でき、給湯は継続して使えます。
それ以外は「正常温度検出(交換)により復帰します」と記載されており、リモコン操作では解除できません。
浴室リモコンの「2」と「5」は複数の内容を示すため、台所リモコンでの確定が必要です。
とくに「2」はF2とP2で、運転停止か給油かという大きな違いになります。
一度復帰しても、接触不良であれば再発します。
そして違う番号のサーミスタ異常が続くようであれば、部品単位ではなく機器全体の経年として判断する段階に入っています。

