コロナ暖房ボイラーのエラー30、31、32。
連番で並んでいるこの3つは、いずれも熱交換器の温度を監視する仕組みにかかわる表示です。
そして一覧の中でも、リセットを繰り返すことが最も危険な番号群にあたります。
温度を正しく測れない、あるいは実際に温度が上がりすぎた状態で燃焼を再開させるという行為は、機器の破損や事故に直結しかねません。
この記事では、3つの表示がそれぞれ何を示しているのか、背景に何が起きている可能性があるのか、そして使用者が確認してよい範囲を整理します。
3つの表示の意味
まず内容を確認します。
| 表示 | 内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 30 | 缶体サーミスタの故障 | 全停止 |
| 31 | 缶体サーミスタの故障 | 全停止 |
| 32 | 異常停止サーモの作動 | 全停止 |
いずれも点検または修理が必要とされています。
使用者が対処して復帰させる種類の表示ではありません。
なお、機種によっては31に高温異常の検知が含まれる場合があります。
同じ番号でも世代によって割り当てが異なることがあるため、正確な内容は型番に対応した取扱説明書で確認してください。
「缶体」と「サーミスタ」とは
聞き慣れない言葉が並ぶので、先に整理しておきます。
缶体は、灯油を燃やした熱で循環液を温める部分、つまり熱交換器にあたります。
サーミスタは、その温度を測るセンサーです。
暖房ボイラーは、缶体の温度を常に測りながら燃焼の強さを調整しています。
温度が分からなければ、どれだけ燃やせばよいかを判断できません。
そのためセンサーが故障すると、機器は制御の根拠を失い、安全のために停止します。
30と31は、どちらもこのセンサーにかかわる故障です。
断線しているのか、短絡しているのかといった状態の違いで番号が分かれています。
いずれにせよ、部品側の問題です。
他のサーミスタにかかわる番号はコロナ暖房ボイラーのエラー16・17・19・20|センサー故障で解説しています。
エラー32|異常停止サーモの作動
3つのうち、性質がはっきり異なるのが32です。
異常停止サーモは、缶体の温度が異常に上昇したときに働く保護装置です。
センサーの故障ではなく、実際に温度が上がりすぎた可能性を示しています。
なぜ温度が上がりすぎるのか。
暖房ボイラーは、つくった熱を循環液に乗せて床暖房や温水ルームヒーターへ運びます。
この「運ぶ」側に問題があると、熱が缶体にたまり続けることになります。
| 背景として考えられること | 内容 |
|---|---|
| 循環液の不足 | 熱を受け取る液そのものが足りない |
| 循環経路の詰まり | ゴミや異物で流れが妨げられている |
| 配管のつぶれ | 流路が確保できていない |
| 循環ポンプの不調 | 液を送り出せていない |
| 空気の混入 | 配管内の空気で循環が阻害されている |
| 温度制御側の不具合 | 燃焼を絞る判断ができていない |
つまり32は、単独の部品故障というより循環にかかわる問題の結果として出ることがある表示です。
以前から「暖まりが悪い」「特定の部屋だけ冷たい」といった症状があったなら、それが前触れだった可能性があります。
リセットを繰り返してはいけない理由
この記事でもっとも伝えたいのがこの点です。
取扱説明書では、処置をせずに何度もリセットを繰り返すと火災や事故の原因になると明記されています。
特に32は、実際に過熱が起きた可能性を示す表示です。
原因を取り除かないまま運転を再開させると、同じ過熱が繰り返されることになります。
安全装置は働いたぶんだけ役目を果たしていますが、それは無制限に頼れるものではありません。
30や31についても考え方は同じです。
温度を正しく測れない状態で燃焼させるということは、過熱を検知できないまま燃やすということを意味します。
- 表示が出るたびに運転スイッチを押し直す
- 電源を入れ直して様子を見る、を何度も繰り返す
- 一度動いたからそのまま使い続ける
どれも避けてください。
「動いてしまう」ことと「動かしてよい」ことは別です。
使用者が確認してよい範囲
内部の部品にかかわる表示のため、できることは限られます。
確認すること
- 表示されている番号(30・31・32のどれか)
- 本体の型番と設置年
- 以前から暖まりが悪いといった症状がなかったか
- 循環液の水位(半密閉システムで、機器が冷えている場合)
- 運転中に異音がしていなかったか
循環液の水位を見る場合は、必ず機器が冷えた状態で行ってください。
運転直後は内部が高温・高圧になっており、給水キャップを外すと循環液が飛び散ってやけどをするおそれがあります。
32が出た直後は特に温度が高い可能性があるため、時間をおいてから確認してください。
やらないこと
- 外装を外して内部を見る
- 配管を叩く、揺らす
- 表示が出るたびに運転操作を繰り返す
- 循環液を水で薄めて足す
連絡するときに伝える情報
原因が複数の系統にまたがる可能性があるため、経緯の情報が重要になります。
- 表示された番号
- 型番と設置年
- いつから出ているか、何回目か
- 暖まり方に以前から変化がなかったか
- 循環液の補充や交換をいつ行ったか
- 異音やにおいの有無
5番目は見落とされがちですが、32では特に意味を持ちます。
循環液を長く入れ替えていない場合、防錆効果の低下や経路の状態が関係している可能性もあるためです。
📎 出典:株式会社コロナ|取扱説明書のダウンロード
過熱を招かないための日常管理
32のような表示は、日ごろの管理で確率を下げられる部分があります。
| 項目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 循環液の水位 | 月1回程度 | 点検窓で上限と下限の間にあるか |
| 循環液の入れ替え | 3年ごと | 開封した液も含めて推奨されている |
| 暖まり方の変化 | 随時 | 特定の部屋だけ冷たくないか |
| 異音 | 随時 | 運転中のうなり音、断続音 |
| 機器の点検 | 年1回程度 | 有資格の技術者による点検 |
特に循環液は、補充はしていても入れ替えたことがないというケースが目立ちます。
交換せずに使い続けると防錆効果と凍結予防効果が低下し、機器に悪影響を及ぼすおそれがあります。
循環液の確認手順と補充のルールはコロナ暖房ボイラーのエラー3|循環液不足と空だき検知の対処で詳しく解説しています。
修理か交換かの判断
3つとも部品交換を伴う修理になる可能性が高い表示です。
判断の軸は次のとおりです。
- 設置からの年数(設計上の標準使用期間は10年)
- 補修用性能部品の保有期間(製造打ち切り後7年が目安)
- 過熱が起きた形跡があるかどうか
- これまでの修理歴
3番目は32に特有の論点です。
実際に過熱が繰り返されていた場合、熱交換器そのものへの影響を確認してもらう必要があります。
センサーだけを交換しても、根本の循環の問題が残っていれば同じことが起こります。
設置から年数が経っている場合は、修理の見積もりとあわせて交換の見積もりも取っておくと比較ができます。
30・31・32以外の番号が表示されている場合はコロナ暖房ボイラー エラーコード一覧|表示の意味と対処の判断基準で意味を確認できます。
循環ポンプ側の異常を示す表示はコロナ暖房ボイラーのエラー21・22・23|止まる前のサインで扱っています。
よくある質問
Q1. エラー32が出ましたが、しばらくしたら運転できました。使い続けてよいですか。
おすすめできません。
異常停止サーモは温度が異常に上昇したときに働く保護装置で、温度が下がれば再び運転できる場合があります。
しかし、温度が上がった原因そのものは解消していません。
循環液の不足や経路の詰まりが背景にあれば、運転を続けるほど同じ過熱が繰り返されます。
一度出た時点で、点検を前提に考えてください。
Q2. 30と32の違いは何ですか。
30は温度を測るセンサーの故障、32は実際に温度が上がりすぎたことを検知した保護装置の作動です。
30はセンサーが正しい値を出せない状態で、機器が制御の根拠を失っています。
32は制御の問題というより、熱が逃げていかない状況が起きている可能性を示します。
どちらも全停止する表示ですが、確認してもらうべき範囲は異なります。
Q3. 循環液を足したらエラー32が消えました。直ったのでしょうか。
液の不足が原因だったのであれば、状況は改善しています。
ただし、なぜ不足していたのかという点は残ります。
自然蒸発の範囲なら問題ありませんが、短期間で減っていた場合は漏れが疑われます。
また、補充の際に水で薄めたり他銘柄の不凍液を混ぜたりしていると、別のトラブルにつながります。
補充した時期と量を記録しておき、再発するようなら点検を依頼してください。
Q4. 過熱したあと、機器は傷んでいませんか。
一度の作動で直ちに深刻な損傷につながるとは限りませんが、確認してもらう価値はあります。
安全装置が働いた時点で、想定より高い温度に達していたことは事実だからです。
繰り返し発生していた場合は、熱交換器への影響も含めて見てもらってください。
修理の際に、センサーの交換だけで済ませるのか、循環側も確認するのかを相談しておくと安心です。
Q5. 暖まりが悪い状態が続いていました。関係ありますか。
関係している可能性があります。
暖房ボイラーは循環液に熱を乗せて運ぶ仕組みのため、運ぶ側に問題があると熱が缶体にたまります。
「設定は同じなのに暖まらない」「特定の部屋だけ冷たい」といった症状は、循環がうまくいっていないサインであることがあります。
いつからその状態だったかを伝えると、原因の絞り込みに役立ちます。
まとめ
30と31は缶体サーミスタ、つまり熱交換器の温度を測るセンサーの故障を示します。
32は異常停止サーモの作動で、実際に温度が上がりすぎた可能性を示す表示です。
3つに共通するのは、温度の監視と過熱保護にかかわる系統だという点です。
そして32の背景には、循環液の不足や経路の詰まりといった「熱を運べない」状況が隠れていることがあります。
もっとも避けたいのは、原因を取り除かないままリセットして運転を再開させることです。
安全装置が働いたということは、その手前まで状況が進んでいたということでもあります。
表示された番号と型番、そして暖まり方の変化や循環液の管理状況を控えたうえで、点検を依頼してください。

