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実家じまいの手順を7ステップで解説|相続・解体・費用の進め方とは

実家じまいの手順を話し合い・財産と負債の確認・相続手続き・片付け・活用方針の実行・ライフライン精算・確定申告の7ステップで解説するイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

親が亡くなったり施設に入ったりして、誰も住まなくなった実家。
「何から手をつければいいのか分からず、そのまま数年放置している」という方は少なくありません。

結論からお伝えすると、実家じまいは「①話し合い → ②相続手続き → ③片付け → ④活用方針の決定 → ⑤売却・解体 → ⑥ライフラインの精算 → ⑦確定申告」の順で進めるのが基本です。
順番を飛ばすと、相続登記や税金の手続きでつまずいたり、余計な費用が発生したりします。

この記事では、住宅設備・燃料を扱うメディアの視点から、片付けやライフライン(電気・ガス・水道)の止め方まで含めて、実家じまいの全手順を具体的に整理します。
なお、相続登記・税務・解体は専門的な判断を伴うため、実際の手続きは司法書士・税理士・弁護士など専門家への確認を前提にお読みください。

目次

そもそも実家じまいとは?放置するとどうなるのか

実家じまいとは、親などが住んでいた実家について、相続・片付け・売却や解体までを一通り済ませ、管理の負担から解放される一連の作業を指す言葉です。
「家をどうするか」だけでなく、名義変更(相続登記)や税金、ライフラインの精算まで含む点が、単なる引っ越しや片付けとの違いです。

まず押さえておきたいのは、「とりあえず放置」は、年々コストとリスクが増える選択肢だということです。
主な放置リスクは次の3つです。

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放置リスク内容
固定資産税・維持費が毎年かかる誰も住まなくても、土地・建物の固定資産税や火災保険料、庭木の管理費などは発生し続けます
空き家が「管理不全空家・特定空家」に指定される管理が行き届かず勧告を受けると、土地の税優遇(住宅用地特例)が外れ、固定資産税が上がる可能性があります
相続登記をしないと過料の対象になる2024年4月から相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます

相続登記の義務化と過料

2024年(令和6年)4月1日から、相続で不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。
正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の対象になり得ます。

注意したいのは、施行日より前に発生した相続も対象になる点です。
何十年も前に親名義のまま放置している不動産がある場合、令和9年(2027年)3月31日までに登記が必要とされています。

📎 出典:法務省|相続登記の申請義務化について

管理不全空家・特定空家と固定資産税

住んでいなくても、建物が建つ土地には「住宅用地特例」という優遇があり、固定資産税が軽減されています。
ところが、令和5年の空家法改正により、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家は「管理不全空家」に指定され、市区町村の勧告を受けると住宅用地特例が解除されるようになりました。

特例が外れると、土地の固定資産税は最大で6倍近くまで上がる場合があります。
「空き家だから税金は安いはず」という思い込みは、状況によっては通用しなくなっているということです。

📎 出典:国土交通省|住宅:空き家対策 特設サイト

実家じまいの手順【全体の流れ】

細かい手続きに入る前に、まず全体像をつかんでおきましょう。
実家じまいは、おおむね次の7ステップで進みます。

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ステップやること目安の時期・期限
① 話し合い相続人全員で「引き継ぐ・売る・解体する」の方針を共有できるだけ早く
② 財産・負債の確認遺言書・預貯金・借金の有無を調べる相続放棄を考えるなら3か月以内
③ 相続手続き遺産分割協議 → 相続登記(名義変更)取得を知った日から3年以内
④ 片付け家財・遺品の整理、危険物・貴重品の確認方針決定後すぐ
⑤ 活用方針の実行売却・解体・賃貸・そのまま保有のいずれかを実行片付け後
⑥ ライフライン精算電気・ガス・水道の停止、LPガス容器の返却など引き渡し・解体前
⑦ 確定申告売却益が出たら翌年に申告(特別控除の検討)売却した年の翌年2〜3月

ポイントは、「片付け(③〜④)」より先に、期限のある手続き(②相続放棄・③相続登記)の見通しを立てることです。
片付けに何か月もかけているうちに、相続放棄の3か月の期限を逃してしまうケースがあるためです。

ステップ①:相続人全員で方針を話し合う

実家じまいの方針について、相続人全員で資料を確認しながら話し合っている様子のイラスト

最初にやるべきは、家をどう片付けるかではなく、「誰が実家を引き継ぐのか」「売るのか、解体するのか」を相続人全員で共有することです。

実家じまいでもめる典型は、片付けや売却を進めてから「勝手に決めた」と他の相続人が反発するパターンです。
不動産は相続人全員の共有財産になるため、原則として一人の判断だけで売却・解体はできません

この段階で決めておきたいのは、次の3点です。

  • 実家に住み続ける人がいるか、いないか
  • 売却・賃貸・解体のうち、どの方向で進めるか
  • 片付けや手続きの費用を、誰がどう負担するか

遠方に住んでいて集まりにくい場合でも、電話やオンラインで方針だけは早めにすり合わせておくと、後の手続きが一気にスムーズになります。

ステップ②:財産・負債を確認する(相続放棄は3か月以内)

実家じまいに向けて、家族で財産一覧や負債一覧などの書類を確認している様子のイラスト

方針の共有と並行して、プラスの財産(預貯金・不動産)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務)も確認します。
ここを飛ばすと、あとから借金が判明して困ることになりかねません。

確認したいのは、次のようなものです。

  • 遺言書の有無(自筆・公正証書など)
  • 預貯金・有価証券・生命保険
  • 借入金・ローン・連帯保証の有無
  • 未払いの税金・医療費・光熱費

実家の不動産や財産をどう調べるか

「どんな不動産があるのか分からない」という場合は、次の書類が手がかりになります。

  • 固定資産税の納税通知書:毎年春に自治体から届く通知書で、所有する土地・建物が一覧で載っています
  • 名寄帳(固定資産課税台帳):市区町村役場で取得でき、その自治体内に親名義の不動産がすべてまとまっています
  • 登記事項証明書(登記簿謄本):法務局で取得でき、正確な地番・面積・抵当権の有無を確認できます

預貯金は通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物から取引先を割り出し、各金融機関へ残高証明を請求します。
納税通知書は不動産の”見落とし”を防ぐ最重要書類なので、片付けの際に真っ先に確保しておきましょう。

もし借金が財産を上回りそうな場合は、相続放棄を検討します。
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから原則3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

この3か月は「熟慮期間」と呼ばれ、判断材料が集まらない場合は家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てることもできます。
ただし、実家の片付けを始めて家財を処分・売却してしまうと、相続を承認したとみなされ、放棄ができなくなる恐れがあります。
放棄を少しでも考えているなら、片付けに手をつける前に専門家へ相談するのが安全です。

📎 出典:裁判所|相続の放棄の申述

ステップ③:相続手続き(遺産分割協議と相続登記)

相続手続きに必要な書類を確認しながら、家族と専門家が遺産分割について話し合っている様子のイラスト

相続する方針が固まったら、名義を親から相続人へ移す手続きに進みます。
大きく分けて「遺産分割協議」と「相続登記」の2段階です。

遺産分割協議

遺言書がない場合、相続人全員で誰が何をどれだけ相続するかを話し合い、「遺産分割協議書」にまとめます
実家を一人が引き継ぐ、売却して代金を分ける、といった方針をここで正式に決めます。

相続人が多い、連絡が取れない人がいる、といった場合は協議が難航しがちです。
まとまらないまま3年が近づいてきたら、次の「相続人申告登記」で暫定的に義務を果たす方法があります。

実家のように「分けにくい不動産」が中心の場合、分け方には主に次の3通りがあります。
状況に合った方法を選ぶことで、公平さと手続きのしやすさのバランスが取りやすくなります。

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分け方内容向いているケース
現物分割不動産はそのまま特定の相続人が取得一人が住み続ける・引き継ぐ場合
代償分割一人が取得し、他の相続人へお金で調整実家を残したいが他の相続人にも配慮したい場合
換価分割売却して現金化し、代金を分ける誰も住まず、公平に分けたい場合

実家じまいで最も多いのは、売って現金で分ける「換価分割」です。
現金なら1円単位で公平に分けられ、後々のわだかまりも残りにくいためです。

相続登記と相続人申告登記

遺産分割がまとまったら、法務局へ相続登記(名義変更)を申請します。
登記申請書の作成代理や相談は、司法書士・弁護士に依頼するのが一般的です。

協議が長引いて3年以内の登記が難しいときは、「相続人申告登記」という簡易な手続きがあります。
これは「自分が相続人である」と法務局に申し出るだけの制度で、2024年4月から始まりました。
過料を回避できますが、正式な相続登記の代わりにはならないため、協議がまとまり次第あらためて相続登記が必要です。

📎 出典:政府広報オンライン|不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?

ステップ④:家財・遺品を片付ける

実家の家財や写真などの遺品を家族で仕分けしながら片付けている様子

名義や方針の見通しが立ったら、いよいよ室内の片付けです。
自分たちで進めるか、業者に依頼するかで、費用も労力も大きく変わります。

自分で片付ける場合

時間と体力に余裕があり、遺品も比較的少なければ、自分たちで進める方が費用を抑えられます。
その場合、段ボール・ガムテープ・軍手・大きめのゴミ袋などの梱包・処分用品をまとめて用意しておくと作業が滞りません。

大型家具や家電は、自治体の粗大ごみ回収や、家電リサイクル法の対象品(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)の別処理が必要です。
自分で片付ける場合でも、粗大ごみ・リサイクル料だけで3LDK程度なら3〜5万円ほどかかる場合があります。

業者に依頼する場合(遺品整理)

量が多い、遠方で通えない、時間がない、という場合は遺品整理業者への依頼が現実的です。
費用は間取りと物量で大きく変わり、目安は次のとおりです。

間取り遺品整理費用の目安
1R・1K3万〜8万円程度
2LDK10万〜30万円程度
3LDK15万〜50万円程度
4LDK以上22万〜85万円程度

※物量・搬出条件(階段の有無・道路幅)・特殊清掃の要否・地域により変動します。必ず複数社の訪問見積もりで比較してください。

📎 出典:(費用相場の参考例)遺品整理の費用相場|間取り別料金

遺品整理業者の選び方

葬儀直後の慌ただしい時期に業者を探すと、料金の妥当性が分からず、悪質な業者に高額請求されるケースもあります。
最低限、次の3点は確認しておきましょう。

  • 許可の有無:家庭から出る不用品は「一般廃棄物」にあたるため、処分には自治体の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。買取を行うなら古物商許可も確認します
  • 見積もりの明確さ:作業内容・処分費・追加料金の条件が書面で示されるか。「今日契約すれば割引」と即決を迫る業者は避けます
  • 複数社の比較:必ず2〜3社の訪問見積もりを取り、料金と対応を比べます

「産業廃棄物」の許可は事業所ごみ向けで、家庭の遺品には対応できない点にも注意してください。
許可証・見積書・口コミの3点で総合的に判断するのが、失敗を防ぐコツです。

仏壇・写真など思い出の品の扱い

実家の片付けで判断に迷いやすいのが、仏壇・神棚・位牌・アルバムなどの品です。
仏壇や位牌を処分する際は、宗派やお寺の考え方によっては、閉眼供養(魂抜き)を行ってから処分するのが一般的とされています。

写真や手紙などの思い出の品は、一度捨てると取り返しがつきません。
迷うものは「保留ボックス」に一時避難させ、後日あらためて判断するようにすると、勢いで大切な物を失う失敗を防げます。

片付けで出やすい「危険物」に注意

実家の片付けで見落としがちなのが、ガスの残ったカセットボンベ・スプレー缶、灯油、古い塗料などです。
これらは一般ごみにそのまま出せず、中身を抜くなどの処理や、自治体ルールに沿った分別が必要です。

とくに灯油や古いガス缶は、発火・引火の危険があるため、まとめて放置したり無理につぶしたりしないようにしてください。
カセットボンベの安全な捨て方は、以下の記事で詳しく解説しています。

貴重品(現金・通帳・権利証・保険証券・実印)は、片付けを始める前に必ず探して確保しておきましょう。
タンスの引き出しの奥や仏壇、押し入れの天袋などに保管されているケースが多く見られます。

ステップ⑤:家をどうするか決めて実行する

実家じまいについて、実家の写真や資料を見ながら親と相談している家族のイラスト

片付けが済んだら、建物と土地の扱いを実行します。
主な選択肢は「売却」「解体して更地に」「賃貸」「そのまま保有」の4つです。

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選択肢向いているケース主な注意点
そのまま売却建物がまだ使える・立地が良い買い手が付くまで維持費がかかる
解体して更地で売却建物が古く需要が低い解体費が先行、更地は固定資産税が上がる場合あり
賃貸に出す立地が良く需要がある修繕費・管理の手間がかかる
当面は保有方針が決まらない管理不全空家のリスクに注意

解体費用の目安

木造住宅の解体費用は、坪あたりおおよそ3万〜6万円が目安で、延床30坪なら単純計算で約90万〜210万円程度が一つの水準です。
ただし2026年は、産業廃棄物の処分費や人件費の高騰で相場が上振れしており、条件次第で300万円を超えることもあります。

さらに実家特有の費用として、次のような追加分が発生しやすい点にも注意が必要です。

  • 残置物(家具・家電・遺品)の処分費:軽トラ1台で2〜5万円、量が多ければ数十万円
  • ブロック塀・庭石・立木・カーポートなどの付帯物撤去費
  • 1981年(昭和56年)以前の建物などでのアスベスト調査・除去費

📎 出典:(解体費用相場の参考例)家の解体費用|木造住宅の相場

解体すると建物がなくなるため住宅用地特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が上がる場合があります。
「更地にすれば安くなる」とは限らないので、売却の見込みと合わせて解体のタイミングを検討してください。

ステップ⑥:ライフラインの停止・撤去と精算

自宅からガス会社へ電話で連絡している男性のイメージイラスト

意外と後回しにされがちで、住宅設備メディアとして特に注意を促したいのが、電気・ガス・水道の停止と、それに伴う設備の撤去・精算です。
売却や解体の直前ではなく、片付けの進み具合を見ながら早めに段取りしておくと安心です。

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ライフライン手続きの要点
電気電力会社へ廃止(使用停止)を連絡。解体するなら引き込み線・メーターの撤去も相談
水道水道局へ閉栓(使用中止)を連絡。解体時は止水栓・メーターの扱いを確認
都市ガスガス会社へ閉栓を連絡。開栓・閉栓に係員の立ち会いが必要な場合あり
LPガス販売店へ解約を連絡。容器(ボンベ)・メーターは販売店が回収

LPガス(プロパン)は自己判断で処分しない

都市ガスと違い、LPガスには特有の注意点があります。
LPガスの容器(ボンベ)やメーター、調整器は、多くの場合ガス販売店の所有・貸与物であり、利用者が勝手に移動・処分することはできません

解約の連絡を入れ、販売店に容器を回収してもらうのが正しい手順です。
契約内容によっては、保証金や前払い費用の精算、配管・給湯器の扱いの確認が必要になることもあります。
ボンベは高圧ガスを封入した危険物です。解体業者に任せきりにせず、必ず事前に販売店へ連絡してください。

給湯器・エアコンなど設備の扱い

売却して建物を残す場合は、給湯器やエアコン、コンロなどの設備はそのまま引き継ぐのが一般的です。
一方、解体する場合、これらの設備は基本的に解体工事に含めて撤去されます。
ただしエアコンは家電リサイクル法の対象のため、解体前に自分で外して処分するのか、工事に含めるのかを見積もり時に確認しておくと、追加費用のトラブルを防げます。

ステップ⑦:売却益が出たら確定申告(3,000万円特別控除)

実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、原則として売却した年の翌年に確定申告が必要です。
ここで知っておきたいのが、相続した空き家を売る際の税優遇です。

一定の要件を満たせば、相続した空き家の売却益から最高3,000万円を特別控除できる制度があります(被相続人の居住用財産=空き家を売ったときの特例)。
主な要件の例は次のとおりです。

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入居等の一定要件を満たす場合も対象)
  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 耐震リフォームまたは取り壊しをしてから売るなど、一定の条件を満たすこと

適用期限は令和9年(2027年)12月31日までとされています。
要件が細かく、家族信託など使い方によっては適用されないケースもあるため、売却前に税理士へ確認することをおすすめします。

📎 出典:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

遠方の実家じまいを進めるコツ

実家が遠方にあり、頻繁に通えないという方は多いはずです。
移動のたびに交通費と時間がかさむため、「一度の帰省でまとめて片づける段取り」が費用を抑える鍵になります。

  • 帰省前に、遺品整理・解体・不動産の各業者へ連絡し、訪問日を1回の滞在にまとめる
  • 相続登記や相続放棄は、郵送・オンラインでの申請にも対応しているため、現地に住んでいなくても進められる
  • 現地の様子を確認できないときは、空き家管理サービスで定期的な見回りを依頼する方法もある

近隣に親戚や知人がいる場合は、鍵の受け渡しや立ち会いを頼めると、往復回数を減らせます。
無理にすべてを自分で抱え込まず、遠方だからこそ専門業者やサービスをうまく組み合わせるのが現実的です。

実家じまい全体にかかる期間の目安

実家じまいは、早くても数か月、相続や売却が絡むと1年前後かかることも珍しくありません。
おおまかな期間の目安は次のとおりです。

段階期間の目安
話し合い・財産調査1〜2か月
遺産分割協議・相続登記1〜3か月(協議が難航すると長期化)
片付け・遺品整理数日〜1か月
売却・解体3か月〜1年(買い手・工期しだい)

※相続人の人数、協議の状況、不動産の売れ行きによって大きく変わります。

とくに相続放棄(3か月)と相続登記(3年)には期限があるため、片付けや売却のスケジュールは、この期限から逆算して組み立てると安心です。

実家じまいでよくある失敗と注意点

最後に、実家じまいでつまずきやすいポイントを整理しておきます。
どれも「知っていれば防げた」ものばかりです。

  • 片付けを急ぎすぎて相続放棄ができなくなる:家財を処分・売却すると相続を承認したとみなされる恐れがあります。放棄の可能性があるうちは動かないこと
  • 貴重品を確認する前に一括処分してしまう:通帳・権利証・現金が家具ごと処分されるケースがあります。片付け前に必ず探すこと
  • 相続人の一人が独断で進める:不動産は共有財産です。全員の合意なく売却・解体を進めるとトラブルの原因になります
  • 相続登記を放置する:義務化により過料の対象になり得ます。期限が難しければ相続人申告登記の活用を
  • LPガス容器を解体業者に任せきりにする:容器は販売店の所有物です。必ず事前に解約・回収を依頼すること

元気なうちに「実家をどうするか」を話しておく

実家じまいについて、実家の写真や資料を見ながら親と相談している家族のイラスト

実家じまいがこじれる最大の原因は、親が元気なうちに何も話し合っていなかったことにあります。
いざ相続が始まってから、財産の在りかも、親の希望も分からず手探りになる——これが最も時間と費用がかさむパターンです。

可能であれば、親が元気なうちに、預貯金や不動産、契約中のライフライン、希望する家の扱いなどを一緒に整理しておくと安心です。
エンディングノートのような形で、情報や希望を書き残しておいてもらうのも有効です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 実家じまいは何から始めればいいですか?
まずは相続人全員での方針の話し合いと、財産・負債の把握から始めます。片付けや売却より先に、「誰が引き継ぐのか」「借金はないか」を確認するのが基本です。とくに借金が多く相続放棄を検討する場合は、相続を知った日から3か月以内という期限があるため、片付けに手をつける前の早い段階で全体像を確認しておくことが大切です。判断に迷う場合は司法書士や弁護士に相談しましょう。

Q2. 実家じまいの費用は総額でどれくらいかかりますか?
内容によって幅がありますが、片付け・解体・登記などを合わせると数十万円から数百万円規模になることが一般的です。木造30坪の解体で約90万〜210万円、遺品整理は間取り次第で数万〜数十万円が目安です。いずれもあくまで参考値で、物量・立地・付帯物・アスベストの有無などにより大きく変動します。必ず複数の業者から見積もりを取り、比較して判断してください。

Q3. 誰も住まない実家を放置するとどうなりますか?
まず、住まなくても固定資産税や維持費は毎年かかり続けます。さらに管理が行き届かず「管理不全空家」や「特定空家」に指定され勧告を受けると、土地の住宅用地特例が外れ、固定資産税が上がる場合があります。加えて2024年4月からは相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。放置は年々コストとリスクが増える選択肢だといえます。

Q4. 相続した実家を売ると税金はかかりますか?
売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税の対象となり、原則として翌年に確定申告が必要です。ただし一定の要件を満たせば、相続した空き家の売却益から最高3,000万円を特別控除できる制度があります。昭和56年5月31日以前の建築であることなど要件が細かく、適用期限も定められているため、売却前に税理士へ確認することをおすすめします。

Q5. 実家じまいは自分だけで進められますか?
家財の片付けや不用品の処分は、自分たちで進めることも十分可能です。一方で、相続登記や税務申告、解体工事などは専門的な判断や資格が必要な場面が多く、司法書士・税理士・解体業者など専門家に依頼するのが現実的です。すべてを自力で抱え込まず、費用のかかる部分・法的リスクのある部分だけでもプロに任せると、失敗や余計な出費を防ぎやすくなります。

まとめ|順番を守れば実家じまいは着実に進む

実家じまいは、やることが多く途方に暮れがちですが、順番さえ押さえれば一つずつ確実に進められます。
最後に、全体の流れをもう一度整理します。

  • ①相続人での話し合い → ②財産・負債の確認(相続放棄は3か月以内)→ ③相続手続き(相続登記は3年以内)
  • ④片付け → ⑤売却・解体などの実行 → ⑥ライフラインの停止・精算 → ⑦売却益が出たら確定申告
  • 片付けを急ぐ前に、期限のある手続きの見通しを立てることが失敗を防ぐ最大のコツ
  • 相続登記・税務・解体、そしてLPガス容器の扱いは、専門家や販売店への確認を前提に進める

判断に迷う場面が出てきたら、無理に自己判断で進めず、司法書士・税理士・弁護士などの専門家や、各機関の一次情報を確認しながら一歩ずつ進めていきましょう。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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