灯油は何色なのか、改めて聞かれると、意外と答えに迷います。
ポリタンクの中に入っていると、赤や青の容器の色が目に入って、灯油そのものの色は、あまり意識しないからです。
ストーブの給油タンクに注いだとき、「少し黄色っぽいかな」「これは大丈夫だろうか」と、不安になった経験がある方もいるでしょう。
灯油の正常な色は、無色透明です。
そして、それには、きちんとした理由があります。
この記事では、灯油が無色透明であるべき理由を、精製と規格の面から整理したうえで、色の正しい確かめ方、黄色く変わったときの目安、色が変わる原因と対処までを、順に説明していきます。
灯油の正常な色は、無色透明
家庭の暖房に使われる白灯油は、ほぼ無色透明です。
水のように澄んでいて、においは灯油特有の、軽い石油のにおいがします。
新しく買った灯油が、ごくわずかに黄みがかって見えることもありますが、それでも、きわめて薄い色にとどまるのが普通です。
色の見え方と、その判断を、先に整理しておきましょう。
| 色の状態 | 見た目 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 無色透明 | 水のように澄んでいる | 正常 |
| ごく薄い黄色 | 白い背景で、やっと分かる程度 | 新しい灯油なら、問題ないことが多い |
| はっきりした黄色 | 白い背景でも、黄色と分かる | 劣化の可能性。使う前に確認する |
| 濃い黄色〜茶色 | 色が濃く、明らかに違う | 使わないほうがよい |
| 濁り・沈殿・層 | 白く濁る、底に何かがある | 水や異物の混入の可能性。使わない |
色が薄いうちは、神経質になる必要はありません。
一方で、はっきりした黄色や茶色になっていたら、機器に入れる前に、いったん手を止めてください。
なぜ、灯油は無色透明なのか
灯油の色は、偶然ではなく、精製の結果として、無色透明に近づけられています。
色を決めている要素は、大きく2つです。
精製の工程。 原油を蒸留して、灯油の範囲(およそ145〜270℃)の成分を取り出し、さらに、水素を加えて熱する処理で、硫黄などの不純物を取り除いています。この処理で、色やにおいのもとになる成分も減ります。
規格による管理。 家庭用の1号灯油には、JIS(日本産業規格)で、「セーボルト色」という色の基準があり、+25以上でなければなりません。
セーボルト色は、石油製品の色の薄さを数字で表す方法です。
数字が大きいほど、色が薄く、無色に近いことを意味します。
+25以上とは、かなり薄い色であることを、規格で求めているということです。
つまり、家庭用の灯油は、「無色に近いこと」が、品質の条件になっているわけです。
精製が色をつくる仕組み
もう少し、精製の流れを見てみましょう。
| 工程 | 何をするか | 色への効果 |
|---|---|---|
| 蒸留 | 原油を加熱して、灯油の沸点の範囲を切り出す | 重く色の濃い成分を、あらかじめ分ける |
| 脱硫 | 水素を加えて熱し、硫黄を取り除く | 色やにおいのもとになる成分が減る |
| 品質の確認 | 色、煙点、引火点などを試験する | 規格に合わないものは、出荷されない |
こうした工程を経ているため、新しい灯油は、無色透明に近い状態で、手元に届きます。
その透明さは、すすの出にくい、きれいな燃え方にもつながっているのです。
白灯油と茶灯油
灯油には、色にちなんだ呼び名があります。
白灯油と、茶灯油です。
| 項目 | 白灯油(1号) | 茶灯油(2号) |
|---|---|---|
| 色 | ほぼ無色透明 | 黄色〜茶色がかる |
| 色の規格 | セーボルト色+25以上 | 規定なし |
| 主な用途 | 暖房、調理、給湯 | 動力、溶剤、機械の洗浄 |
| 硫黄分 | 0.0080質量%以下 | 0.50質量%以下 |
茶灯油は、重い成分や硫黄が多いため、色も濃くなります。
家庭のストーブやファンヒーターに使うのは、必ず白灯油です。
販売店やスタンドで買うかぎり、家庭向けの灯油は白灯油と考えてよいでしょう。
ただ、古くなって茶色く変色した白灯油は、茶灯油とは別物ですので、混同しないでください。
ガソリンは色がついている
灯油と、よく間違えられるのが、ガソリンです。
この2つは、色で見分けられるようになっています。
| 油の種類 | 色 | 理由 |
|---|---|---|
| 灯油 | ほぼ無色透明 | 精製のままで、着色していない |
| 自動車用ガソリン | オレンジ色 | 灯油などと区別するために着色される |
自動車用のガソリンは、灯油と見分けられるよう、オレンジ色に着色されています。
灯油に、少量のガソリンが混ざると、色がうっすらとオレンジがかって見えることがありますが、わずかな量では、色の変化だけで気づけないこともあります。
色だけに頼らず、においで判断するのが大切です。
ガソリンが混入した灯油の危険性は、灯油にガソリンが混ざったときの対処でも解説しています。
色を正しく確かめる方法
灯油の色は、見る環境によって、印象が変わります。
ポリタンクの外から見ると、容器の色や厚みで、正確な色は分かりません。
次の手順で確かめると、判断がぶれません。
- 屋外か換気のよい場所で、火気のないことを確かめる。
- 透明で、耐油性のあるガラスの容器に、ごく少量だけ取り出す。
- 白い紙や白い壁を背景にして、明るい光で見る。
- 色、濁り、底の沈殿物、においを順に確かめる。
- 確認に使った灯油は、元の缶に戻さず、使い切るか、適切に処分する。
とくに、白い背景で見ることは、薄い黄色を見落とさないための、大切なポイントです。
暗い場所や、色つきの容器越しでは、変色に気づきにくくなります。
灯油は引火しやすいため、作業中は、火のそばに置かないでください。
また、ペットボトルに入れるのは危険ですので、避けましょう。
容器によって、色の見え方は変わる
灯油は、入れ物によって、見え方が大きく変わります。
色を判断するときは、どの容器越しに見ているのかを、意識してください。
| 入れ物 | 色の見え方 | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 赤や青のポリタンク | 容器の色で、灯油の色は分からない | フタを開け、口から中をのぞく。必要なら少量を取り出す |
| 白や半透明のポリタンク | うっすら見えるが、薄い黄色は分かりにくい | 透明な容器に少量を取り出して確かめる |
| 金属缶 | 中が見えない | 少量を取り出して確かめる |
| ストーブの給油タンク | 半透明で、おおまかな色と濁りは見える | 給油前に、明るい場所で確認する |
| ホームタンク | 中は見えない | ストレーナーのカップや、水抜きで出てきた灯油を見る |
ホームタンクの場合は、タンクの底に近い部分に、水や汚れがたまりやすくなります。
水抜きの際に出てきた灯油の色や濁りを見ると、タンクの中の状態を、おおまかに知ることができます。
また、容器の色で、灯油かどうかを判断するのは危険です。
赤い缶だから灯油、という決めつけはせず、ラベルや表示で、中身を確かめる習慣をつけましょう。
黄色く変わるのは、なぜか
無色透明だった灯油が、時間とともに黄色くなるのは、品質が変わっているサインです。
色が変わる主な原因は、次のとおりです。
| 原因 | 何が起きるか |
|---|---|
| 酸化 | 空気中の酸素と結びついて、成分が変質し、色づく |
| 光(紫外線) | 直射日光で、変質が進む |
| 温度の変化 | 暑さや寒暖差で、劣化が早まる |
| 水の混入 | 結露などで水が入り、濁りや沈殿の原因になる |
| 異物や他の油の混入 | ゴミ、さび、ほかの油で、色や性質が変わる |
とくに、フタをきちんと閉めていない容器や、日の当たる場所に置いた容器は、変質が早く進みます。
劣化の全体像は、灯油の使用期限はどれくらい?去年の灯油は使えるのかに詳しくまとめています。
色を変えないための、保管のコツ
灯油の色を保つには、劣化を遅らせることが、いちばんの近道です。
特別なことをする必要はなく、基本を守るだけで、効果があります。
| コツ | 理由 |
|---|---|
| 直射日光を避ける | 紫外線による変質を防ぐ |
| 風通しのよい、涼しい場所に置く | 高温や寒暖差による劣化を抑える |
| フタをしっかり閉める | 空気に触れる量を減らし、酸化と水の混入を防ぐ |
| 専用の容器を使う | 消防法に適合した容器なら、変質しにくく、安全 |
| 買い置きしすぎない | シーズン中に使い切れる量にとどめる |
| 前の古い灯油と混ぜない | 劣化した灯油が、新しい灯油の品質を下げる |
とくに、買い置きの量は、見落としがちです。
たくさん買い置きするほど、使い切るまでの期間が長くなり、変質のリスクが高まります。
色が変わる前に、使い切れる量を、見積もって買うのが賢い方法でしょう。
色の変化の段階と、取るべき行動
色が変わってしまったとき、どう動けばよいのでしょうか。
段階ごとの目安を、整理します。
| 状態 | においなど | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 無色透明 | 灯油特有の軽いにおい | そのまま使える |
| ごく薄い黄色 | においも通常どおり | 新しい灯油なら、様子を見ながら使う |
| はっきりした黄色 | においが強い、または違う | 機器に入れず、販売店に相談する |
| 濃い黄色〜茶色 | 刺激のあるにおい | 使わない。処分の相談をする |
| オレンジがかる | ガソリンのようなにおい | 絶対に使わず、すぐ販売店へ |
| 濁り・沈殿・水の層 | 状態による | 使わない。タンクの掃除も検討する |
迷ったときは、使わないのが安全です。
変質した灯油を使うと、点火不良、すすの発生、においの悪化、機器の故障につながります。
処分の方法は、古い灯油の正しい処分方法と注意点をご覧ください。
色が変わらなくても、安心とは限らない
もう一つ、注意したいことがあります。
色が無色透明のままでも、劣化が進んでいることはあります。
色の変化は、劣化のサインのひとつにすぎず、変質していても、見た目に表れにくい場合があるためです。
そのため、色だけで、使えるかどうかを決めるのは危険です。
次の点も、あわせて確認しましょう。
| 確認する点 | 見るポイント |
|---|---|
| 購入した時期 | 前のシーズンの灯油は、基本的に使わない |
| においの変化 | 酸っぱい、ツンとするなど、普段と違わないか |
| 保管の状態 | 直射日光、高温、フタの閉め忘れがなかったか |
| 機器の反応 | 点火しにくい、途中で消えるなど、不調がないか |
色、においに加えて、「いつ買ったか」「どう保管していたか」まで考えて判断してください。
よくある質問
Q1. 灯油の色は、何色ですか?
家庭用の白灯油は、ほぼ無色透明です。
新しい灯油が、ごく薄い黄色に見えることもありますが、きわめて薄い色にとどまります。
Q2. 灯油が黄色いのは、危険ですか?
はっきりした黄色になっていたら、劣化の可能性があります。
そのまま使わず、においや濁りを確認して、販売店に相談してください。
Q3. 灯油の色は、なぜ無色透明なのですか?
精製の過程で、硫黄や色のもとになる成分が取り除かれているためです。
家庭用の灯油には、色の薄さを示す「セーボルト色」の基準があり、無色に近いことが求められています。
Q4. 茶色い灯油は、茶灯油ですか?
違います。
茶灯油は、規格上の2号灯油のことです。
白灯油が古くなって茶色く変わったものは、劣化した灯油で、使ってはいけません。
Q5. ガソリンが混ざると、色は変わりますか?
自動車用ガソリンはオレンジ色に着色されているため、混ざると、わずかにオレンジがかることがあります。
ただ、少量では分かりにくいため、においでも確かめてください。
まとめ
灯油の色について、要点を最後に整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 正常な色 | ほぼ無色透明。新品は、ごく薄い黄色に見えることもある |
| 無色透明な理由 | 精製で不純物を取り除き、セーボルト色+25以上の規格で管理されている |
| 白灯油と茶灯油 | 家庭用は白灯油(1号)。茶灯油(2号)は動力・溶剤用 |
| ガソリンとの違い | ガソリンはオレンジ色に着色。灯油は着色されていない |
| 確かめ方 | 白い背景と明るい光で、色・濁り・沈殿・においを見る |
| 判断の注意 | 色が正常でも、前の季節の灯油は使わない |
まずは、いま家にある灯油を、白い背景の明るい場所で、色とにおいを確かめてみませんか。

