MENU

レンジフードの塗装が剥がれた場合、賃貸では誰の負担になる?原状回復ガイドラインから解説

塗装が剥がれたレンジフードの拡大図と、賃貸の費用負担を確認する書類のイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

賃貸物件で暮らしていると、レンジフードの表面塗装が剥がれてきたり、変色していたりすることに気づくことがあります。

「これは自分の使い方が悪かったせいなのか、それとも経年劣化として大家さん負担になるのか」と、退去時の原状回復費用が気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、国土交通省の原状回復ガイドラインをもとに、レンジフードの塗装剥がれが誰の負担になるのかの考え方を解説します。

  • 原状回復における経年劣化と入居者負担の基本原則
  • 耐用年数を考慮した費用負担の考え方
  • レンジフードの塗装剥がれが経年劣化とみなされやすいケース
  • 退去時のトラブルを避けるためにできること
目次

原状回復ガイドラインの基本原則

📎 出典:国土交通省|「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料

国土交通省のガイドラインでは、原状回復費用の負担を大きく2つに区分しています。「建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)」や「賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)」は貸主(大家)負担とされる一方、「故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等」は入居者(借主)負担とされています。

レンジフードの塗装剥がれについても、まずはこの原則に照らして、「普通に使っていて自然に起きた劣化なのか」「自分の使い方や手入れ不足が原因だったのか」を切り分けて考えることが出発点になります。

耐用年数を考慮した費用負担の考え方

ガイドラインでは、設備ごとに耐用年数を設定し、「経過年数を考慮した原状回復費用の算定」を行う考え方が示されています。設備が耐用年数に近づくほど入居者の負担割合は下がり、耐用年数を超えると「残存価値1円となるような直線を想定」することで、基本的に貸主負担になるとされています。

設備の例ガイドライン上の耐用年数の目安
流し台5年
ガス機器6年
非金属製の家具8年

ガイドラインには、キッチンやレンジフードの塗装剥がれ・変色について具体的な事例区分表は明記されていません。あくまでクロスやフローリングなど、より一般的な部位の事例が中心となっており、レンジフードの塗装については、上記の基本原則と耐用年数の考え方を踏まえて個別に判断されることになります。

塗装剥がれが経年劣化とみなされやすいケース

以下のようなケースは、通常の使用の範囲内、つまり経年劣化として扱われやすい傾向があります。

ケース考え方
長期間の使用による自然な変色・退色直射日光や熱による経年的な変化として扱われやすい
通常の調理による熱や蒸気での劣化日常的な使用に伴う自然な摩耗とみなされやすい
入居時からすでに一定の劣化があった入居時の状態記録があれば経年劣化と主張しやすい

普段どおりにコンロで調理をしていた結果として塗装が劣化した場合は、通常損耗・経年劣化として扱われる可能性が高いといえます。ただし、最終的な判断は個々の契約内容や物件の管理会社・大家さんとの協議によって決まる点は理解しておきましょう。

入居者負担になりやすいケース

一方で、次のようなケースは、通常の使用を超える行為とみなされ、入居者負担になりやすい傾向があります。

ケース考え方
油汚れや水分を放置し続けたことによる劣化善管注意義務違反(手入れ不足)とみなされる可能性がある
誤った洗剤や硬いブラシでこすって塗装を傷つけた通常の使用方法を逸脱した行為とみなされやすい
意図的な損傷・落書きなど明確な故意・過失として入居者負担になる

「掃除をしなかったことで汚れが固着し、それが塗装の劣化を早めた」というケースは、善管注意義務違反とみなされ、入居者負担と判断される可能性があります。日頃からの適切なお手入れが、退去時のトラブル回避にもつながります。

日常的な油汚れのお手入れ方法については、レンジフード掃除のやり方|自分でできる手順と洗剤・頻度の目安でも解説しています。

賃貸物件での故障・修理費負担との違い

塗装剥がれの負担区分は「原状回復(退去時の費用負担)」の考え方ですが、入居中にレンジフードそのものが故障した場合の修理費負担は、また別の枠組みで考える必要があります。

退去時の原状回復費用と、入居中の故障・修理費用は、そもそも発生するタイミングも根拠となるルールも異なります。
入居中の経年劣化による故障修理は基本的に貸主負担となるのが一般的ですが、詳しい考え方についてはレンジフードの故障は誰が修理費を負担する?賃貸の場合を解説であわせて確認しておくと理解が深まります。

退去時のトラブルを避けるためにできること

塗装剥がれをめぐる負担区分のトラブルを避けるために、入居中からできることがあります。

対策内容
入居時の状態を写真で記録する入居直後の状態を撮影しておくと、経年劣化の主張がしやすくなる
定期的に清掃・記録する掃除の頻度や状態を記録しておくと、善管注意義務を果たしていたことの根拠になる
異常を感じたら早めに管理会社へ連絡する劣化や不具合を放置せず、早期に相談しておくことでトラブルを未然に防げる
賃貸借契約書の特約を確認する原状回復の範囲について契約書に個別の特約がないか確認しておく

賃貸借契約によっては、ガイドラインとは異なる特約が定められている場合があります。契約書に原状回復に関する具体的な取り決めがないか、入居時にあらためて確認しておくことをおすすめします。

実際に退去時費用を請求された場合の対応

もし退去時に塗装剥がれを理由とした費用を請求された場合は、次のような手順で対応を検討しましょう。

手順内容
1請求内容の内訳(経年劣化分が考慮されているか)を確認する
2入居時の記録写真や契約書の特約を照らし合わせる
3納得できない場合は、管理会社・大家さんに根拠を確認する
4話し合いで解決しない場合は、自治体の相談窓口や消費生活センターに相談する

原状回復費用の負担についてトラブルになった場合、感情的に対立するのではなく、ガイドラインの考え方や入居時からの記録をもとに、事実関係を整理しながら話し合うことが解決への近道です。

塗装剥がれを早期に見つけるためのチェックポイント

塗装剥がれは、初期段階では気づきにくいこともあります。日頃から次のようなポイントを意識して確認しておくと、状態の変化に早く気づきやすくなります。

チェック箇所確認すること
コンロに近い面熱や油はねの影響を受けやすく、変色や剥がれが出やすい
角・エッジ部分拭き掃除の際に力が入りやすく、塗装が薄くなりやすい
取っ手・操作パネル周辺手が触れる頻度が高く、摩耗が進みやすい
上面・見えにくい箇所ほこりや油分が蓄積しやすく、劣化に気づきにくい

塗装剥がれは、進行してから気づくと「いつから、どんな経緯で起きたのか」を説明しづらくなります。月に1回程度、上記のポイントを目視で確認し、変化があれば写真に残しておく習慣をつけておくと、退去時の説明もスムーズになります。

賃貸物件での日常的な手入れの心がけ

塗装の劣化を必要以上に早めないためには、日頃のお手入れの仕方にも気を配ることが大切です。

心がけ理由
硬いスポンジやたわしを使わない塗装表面を傷つけ、劣化を早める原因になる
中性洗剤を基本にする強い酸性・アルカリ性洗剤は塗装を傷めることがある
油汚れを溜め込まない固着した油汚れを無理にこすり落とすと塗装が傷みやすい
気になる汚れは早めに拭き取る放置期間が長いほど、こすり洗いが必要になりやすい

「通常の使用」の範囲かどうかは、日々のお手入れの丁寧さによっても変わってきます。強くこすらず、汚れを溜め込まないお手入れを心がけることが、経年劣化として扱われやすくするためにも役立ちます。

よくある質問

Q1. レンジフードの塗装が剥がれたら必ず入居者負担になりますか?

必ずしもそうではありません。通常の使用による自然な劣化(経年劣化・通常損耗)は貸主負担とされており、剥がれの原因や状況によって判断が分かれます。

Q2. 経年劣化かどうかはどうやって判断されますか?

「普通の使い方で自然に起きた劣化か」「手入れ不足や誤った使い方が原因か」がひとつの目安になります。最終的には管理会社・大家さんとの協議で判断されることが多いです。

Q3. 耐用年数を超えていれば負担はゼロになりますか?

ガイドラインでは、耐用年数を超えると残存価値がほぼゼロとみなされる考え方が示されており、基本的に貸主負担になりやすいとされています。ただし個別の契約内容によって扱いが異なる場合があります。

Q4. 塗装剥がれと故障の修理費は同じ考え方ですか?

異なります。塗装剥がれは退去時の原状回復の枠組み、故障は入居中の修理費負担の枠組みで、それぞれ根拠となる考え方が異なります。

Q5. 退去費用に納得できない場合はどうすればいいですか?

請求内訳を確認し、入居時の記録や契約書の特約と照らし合わせたうえで、管理会社・大家さんに根拠を確認しましょう。解決しない場合は自治体の相談窓口も活用できます。

まとめ

レンジフードの塗装剥がれは、通常の使用による経年劣化であれば貸主負担、手入れ不足や誤った使用が原因であれば入居者負担になる可能性があります。

最後に、この記事のポイントを整理します。

ポイント内容
基本原則経年劣化・通常損耗は貸主負担、故意・過失・善管注意義務違反は入居者負担
耐用年数の考え方耐用年数を超えるほど入居者の負担割合は下がる
経年劣化になりやすいケース通常の使用による自然な変色・劣化
入居者負担になりやすいケース手入れ不足の放置や誤った使用方法による劣化
トラブル回避のポイント入居時の記録、定期的な清掃、早めの相談

塗装剥がれに気づいたら、まずは自分の使い方に問題がなかったかを振り返りつつ、入居時からの記録を残しておくことで、退去時のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次