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レンジフードの同時給排とは?仕組みとメリット・デメリットを解説

前面に給気口を備えた同時給排タイプのレンジフードとガスコンロのイラスト
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

タワーマンションや新築の高気密住宅で、レンジフードを回すと玄関ドアが重くなったり、ヒューッという風切り音がしたりした経験はありませんか。

これは排気した分の空気が室内に戻ってこないことで起こる現象で、その対策として生まれたのが「同時給排」という仕組みです。

この記事では、同時給排の仕組み、メリット・デメリット、向いている住まいと選び方を解説します。

  • 同時給排の仕組みと、通常のレンジフードとの違い
  • 給気不足(負圧)が起こす不具合と、ガス機器への影響
  • メリット・デメリット、向く住まい、選ぶときの判断基準
目次

同時給排とは?排気と給気をセットで行う仕組み

同時給排とは、レンジフードが室内の空気を屋外へ排気するのと同時に、屋外の新鮮な空気を室内へ取り込む仕組みのことです。

「同時給排気」「給気同時型」などの名前で呼ばれることもあり、メーカーの製品ラインナップでも通常タイプとは別の区分になっています。

通常のレンジフードは「排気だけ」を行いますが、同時給排型は「排気」と「給気」を一台でセットにしている点が最大の違いです。

本体に排気ダクトをつなぐだけでなく、屋外から空気を引き込むための給気ダクトもつなぎ、フード周辺へ外気を送り込みます。

仕組みの流れを整理すると、次のようになります。

段階起きていること
1. 運転開始スイッチを入れると、給気側の電動シャッターが開く
2. 排気ファンが回り、コンロ周りの油煙・熱・湯気を吸い込んで屋外へ出す
3. 給気排気で減った分の空気を、給気ダクトから屋外の空気として取り込む
4. 運転停止ファンが止まると、給気側のシャッターも閉じる

給気された外気は、フードの前面やスポイラー(整流用の部品)を通って、調理中のコンロ付近に流れます。

コンロの手前に外気のカーテンのような流れができるため、油煙が部屋の側へ逃げにくくなるという副次的な効果もあります。

なぜ必要なのか:排気だけだと起こる「負圧」の問題

レンジフードは、強力なものほど1分間に数立方メートルもの空気を外へ出します。

空気は魔法のように消えるわけではないので、出ていった分と同じ量の空気がどこかから入ってこなければ、部屋の中の気圧が屋外より低い状態になります。この状態が「負圧」です。

昔ながらの戸建てなら、サッシや建具のすき間から自然に空気が入ってくるため、負圧はそれほど問題になりません。

ところが気密性の高い住宅では、すき間が少ないため、排気した分の空気が入る場所を失ってしまいます。

気密性が高い住まいほど、「排気した分の空気をどこから補うか」を設計の段階で決めておく必要があります。

負圧が強いと、次のような不具合が出ます。

症状起きる理由
玄関ドアが重い・開けにくい室内が負圧になり、ドアが室内側へ引っぱられる
ヒューヒュー、ピーという風切り音吸い込まれる空気がドアや窓のすき間を高速で通る
吸い込みが弱くなる空気を取り込めずファンが十分に回れない
異音・振動が出るファン周辺の空気が不安定になる
他の換気口から臭いや逆流が起きる浴室やトイレ、排水トラップ側から空気を引っぱる

こうした問題は、窓や玄関を少し開ければおさまります。ただ、真冬や梅雨どき、花粉の季節に毎回窓を開けるのは現実的ではありません。

そこで「窓を開けなくても給気できる」同時給排型が選ばれるようになりました。

負圧はガス機器の燃焼にも影響する

給気不足の影響は、体感的な不快さだけではありません。

燃焼する機器は、空気が足りないと燃焼状態が悪くなります。

負圧が強い状態で、室内の空気を使って燃焼する機器を使うと、炎が乱れたり、排気が逆流したりして、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の危険が高まります。

機器のタイプ別に整理すると、影響の受け方が違います。

機器のタイプ空気の取り方負圧の影響
ガスコンロ室内の空気で燃焼炎が乱れたり、赤い炎になったりすることがある
開放式ストーブ室内の空気で燃焼空気不足で不完全燃焼のおそれ。換気が特に重要
半密閉式(CF式)の給湯器・ストーブ室内の空気で燃焼し、排気筒で排気排気が逆流するおそれがあり、特に注意が必要
密閉式(FF式・BF式・屋外設置)屋外の空気で燃焼し、屋外へ排気室内の負圧の影響は受けにくい

レンジフードと一緒に、同じ室内で別の燃焼機器を使う家では、給気の確保が安全面でも重要になります。

ガスコンロの炎が普段より黄色くなる、ゆらいで消えやすいといった症状が、レンジフードを回したときだけ出る場合は、給気不足を疑ってみてください。

そのまま使い続けず、窓を開けて給気したうえで、ガス会社や施工業者に相談しましょう。

給気方式は大きく3つ:同時給排型・別途給気口・窓開け

給気の確保には、同時給排型だけでなく、いくつかの方法があります。違いを知っておくと、リフォームのときに判断しやすくなります。

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方式仕組み特徴
同時給排型レンジフードフード本体に給気ダクトをつなぎ、運転と連動して給気フード近くで給気でき、運転と連動するので手間がない
別途の給気口(壁の給気口)壁に穴を開け、電動シャッター付きの給気口を設ける通常のフードと組み合わせられるが、給気の位置によっては風が体に当たる
窓・扉を少し開ける手動で給気する費用はかからないが、開け忘れや季節の寒さの問題がある

別途の給気口は、レンジフードと連動して開閉する電動タイプが一般的で、使わないときは閉じて外気の出入りを抑えます。

同時給排型は、この給気口の役割をフード本体に持たせたものと考えると、わかりやすいでしょう。

同時給排型でも、給気量は排気量すべてを賄えるとは限りません。住宅の気密性次第では、同時給排型と別の給気口を併用する設計になります。

「同時給排型だから何もしなくてよい」と考えず、設計者や施工業者に給気量の考え方を確認しておくと安心です。

同時給排のメリット

メリット内容
窓を開けずに給気できる閉め切ったままでも換気性能を保ちやすい
吸い込みが安定する空気を取り込めるため、ファン本来の性能を発揮しやすい
玄関ドアや風切り音の問題が出にくい室内外の気圧差が大きくなりにくい
ガス機器の燃焼が安定しやすい給気が確保され、炎の乱れや不完全燃焼のリスクを下げられる
油煙が部屋に漏れにくい外気がコンロ周りに流れ、煙を吸い込み口へ誘導する
暖房・冷房ロスが小さくなる場合がある窓を大きく開けずに済み、室温が急に変わりにくい

同時給排の価値は、「窓を開けなくても安全に、快適に調理できること」にあります。

特にタワーマンションのように、高層階で窓を開けられない、あるいは開けたくない住まいでは、大きなメリットになります。

同時給排のデメリットと注意点

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デメリット・注意点内容
本体・工事費が高くなりやすい給気ユニット、電動シャッター、ダクト、配線が加わるため、通常タイプより割高になるのが一般的
結露しやすい冬の冷たい外気が通るダクトの表面に、室内の湿った空気が触れて結露することがある
外気の冷たさを感じる真冬は給気された冷たい風が足元や手元に当たり、寒く感じることがある
ホコリ・花粉・虫が入る可能性外気を直接取り込むため、フィルターのない機種では室内へ入り込むことがある
施工に手間がかかる排気と給気の2系統のダクト、シャッターの配線が必要
外壁の穴が2か所必要排気口に加えて給気口も外壁に設ける必要がある
運転前に数秒かかるシャッターが開いてから運転が始まる機種では、スイッチを入れてから動き出すまでに少し間がある

結露とダクトの断熱は、特に見落としがちな点です。

給気ダクトは外気の温度に近くなるため、天井裏などを通す場合は、断熱材を巻いて結露を防ぐのが基本になります。断熱が甘いと、天井にシミができたり、水が垂れたりすることもあります。

結露の仕組みと対策については、夏にレンジフードが結露するのはなぜ?原因と今日からできる対策でも解説しています。

寒さが気になる場合は、給気を取り込む位置や、風向を変える部品(スポイラーなど)の向きで感じ方が変わります。

また、給気側にフィルターを組み込める機種や、給気清浄ユニットをオプションで追加できる機種もあるので、花粉やPM2.5が気になる地域では検討する価値があります。

向く住まい・向かない住まい

住まいのタイプ同時給排の必要性
高層のタワーマンション高い。窓を開けにくく、風の影響も受けやすい
気密性の高いマンション全般高い。玄関ドアや廊下側の換気口との関係で給気不足が出やすい
高気密・高断熱の戸建て高い。設計時に給気計画を立てておくのが望ましい
築年数の経った戸建て低いことが多い。すき間から自然に給気される
開放式ストーブなどを同じ部屋で使う家高い。安全面から給気の確保が重要
賃貸住宅既存の仕様に合わせるのが基本

24時間換気の給気口(壁や窓に付いているフタ)が閉じていると、レンジフードを回したときの給気がさらに足りなくなります。

同時給排型でなくても、給気口は閉めないことが、負圧を防ぐ基本のルールです。

選び方:交換のときに確認すべきこと

レンジフードを交換するときは、次の順番で確認すると失敗を防げます。

確認事項見方
今のフードが同時給排型か本体に給気ダクトの接続部や電動シャッターがあるか確認する
壁や天井の給気用の穴給気ダクトの経路が残っているか、外壁に給気口があるか
同時給排に対応した機種か型番ごとに適合する排気・給気のダクト径、フードの寸法が決まっている
マンションの規約外壁の穴やダクトの変更に管理組合の許可が必要な場合がある
給気のオプション給気フィルターや電動シャッターの仕様を確認する

同時給排型から通常タイプに変えるのは、給気を失うことなので、安易に行わないでください。

逆に、通常タイプから同時給排型へ変える場合は、給気用の穴あけや配管が必要になり、工事の規模が大きくなる点を理解しておきましょう。

交換全体の流れや所要時間については、レンジフードの取り付け工事の流れ|所要時間と確認しておきたい条件でも解説しています。

使い方のポイントと、起こりがちな失敗

よくある失敗対策
給気シャッターを手で開閉して壊す電動のシャッターは手で動かさず、必ずスイッチ連動で動かす
給気口のフィルターを掃除しないホコリでふさがると給気量が落ち、負圧が戻ってくる
24時間換気の給気口を閉める冬の寒さで閉めたくなっても、給気口は開けておく
窓を開けたうえで強運転する給気が過剰になり、逆に空気が乱れる。同時給排型は窓を閉めたままで使える
調理後すぐ運転を止める調理後もしばらく回して、煙・湿気・においを排出する

同時給排型でも、取扱説明書に書かれた点検、給気フィルターの掃除、シャッター周辺の油汚れの除去は定期的に行いましょう。

シャッターに油がこびりついて動きが悪くなると、給気が止まり、負圧のトラブルが再発します。

よくある質問

Q1. レンジフードの同時給排とは何ですか?

排気と同時に、屋外の空気を室内へ取り込む仕組みを持つレンジフードです。排気用のダクトに加えて給気用のダクトをつなぎ、排気した分の空気を外から補います。

Q2. なぜ同時給排が必要なのですか?

気密性の高い住宅では、排気した分の空気が入る場所がなく、室内が負圧になります。玄関ドアが重くなる、風切り音がする、吸い込みが弱くなる、ガス機器の燃焼が乱れるといった不具合が出るため、給気ルートを確保する同時給排型が使われます。

Q3. 同時給排型のデメリットは何ですか?

通常タイプより本体・工事の費用が高くなりやすく、給気ダクトの結露対策や断熱が必要です。冬は冷たい外気を感じたり、ホコリや花粉が入り込んだりすることもあります。また、同時給排型でも給気が足りない場合は、別の給気口を併用します。

Q4. 一戸建て住宅にも同時給排は必要ですか?

住宅の気密性によります。すき間が多く自然に空気が入る家では必須ではないことが多い一方、高気密・高断熱の戸建てでは給気計画が欠かせません。同時給排型にするか、別の給気口を設けるかは、設計者や施工業者に相談してください。

Q5. 自宅のレンジフードが同時給排型かどうかはどう確認すればよいですか?

フード本体に給気ダクトの接続部や電動シャッターがあるかどうかで見分けられます。分かりにくい場合は、型番を調べて取扱説明書で確認するか、メーカーや施工業者に問い合わせると確実です。

まとめ

同時給排は、排気と給気を一台でセットにすることで、気密性の高い住宅で起こる給気不足と負圧を防ぐ仕組みです。

最後に、この記事のポイントを整理します。

ポイント内容
同時給排とは排気と同時に、屋外の空気を取り込むレンジフードの仕組み
必要とされる理由排気で生じる負圧を防ぎ、吸い込みや燃焼を安定させるため
メリット窓を開けずに給気でき、ドアの重さや風切り音、炎の乱れを抑えやすい
デメリット費用が高め、結露対策が必要、冬の寒さやホコリへの配慮が必要
向いている住まいタワーマンション、気密性の高いマンション・戸建て
選ぶときの注意今の仕様を確認し、同時給排から通常タイプへの安易な変更は避ける

玄関ドアが重い、風切り音がする、コンロの炎が乱れるといった症状があれば、給気不足のサインかもしれません。

交換や新設の際は、住まいの気密性と使う燃焼機器をふまえて、給気の取り方を施工業者と相談してから決めましょう。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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