灯油の値段は、毎年のように「高い」と言われます。
けれども、10年前と比べたらどれくらい上がったのか、そもそも昔から高かったのか、と問われると、答えに詰まる方も多いのではないでしょうか。
実際に年ごとの全国平均を並べてみると、灯油は2016年の底から、この10年でほぼ倍の水準まで上がってきたことが分かります。
その途中には、急に上がった年も、いったん下がった年もありました。
この記事では、過去10年の推移をグラフと表で確かめたうえで、価格が大きく動いた年に何が起きていたのか、そして「いつ買えば安いのか」という素朴な疑問に、どう向き合えばよいのかを整理していきます。
過去10年の全国平均をグラフで見る
まずは、全体像をつかみましょう。
資源エネルギー庁の石油製品価格調査(週次)のデータから、年平均を計算し、18リットルあたりの金額でグラフにしました。

📎 出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の週次データをもとに年平均を算出(税込)
グラフから、次のことが読み取れます。2016年から2018年にかけての急な上昇。2019年から2020年にかけての小さな下落。
そして、2021年から2022年にかけて再び大きく上がり、その後は、毎年少しずつ高い水準へ切り上がっている、という流れです。
年ごとの数字を表で確かめる
グラフの数字を、表にまとめておきます。前の年と比べて、いくら動いたのかもあわせて載せました。
| 年 | 店頭(18L) | 前年との差 | 配達(18L) |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 1,157円 | −320円 | 1,311円 |
| 2017年 | 1,406円 | +249円 | 1,549円 |
| 2018年 | 1,653円 | +247円 | 1,800円 |
| 2019年 | 1,636円 | −17円 | 1,789円 |
| 2020年 | 1,487円 | −149円 | 1,640円 |
| 2021年 | 1,717円 | +230円 | 1,875円 |
| 2022年 | 2,024円 | +307円 | 2,185円 |
| 2023年 | 2,065円 | +41円 | 2,232円 |
| 2024年 | 2,109円 | +44円 | 2,282円 |
| 2025年 | 2,236円 | +127円 | 2,413円 |
| 2026年(1〜10月) | 2,458円 | 集計途中 | 2,645円 |
2016年の店頭1,157円に対し、2025年は2,236円で、約1.9倍です。18リットルあたり1,000円以上、1リットルに直せば60円ほど高くなりました。
2026年は、10月までの平均がすでに2,458円と、前の年の通年平均を上回っています。
大きく動いた年には、何があったのか
灯油の価格が動くとき、背景にはたいてい、原油や為替、そして国の政策の動きがあります。
とくに変化の大きかった年を、整理してみましょう。
| 時期 | 価格の動き | 背景 |
|---|---|---|
| 2016年 | 大きく下落(底) | 2014年後半から続いた原油価格の急落の影響が残った |
| 2017〜2018年 | 2年連続で約250円上昇 | 原油価格が持ち直し、国内の価格にも波及した |
| 2020年 | 150円ほど下落 | 新型コロナの影響で需要が落ち込み、原油が下がった |
| 2021〜2022年 | 2年で500円超の上昇 | 需要の回復に加え、ロシアのウクライナ侵攻や円安が重なった |
| 2023〜2025年 | 毎年少しずつ上昇 | 補助の有無や円安など、複数の要因が続いた |
| 2026年 | さらに上昇 | 3月に2004年6月以降の最高水準を記録し、国の補助も拡大された |
こうして並べると、灯油は国内の事情だけで動くのではなく、海外の原油と、円とドルの関係に強く左右されることが見えてきます。
価格を動かす3つの要因を、もう少し詳しく
先ほどの表に出てきた原油、為替、補助について、灯油の価格にどう効くのかを補足します。
| 要因 | 灯油の価格への効き方 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 原油価格 | 原料の値段なので、上がれば灯油も上がる | 国内の価格に反映されるまで、数週間の時間差がある |
| 為替(円安・円高) | 原油はドルで買うため、円安だと円換算の仕入れ値が上がる | 原油が下がっても、円安だと下がり方が小さくなる |
| 国の補助 | 店頭の価格を、補助の分だけ押し下げる | 補助が縮小・終了すると、反動で上がりやすい |
3つは、同時に動くこともあります。
原油が下がっても円安が進めば、国内の価格は横ばいということも起こりますし、補助の変更が重なれば、動きはさらに複雑になるでしょう。
そのため、価格の先行きを、一つの要因だけで判断するのは危ういといえます。
もっと長い目で見ると、どうか
10年より前までさかのぼると、灯油の価格はずっと上がり続けてきたわけではない、と分かります。
2008年には、原油の高騰で、店頭の年平均が1,903円まで上がりました。
ところが翌2009年には、リーマンショックの影響で、1,202円まで急落しています。
また、2014年の店頭の年平均は1,893円でしたが、2016年には1,157円まで下がりました。
このように、灯油の価格は、数年で数百円単位の上下を繰り返してきました。
「いまは高い」と感じても、数年後に下がる可能性はあるでしょう。
反対に、いまが底だと思っても、翌年に上がることもあります。
先を言い当てようとするより、動きの仕組みを知っておくほうが、役に立ちます。
1リットルに直すと、どう見えるか
18リットルの金額は、1リットルの単価に直すと、販売店の看板とも見比べやすくなります。
年ごとの店頭価格を、18で割って並べてみました。
| 年 | 店頭の1リットルあたり |
|---|---|
| 2016年 | 約64.3円 |
| 2018年 | 約91.8円 |
| 2020年 | 約82.6円 |
| 2022年 | 約112.4円 |
| 2024年 | 約117.2円 |
| 2025年 | 約124.2円 |
| 2026年(1〜10月) | 約136.6円 |
2016年には1リットル60円台だったものが、いまは130円台です。
10年前の看板を覚えている方なら、ずいぶん高くなったと感じるのも、無理はないでしょう。
2026年は、どんな年なのか
2026年は、3月16日に、店頭の全国平均が2,774円を記録しました。
これは、2004年6月以降で最も高い水準です。
その後は、国の補助が拡大されたこともあって、4月以降はおおむね2,500円前後で推移しています。
10月26日時点の店頭価格は、全国平均で18リットルあたり約2,580円です。
補助は、店頭の価格を押し下げる働きをしています。
そのため、補助の単価や終わる時期が変わると、原油が動かなくても、店頭の価格が動くことがあります。
この冬の見通しは、2026年冬の灯油価格の見通しで整理しています。
年平均だけでは見えない、年内の動き
グラフは、年ごとの平均で描いています。
平均にならすと、一年のなかで価格がどれだけ上下したのかは、見えなくなります。
たとえば2026年は、3月16日に店頭が2,774円でしたが、10月13日には2,563円でした。
同じ年のなかで、18リットルあたり200円以上も動いたことになります。
つまり、年平均のグラフは、大きな流れをつかむための道具です。
今日、いくらで買えるのかを知るには、直近の週次の数字や、販売店への確認が欠かせません。
確認の方法は、灯油価格の今日の値段はどこで分かる?販売店・価格サイトの確認先で紹介しています。
「冬は高い」「いつ買えば安い」の本当のところ
灯油は、冬に高くなる、と思われがちです。
需要が増えるのだから、当然だと感じるでしょう。
ところが、月ごとの全国平均を長い期間にわたって調べても、冬だから高い、夏だから安い、という偏りははっきりしません。
年のなかの季節差よりも、原油や為替の動きのほうが、はるかに大きいためです。
ですから、「夏のうちに買っておけば得」と決めつけるのは、危険でしょう。
夏に買った灯油が、結果的に高くついた年もあれば、冬になって値下がりした年もあります。
さらに、灯油は長く置くと劣化し、保管の手間もかかります。
買いだめの是非は、価格の予想だけでなく、保管の条件も含めて考えるのが妥当です。
では、価格の動きを、どう活かせばよいのでしょうか。
大切なのは、次の3点だと思います。
- 毎週水曜に公表される全国平均を見て、前の週より動いたかを確かめる。
- 自分の販売店の単価が、統計の同じ区分の数字から離れていないかを見る。
- 値上がりが続く局面では、買う量や時期をずらさず、必要な分を切らさないようにする。
統計の見方は、灯油価格の調べ方|全国平均・都道府県別・店頭と配達の違いに詳しく書きました。
これからの動きを考えるときの、3つのチェック先
先行きを言い当てることはできなくても、動きの兆しに気づくことはできます。
次の3つを、ときどき眺めておくと、値上がりや値下がりの気配をつかみやすくなるでしょう。
原油価格のニュース。 原油が急に動いたときは、数週間おくれて灯油にも波及しやすくなります。
円相場。 円安が進むと、原油が横ばいでも、国内の仕入れ値は上がります。
補助の発表。 補助の単価や期間が発表されたら、店頭の価格にどう響くかを意識しましょう。
なお、いずれも、今日明日の値段を決めるものではありません。
あくまで、数週間から数か月先の流れを考える材料です。
実際に買う日の値段は、毎週の統計と、販売店への確認で押さえてください。
推移を知ると、家計の見通しも立てやすくなる
過去の数字は、これからの灯油代を見積もるときにも役立ちます。
たとえば、前の冬に150リットルを使った家庭なら、単価の差を掛けるだけで、今季の増減が分かります。
| 単価の差 | 150リットルの場合 | 300リットルの場合 |
|---|---|---|
| +5円 | +750円 | +1,500円 |
| +10円 | +1,500円 | +3,000円 |
| +20円 | +3,000円 | +6,000円 |
2025年と2026年(1〜10月)の店頭平均の差は、18リットルあたり222円、1リットルに直して約12円です。
同じ量を使うなら、150リットルで約1,850円、300リットルで約3,700円、昨年より負担が増える計算になります。
こうして数字に置き換えると、価格の上昇が家計にどれくらい響くのかが、はっきり見えてきます。
よくある質問
Q1. 灯油の価格は、この10年でどれくらい上がりましたか?
全国平均の店頭価格で、2016年の1,157円から、2025年の2,236円へ、約1.9倍になりました。
18リットルあたりでは、1,000円以上の上昇です。
Q2. 灯油が最も高かったのは、いつですか?
2026年3月16日に、店頭の全国平均が2,774円となり、2004年6月以降で最も高い水準を記録しました。
その後は、補助の拡大もあり、おおむね2,500円前後で推移しています。
Q3. 灯油は、冬に高くなりますか?
月ごとの平均を長期間で見ても、冬に高くなるという偏りははっきりしません。
原油や為替、補助の動きのほうが、価格への影響は大きいといえます。
Q4. 夏のうちに買っておくと、安くなりますか?
安くなるとは限りません。
価格は原油や為替で動くため、夏に買って結果的に高くついた年もあります。
保管の手間や、灯油の劣化も考えて判断してください。
Q5. 過去の価格は、どこで確認できますか?
資源エネルギー庁の石油製品価格調査に、週次のデータが公開されています。
年ごとの平均を知りたいときは、週次の数字を月ごと、年ごとに平均して計算します。
まとめ
灯油価格の推移について、要点を整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 10年の流れ | 店頭の年平均は、2016年の1,157円から2025年の2,236円へ、約1.9倍 |
| 価格を動かす要因 | 原油価格、為替、国の補助の3つが大きい |
| 長期の傾向 | 2008年や2014年に高く、2009年や2016年に急落。数年で数百円動く |
| 2026年 | 3月16日に2,774円と、2004年6月以降の最高水準 |
| 季節の影響 | 冬だから高いという偏りははっきりしない |
| 活かし方 | 毎週の前週比と、自分の販売店との比較を習慣にする |
まずは、前の冬の請求書から使った量を調べ、単価の差を掛けて、今季の灯油代を見積もってみませんか。

