シャワーを浴びている最中に急にお湯が水に変わり、リモコンを見たら120と表示されていた。
長府製の石油給湯器で起きるトラブルのなかでも、120・121・122はとりわけ不安をかき立てる出方をします。
ただ、この3つのコードには診断の手がかりになる重要な情報が含まれています。
それは、点火そのものには成功していたという事実です。
火はついた、しかし燃え続けられずに途中で消えた。
これが120系のエラーが示している状態です。
この記事では、火がつかない110系との違いを整理したうえで、120にだけ加わる確認事項、電磁ポンプ不良を示す510、機種によって意味が変わるE3、そして逆に炎を検知し続けてしまう720・721・722・E2までを扱います。
このページで扱うエラーコード
| 表示 | 意味 | 状態 |
|---|---|---|
| 120 | 燃焼途中の失火 | 運転停止 |
| 121 | 給湯運転時の失火 | 運転停止 |
| 122 | ふろ追いだき運転時の失火 | 運転停止 |
| 510 | 電磁ポンプ作動不良による途中失火 | 運転停止 |
| E3 | 機種により感震器作動、または途中失火 | 運転停止 |
| 720 | 燃焼停止後の残り火検知 | 運転停止 |
| 721・722 | 燃焼開始前または停止後の残り火検知 | 運転停止 |
| E2 | 燃焼停止後の残り火検知 | 運転停止 |
110系と120系は、切り分けの出発点が違う
長府の石油給湯器には燃焼制御装置という安全装置が備わっています。
これはバーナーが点火しないとき、使用中に炎が消えたとき、異常な燃焼をしたときに作動して運転を停止させるものです。
つまり110も120も、同じ安全装置が働いた結果として表示されます。
ただし、機器が「どこまで進んでから止まったか」はまったく違います。
| 110・111・112 | 120・121・122 | |
|---|---|---|
| 状態 | 点火確認時間内に燃焼を検知できなかった | いったん燃焼したあとに火が消えた |
| 点火装置 | 正常に動いたか不明 | 正常に動いたことが確認できている |
| 主に疑う場所 | 燃料が届いているか | 燃焼を維持できない理由 |
| 発生の見え方 | お湯を出そうとしても最初から出ない | 使用中に急にお湯が水になる |
120系が出たなら、点火電極やイグナイタは少なくとも一度は仕事をしています。
そのぶん、切り分けの出発点を「なぜ燃え続けられなかったのか」に置けます。
火がつかないケースについては長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説から該当する記事をたどってください。
3つのコードの違い
120・121・122の意味は同じで、違うのはどの運転中に消えたかという点だけです。
- 121:蛇口やシャワーでお湯を使っている最中に消えた
- 122:浴槽の追いだき中に消えた
- 120:運転の種類を区別せずに表示される機種
ここで見落とされがちなのが、長府が公表している確認事項が120と121・122で異なるという点です。
120にだけ「給排気経路の閉塞」が加わる
長府のエラーコード一覧では、121と122の確認事項は燃料切れ・油タンクへの水の混入・油ストレーナーの詰まり・送油バルブの閉止の4点です。
これは110系とまったく同じ並びです。
ところが120だけは、この4点に給(排気)経路の閉塞が加えられています。
燃焼の維持には空気の出入りが欠かせないため、燃料が届いていても排気が滞れば火は保てません。
120が出ているなら、燃料側だけでなく機器の周囲も見る必要があります。
何が経路をふさぐのか
実際に閉塞を招く要因は、季節や工事のタイミングと結びついていることが多くあります。
- 積雪・落雪:積雪地では給気部や排気口が雪でふさがれます。屋根からの落雪も同様で、長府も点検と除雪を求めています
- 台風の通過後:機器や油タンクが倒れていたり、飛来物が排気口をふさいでいることがあります
- 外壁工事の養生シート:工事で機器全体が覆われると給排気ができなくなります
- 囲い込み:屋外設置機を波板やビニールで囲うと不完全燃焼や火災の原因になります
- 増改築:設置後の増改築で、屋外設置だったはずの機器が屋内状態になってしまうケースがあります
外壁工事などで機器全体が養生シートで覆われている間は、機器を使用しないでください。
塗装業者が給湯器まで一緒に養生してしまうことは珍しくなく、施主が気づかないまま運転して120が出る、という流れが起こり得ます。
屋内設置の機器はさらに注意が必要
強制排気タイプや強制給排気タイプを屋内に設置している場合、排気筒や給排気筒が外れていたり詰まっていたりすると、運転中に排ガスが室内へ漏れます。
この状態は酸欠事故・火災・過熱の原因になり、一酸化炭素は無色無臭のため気づきにくい危険があります。
また、強制排気タイプを屋内に設置している場合、機器のある部屋の換気扇を燃焼中に使うことは禁止されています。
排ガスが逆流するためで、換気口が設置されていても、運転スイッチが「入」のときは換気扇を使わないでください。
燃料側が原因で失火するケース
排気経路に問題がなければ、次は燃料の質と流れを見ます。
残量ぎりぎりで使い続けた
タンクの油面が下がると、灯油の吸い込みが不安定になります。
点火はできても燃焼を続けるだけの供給量が確保できず、途中で消えるという出方をします。
長府も、燃料切れの際に110または120を表示すると案内しています。
給油してから運転すれば復帰しますが、送油経路の空気が抜けるまで数回のリセットが必要です。
変質した灯油を使っている
持ち越した灯油や、日光に当たる場所で保管していた灯油は成分が変質します。
着火はしても燃焼が安定せず、途中で消えたり、ススが出たりします。
判断の目安は灯油の使用期限はどれくらい?去年の灯油は使えるのか判断基準を解説で整理しています。
タンクに水が混入している
タンク底に溜まった結露水を吸い込むと、燃焼は続きません。
油ストレーナーのカップを覗いて、灯油との境目がはっきりした透明な液体が下に溜まっていれば水混入です。
対処は灯油タンクの水抜きのやり方とは?|手順・頻度・水が溜まる理由を解説を参照してください。
510が出たら電磁ポンプの不良
510は、120系のなかで唯一原因の部品が特定されているコードです。
電磁ポンプの作動不良による途中失火を意味します。
電磁ポンプは灯油をバーナーへ送り出す部品で、ここが弱ると燃焼中に必要な油圧を保てなくなります。
リモコンの運転スイッチをOFF/ONすれば警報は解除できますが、部品側の劣化である以上、リセットで根本的に直るものではありません。
復帰しない、あるいは再発する場合は点検・修理の依頼が必要です。
実務上の判断としては、120や121が繰り返し出ていて、燃料と排気の両方に問題が見当たらない場合、電磁ポンプを含む送油系の劣化を疑う段階と考えてよいでしょう。
設置から年数が経った機器では、この経路が原因になる割合が上がります。
E3は機種によって意味が正反対になる
E3は読み間違えやすいコードです。
JIB-10SAG、KIB-312(AF・AG)、382AJ、384(EAG・SAG)、322SAG、32AUGの各機種では、E3は運転中に感震器(耐震自動消火装置)が作動したことを意味します。
地震だけでなく、給湯器に人がぶつかったり、車の振動でも作動することがあります。
一方、それ以外の機種では、E3は燃焼途中の失火を意味します。
確認事項も120と同じく、燃料切れ・水の混入・ストレーナーの詰まり・送油バルブの閉止・給排気経路の閉塞の5点です。
E3が出たら、まず機器前パネルの銘板で型名を確認してください。
地震も強い衝撃もなかったのにE3が出たなら、失火側である可能性が高くなります。
逆の異常:720・721・722・E2の残り火検知
ここまでは「火が消えた」異常でしたが、長府にはその逆を検知するコードもあります。
- 720・E2:燃焼停止後の残り火を検知して運転停止
- 721・722:燃焼開始前、または燃焼停止後の残り火を検知して運転停止
燃焼が終わったのに炎が検知され続ける、あるいは燃焼を始める前から炎があると判定される状態です。
実際に火が残っているケースもありますが、多くは炎の有無を見張っている炎検出装置側の問題です。
すすの付着や部品の劣化で誤検知が起きると、これらのコードが出ます。
失火系と残り火系は正反対の現象に見えますが、どちらも炎検出装置という同じ部品が関わっている点で地続きです。
そして両者は130・131という同じ出口につながります。
繰り返すと解除できない状態になる
長府では、点火ミス(110・111・112)を規定回数以上繰り返すと再点火防止機能が作動し、130が表示されます。
同様に、油サーミスタ異常(350)または炎検出異常(721・722)を規定回数以上繰り返すと、131が表示されます。
130も131も、リモコン操作では警報を解除できません。
点検・修理を依頼する以外に復旧の手段がなくなります。
120系や720系が繰り返し出ている段階で手を打つかどうかが、この分岐点になります。
判断の早見表
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 灯油の残量が少なかった | 給油してリセット。自分で対処可能 |
| 積雪や飛来物で排気口がふさがれていた | 取り除いてリセット。自分で対処可能 |
| 外壁工事の養生シートで覆われていた | 使用を中止し、外れてから運転する |
| 持ち越した灯油を使っていた | 抜き取り、新しい灯油に入れ替える |
| 屋内設置で排気筒が外れている | 直ちに運転を止め、業者へ連絡する |
| 燃料も排気も正常なのに120が続く | 送油系・炎検出装置の点検を依頼する |
| 510が繰り返し出る | 電磁ポンプの点検・交換を依頼する |
| 720・721・722・E2が出る | 炎検出装置の点検を依頼する |
| 130・131が表示された | リセット不可。点検・修理を依頼する |
繰り返す失火を放置しない
失火が起きるたびに、燃焼室には燃え残りが生じます。
これが積み重なるとススとなって堆積し、燃焼効率の低下や排気の汚れにつながります。
長府も、頻繁な燃料切れとリセットの繰り返しがバーナーの性能低下を招き、ススが出て建物の壁などを汚すおそれがあると注意しています。
「リセットすれば使えるから」と繰り返している状態は、費用の面でも安全の面でも先送りにしかなりません。
週に何度も同じコードが出るようであれば、その時点で点検を依頼する判断が妥当です。
なお、他メーカーでも燃焼系のエラーは似た構造で分類されています。
比較の参考としてコロナ 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と対処法をわかりやすく解説もご覧ください。
よくある質問
Q1. 120と110は何が違うのですか?
止まるまでに機器がどこまで進んだかが違います。
110は点火確認時間内に燃焼を検知できなかった状態、つまり火がつかなかったことを示します。
120はいったん燃焼したあとに火が消えた状態です。
120が出ているなら点火装置は少なくとも一度は正常に働いており、切り分けの焦点は「なぜ燃え続けられなかったのか」に移ります。
また、120の確認事項には110にはない給排気経路の閉塞が加えられている点も違いです。
Q2. シャワー中に急にお湯が水になり、121が出ました。何を見ればよいですか?
まず灯油の残量を確認してください。
タンクの油面が下がっていると、点火はできても燃焼を維持する量を吸い上げられず、使用中に消えることがあります。
残量が十分なら、送油バルブが半開きになっていないか、油ストレーナーに水やスラッジが溜まっていないかを確認します。
これらに問題がなく、121が繰り返し出るようであれば、電磁ポンプなど送油系の劣化が考えられるため点検を依頼してください。
Q3. 給湯器の周りを工事で囲っていたのですが、関係ありますか?
大いに関係します。
屋外設置の機器を波板やビニール、工事の養生シートで囲うと給排気ができなくなり、不完全燃焼や火災の原因になります。
長府も、機器全体が養生シートで覆われた場合は使用しないよう明記しています。
外壁塗装や屋根工事の期間中に120が出たなら、まず養生の状態を確認してください。
工事業者に給湯器の給排気口を塞がないよう伝えておくことが、そもそもの予防になります。
Q4. E3が出ましたが、地震はありませんでした。故障でしょうか?
E3は機種によって意味が変わるコードです。
JIB-10SAGやKIB-312(AF・AG)など特定の機種では感震器の作動を意味しますが、それ以外の機種では燃焼途中の失火を意味します。
地震も衝撃もなかったのであれば、失火側である可能性が高いと考えられます。
まず機器前パネルの銘板で型名を確認し、どちらに当たるかを特定してから対処を判断してください。
Q5. 720や722が出ました。火が残っているということですか?
実際に炎が残っているケースもありますが、多くは炎の有無を検知する装置側の問題です。
すすの付着や部品の劣化によって誤検知が起こり、燃焼が終わっているのに炎があると判定されます。
いずれにせよ自分で分解して確認できる部分ではないため、点検を依頼してください。
また、721・722を規定回数以上繰り返すと131が表示され、リモコン操作では解除できなくなるため、繰り返す前に対応することが大切です。
まとめ
120・121・122は、点火には成功したものの燃焼を維持できずに火が消えたことを示す警報です。
点火装置が働いた証拠があるぶん、110系とは切り分けの出発点が変わります。
確認すべきは、燃料の残量と質、送油経路、そして120では給排気経路の閉塞です。
積雪や落雪、台風後の飛来物、外壁工事の養生シートといった、燃料とは無関係な要因が原因になることも少なくありません。
510は電磁ポンプ、720・721・722・E2は炎検出装置と、部品が絞り込めるコードもあります。
E3だけは機種によって感震器作動と失火のどちらにもなるため、型名の確認が先です。
そして、繰り返した末に130や131が表示されると、リモコン操作では解除できなくなります。
同じコードが週に何度も出る段階で点検を依頼するのが、結果としていちばん負担の少ない選択になります。

