長府製の石油給湯器に290や291が表示されて運転が止まった。
中和器という聞き慣れない部品の名前が出てきて、何が起きているのか分かりにくいと思います。
まず確認していただきたいのは、お使いの機器が潜熱回収型(高効率タイプ)かどうかです。
このページで扱うコードは、中和器を搭載した機種でのみ発生します。
そして290と291は、名前が近いのに示している状態が正反対です。
290は中和槽の水位が上がりすぎ、291は水位が下がりすぎた状態を意味します。
この記事では、そもそもなぜ中和器が必要なのかから説明し、2つのコードを切り分けていきます。
このページで扱うエラーコード
| 表示 | 意味 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 290 | 中和槽内部の水位上昇による運転停止 | 中和槽内部の詰まり、ドレンホースの凍結 |
| 291 | ドレン水トラップ水位の低下による運転停止 | ドレン水トラップ排水栓の緩みによる漏水 |
| 260 | 機種により中和器の圧力スイッチ作動、または缶体圧力スイッチ作動 | 表示により異なる |
なぜ中和器という部品があるのか
従来型の石油給湯器にはない部品です。
潜熱回収型の仕組みを理解すると、なぜ必要なのかが分かります。
従来型は、燃焼して生じた高温の排ガスをそのまま外へ捨てていました。
潜熱回収型は、この排ガスに残っている熱をもう一度回収してから捨てます。
熱を奪われた排ガスは温度が下がり、含まれていた水蒸気が水に戻ります。
これがドレン水です。
そしてこのドレン水は酸性を帯びているため、そのまま排水することができません。
そこで中和器を通し、中和してから排水する構造になっています。
中和器は、潜熱回収型であるがゆえに必要な部品です。
長府の工事説明書には、潜熱回収型高効率給湯器はドレンホースから毎分最大50ccのドレン水を排水するため、各市町村の条例に基づいて必ず排水配管工事を行うよう記載されています。
仕組みの詳細は潜熱回収型給湯器とは?仕組み・メリット・従来型との違いをわかりやすく解説で解説しています。
290と291は正反対の異常
同じ中和器まわりでも、起きていることは逆です。
| 290 | 291 | |
|---|---|---|
| 検知していること | 中和槽内部の水位が上昇 | ドレン水トラップの水位が低下 |
| 何が起きているか | ドレン水が出ていかない | 水が抜けてしまっている |
| 疑うところ | 詰まり、凍結 | 排水栓の緩みによる漏水 |
つまり290は「出口が塞がっている」、291は「必要な水まで出てしまった」という違いです。
290:ドレン水が出ていかない
中和槽の内部で水位が上がるということは、入ってくるドレン水に対して出ていく量が足りていないということです。
長府が挙げる確認事項は2つです。
詰まり
中和槽内部の詰まりが考えられるとして、中和器排水栓を開けてドレン水を排水してみるよう案内されています。
詰まりの背景として押さえておきたいのが、排水配管の施工条件です。
長府の工事説明書には、排水配管の横引き部は先端に向かって1/50以上の下り勾配をつけること、勾配がついていないと配管がつまり、機器が故障する原因になると明記されています。
つまり、詰まりは施工に起因することがあります。
設置してからずっと290が繰り返し出ているなら、配管の勾配を確認してもらう価値があります。
凍結
もうひとつが凍結です。
長府は、冬場の気温低下により中和槽のドレンホースが凍結している場合として、自然解凍を待つよう案内しています。
急いで溶かそうとして熱湯をかけることは避けてください。
配管の破損につながります。
凍結対策についても工事説明書に記載があります。
凍結のおそれのある地域では排水配管に保温材を施工するか電気ヒータを取り付けること、配管が凍結すると機器が故障する原因になること、保温材を施工する場合は排水用ホッパーの根元まで保温することが示されています。
冬季に毎年290が出るようであれば、排水配管の保温が不十分である可能性があります。
機器の傾き
見落とされやすいのが設置の水平です。
長府は工事説明書で、機器が傾いていると対震自動消火装置が誤作動したり、ドレン水の排水に不具合が起きたりする可能性があるとしています。
地震や地盤の変化、設置台の沈下などで機器が傾いていないか、外観から確認してみてください。
291:トラップの水が減った
291はドレン水トラップの水位低下です。
確認事項は、ドレン水トラップ排水栓の緩みによる漏水とされています。
ここで疑問が浮かびます。
水が抜けただけなら、なぜ運転を止める必要があるのでしょうか。
トラップの水は排ガスを止めている
答えは、長府が据付時に求めている作業から読み取れます。
工事説明書には、据付け時に中和器への呼び水を行うことが記載されており、その目的はドレン水出口から排ガスが漏れることを防止するためと明記されています。
そして、呼び水をせずに機器を運転すると警報になり運転できないとも書かれています。
つまり、トラップに溜まっている水は単なる残り水ではありません。
その水が栓の役割を果たし、排ガスがドレン出口から外へ漏れ出すのを防いでいます。
水位が下がれば、この封が切れます。
浴室や台所の排水口にある封水と同じ考え方です。
仕組みはお風呂の排水口が臭い!下水臭の原因別・掃除と予防の完全ガイドでも扱っています。
だから291は運転を止めます。
機器を守るためではなく、排ガスを外に出さないための停止です。
260:中和器排水栓の閉止不良
260は機種によって意味が変わります。
| 対象機種 | 260の意味 | 確認事項 |
|---|---|---|
| EHI・EHK | 中和器の圧力スイッチ作動 | 中和器排水栓の閉止不良 |
| KIBF-4511MA | 缶体圧力スイッチ作動 | 断水、給水栓閉止、給水接続口フィルターの詰まり |
EHI・EHKであれば、確認事項は中和器排水栓の閉止不良です。
291の「排水栓の緩みによる漏水」と、根っこは同じところにあります。
排水栓は「触ったあと」が危ない
ここまでを整理すると、中和器排水栓が3つのコードに共通して関わっていることが分かります。
| コード | 排水栓との関係 |
|---|---|
| 290 | 詰まりの対処として、開けて排水する |
| 291 | 緩んでいると水が抜け、トラップの封が切れる |
| 260(EHI・EHK) | 閉止不良で圧力スイッチが作動する |
つまり、290の対処で排水栓を開けたあと、確実に閉め直さないと291や260につながるという関係になります。
排水栓を緩める場面は他にもあります。
- 据付け時の中和器への呼び水(反時計回りに1回転緩めてホースを差し込む)
- 点検やメンテナンスの作業時
- 290の対処でドレン水を抜いたとき
「触ったら必ず元通りに閉める」を徹底してください。
290を直したつもりが291を招く、という流れは避けられます。
なお工事説明書には、中和器排水栓と補助熱交排水栓は配管の必要がないと記載されています。
どこかへつながっているわけではないため、緩んでいれば単純に漏れます。
判断の早見表
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 290が出た。冬季で気温が低い | ドレンホースの凍結。自然解凍を待つ |
| 290が出た。冬季ではない | 中和槽の詰まり。中和器排水栓から排水してみる |
| 290が毎年冬に出る | 排水配管の保温不足。施工業者に相談 |
| 290が設置当初から繰り返す | 排水配管の勾配不足の可能性。業者に確認 |
| 機器が傾いているように見える | 水平の確認を依頼する |
| 291が出た | 中和器排水栓の緩みを確認する |
| 290の対処後に291が出た | 排水栓の閉め忘れ。確実に閉め直す |
| 260が出た | 銘板で型名を確認。中和器か缶体かで対処が変わる |
| 排水栓を締め直しても再発する | 点検・修理を依頼する |
長府の他のエラー表示については長府製 石油給湯器のエラーコード一覧|原因と自分でできる対処法を解説で確認できます。
よくある質問
Q1. 中和器とは何をする部品ですか?
潜熱回収型の給湯器で発生するドレン水を中和するための部品です。
潜熱回収型は排ガスに残った熱をもう一度回収するため、排ガスの温度が下がり、含まれていた水蒸気が水に戻ります。
このドレン水は酸性を帯びているため、そのまま排水することができません。
中和器を通して中和したうえで排水する仕組みになっています。
従来型の給湯器にはない部品なので、中和器に関するエラーは潜熱回収型でのみ発生します。
Q2. 290と291は何が違うのですか?
示している状態が正反対です。
290は中和槽内部の水位が上昇した状態で、ドレン水が出ていかないことを意味します。
詰まりやドレンホースの凍結が原因として挙げられています。
一方の291はドレン水トラップの水位が低下した状態で、確認事項は排水栓の緩みによる漏水です。
出口が塞がっているのが290、必要な水まで抜けてしまったのが291と考えると整理しやすくなります。
Q3. 290が出ました。自分でできることはありますか?
長府は、中和槽内部の詰まりが考えられるとして、中和器排水栓を開けてドレン水を排水してみるよう案内しています。
ただし冬場の気温低下によりドレンホースが凍結している場合は、自然解凍を待つよう示されています。
熱湯をかけて溶かそうとすると配管の破損につながるため避けてください。
なお排水栓を開けたあとは、必ず確実に閉め直してください。
緩んだままだと291や260の原因になります。
Q4. 291はなぜ運転が止まるのですか?水が減っただけではないのですか?
トラップの水が排ガスを止めているためです。
長府は据付け時の中和器への呼び水について、ドレン水出口から排ガスが漏れることを防止するためと明記しており、呼び水をせずに運転すると警報になり運転できないとしています。
つまりトラップに溜まった水が栓の役割を果たしており、水位が下がるとその封が切れて排ガスが漏れ出すおそれがあります。
機器を守るためではなく、排ガスを外に出さないための停止です。
Q5. 毎年冬になると290が出ます。どうすればよいですか?
排水配管の凍結対策が不十分である可能性があります。
長府の工事説明書には、凍結のおそれのある地域では排水配管に保温材を施工するか電気ヒータを取り付けること、保温材を施工する場合は排水用ホッパーの根元まで保温することが記載されています。
配管が凍結すると機器が故障する原因になるとも示されています。
毎年繰り返しているなら、施工した業者に配管の保温状態を確認してもらってください。
まとめ
290と291は、どちらも中和器まわりの異常ですが、示している状態は正反対です。
290は中和槽内部の水位上昇で、ドレン水が出ていかない状態です。
詰まりとドレンホースの凍結が原因として挙げられており、中和器排水栓を開けて排水してみることが対処になります。
凍結時は自然解凍を待ち、熱湯は使わないでください。
291はドレン水トラップの水位低下で、排水栓の緩みによる漏水が確認事項です。
このトラップの水は排ガスがドレン出口から漏れるのを防いでいるため、水位が下がると運転を止めます。
260は機種によって中和器の圧力スイッチと缶体圧力スイッチに分かれ、EHI・EHKでは中和器排水栓の閉止不良が確認事項になります。
3つとも中和器排水栓が関わります。
290の対処で開けたあと閉め忘れると291や260を招くため、触ったら必ず元通りに閉めることを徹底してください。

