MENU

ガスコンロの離隔距離と防熱板とは?|壁からの距離の基準を解説

ガスコンロと壁の間隔を矢印で示し、壁の前に設置した防熱板を描いたサムネイル
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

キッチンのレイアウトを見直していて、「コンロを壁にもっと寄せたいけれど、近づけすぎて大丈夫なのか」と気になっていませんか。
ガスコンロは、周囲の可燃物との間に一定の距離(離隔距離)を保つことが、消防法にもとづく火災予防条例で定められています。
この距離を守れない場合に使うのが「防熱板」です。
この記事では、離隔距離の基準値、防熱板が必要になる条件、取り付け方の注意点、離隔距離を知らずに使っている人が多いという実態までを、消防庁やメーカーの公表情報をもとに解説します。

目次

離隔距離とは?なぜ必要なのか

離隔距離とは、コンロなどの厨房機器と、周囲の可燃物(壁や吊戸棚など)との間に保つべき距離のことです。
コンロ等の厨房機器は、可燃物(壁や吊戸棚を含む)から一定の距離を保たなければならないことが定められています。
この範囲内に可燃物があると火災が発生するおそれがあり、実際に多くの火災が発生しているとされています。

📎 出典:東京消防庁|キッチンまわりの豆知識

離隔距離のルールは、消防法そのものというより、各自治体の火災予防条例と、リンナイ・ノーリツ(ハーマン)・パロマなどのメーカー基準によって具体化されています。
同じキッチンでも条件によって数値が変わるため、取扱説明書に記載された数値と、現場の可燃物(壁材・収納)をあわせて確認することが大切です。

📎 出典:ガスコンロの設置基準とは?消防法で決まっている壁からの距離と防熱板

離隔距離の基準値

家庭用のガスコンロにおける離隔距離の目安は、次のとおりです。
消防関係法令では、火災予防上安全な距離(離隔距離)として、ガスコンロから可燃物までの距離を15cm以上離すことなどが定められており、前方15cm、後方15cm、側方15cm、上方100cmとされています(この距離によらない場合もあります)。
製品の取扱説明書などにおいても、十分な離隔距離をとるよう示されています。

📎 出典:東京くらしWEB|見えない炎で着火!?ガスコンロの近くには、燃えやすい物を近づけないで!

方向離隔距離の目安(据置型の場合)
前方15cm以上
後方15cm以上
側方15cm以上
上方100cm以上

一方、ビルトインコンロの場合は、機器周囲の可燃物(ステンレス板やタイルなどを貼り付けた可燃性の壁も含む)から、トッププレートより上の側方は、60cmタイプで15cm以上、75cmタイプで7.5cm以上、後方は5cm以上、上方は80cm以上離すこととされています。

📎 出典:パロマ|ビルトインコンロは壁からどれくらい離せばいいですか?(設置基準、離隔距離)

方向ビルトインコンロ(60cmタイプ)ビルトインコンロ(75cmタイプ)
側方15cm以上7.5cm以上
後方5cm以上5cm以上
上方80cm以上80cm以上

ステンレス板やタイルなどを可燃性の壁に直接貼り付けた場合も、熱伝導がよいため、長年の間に可燃物が炭化し、火災につながることがあります。離隔距離は必ず守ってください。

防熱板とは?どんなときに必要か

離隔距離を守れない場合に取り付けるのが「防熱板」です。
以上の離隔距離を守れない場合は、別売の防熱板を取り付ける必要があるとされています。
上方に設置する場合は、金属以外の厚さ3mm以上の不燃材を取り付けることとされています。

防熱板と壁とのあいだにも距離が必要

防熱板を設置すればどんな距離でもよいわけではありません。
壁などから防熱板までの離隔距離は、1センチメートル以上必要とされています。
また、防熱板を設ける際は、材質・厚さ・取付方法などが定められているため、取扱説明書で必ず確認する必要があります。
防火性能の評定を受けた機器の場合は、防火上安全と確認された離隔距離が機器本体に表示されているため、その表示に従って設置することができます。

📎 出典:福島市|新築やリフォームの際は台所のコンロ周囲の離隔距離に注意

「防熱板を付ければ壁にぴったりくっつけてよい」わけではなく、防熱板そのものと壁の間にも最低限の距離が必要という点に注意しましょう。

防熱板の取り付け方法

別売の防熱板を壁に設置する場合の取り付け方法は、壁にねじで固定する方式です。
詳しい取り付け方法は、防熱板に付属している取付説明書を確認する必要があります。

離隔距離を知らない人が多い実態

離隔距離は、思っている以上に浸透していないルールです。
ガスコンロ使用者の約2割は、ガスコンロと周囲の可燃物までの距離が、火災予防上安全とされる離隔距離(15cm)を満たしていなかったという調査結果があります。
また、離隔距離について「知らない」と回答した人は7割を超え、年代が下がるほど認知度が低くなる傾向が見られたとされています。

さらに、ガスコンロ使用者の7割以上が、取扱説明書等に記載されている「危険な使用方法」を経験したことがあり、中でも、火をつけたままその場を離れたことのある人は全体の54.4%と半数を超えていたとされています。
その多くは、危険だと知りながら行っていたとされ、離隔距離だけでなく、火のそばを離れないという基本的な習慣も重要であることがうかがえます。

内装の不燃化との関係

離隔距離とあわせて知っておきたいのが、内装制限です。
建築基準法では、建物の内装材料を防火性能のある材料で仕上げることで、着火や延焼を防ぐことが定められており、一般住宅では、調理室・浴室・ボイラー室などが対象になります。
内装制限を受ける調理室などは、壁および天井の室内に面する部分の仕上げを、不燃材または準不燃材にしなければなりません。
ただし、キッチンとダイニングが一体となっている間取りでは、天井から50cm以上の不燃材料の垂壁があれば、キッチン部分だけを内装制限の対象とできる緩和措置もあるとされています。

📎 出典:EKREAオーダーキッチン|法規上の安全性について

キッチンの壁紙や天井の素材を選ぶ際は、内装制限の対象になるかどうかも確認しておくと安心です。

換気扇・グリスフィルターとの距離

離隔距離は、壁だけでなく、換気扇(レンジフード)まわりにも関わってきます。
吊戸棚がある場合は、吊戸棚から100cm以上(防熱板があれば80cm以上)、グリスフィルターまでは80cm以上離す必要があるとされています。
これらの距離が守れない場合も、別売の防熱板を取り付ける必要があります。

レンジフードとコンロの位置関係を見直す際は、こうした距離も忘れずに確認しましょう。

コンロ選びと離隔距離の関係

離隔距離は、コンロの幅によっても変わります。
75cm幅タイプのビルトインコンロは、60cmタイプに比べて側方の離隔距離が緩和される(7.5cm以上)とされています。
これは、75cm幅タイプのほうが、バーナーと壁の間に物理的な距離が確保しやすいためと考えられます。
キッチンのレイアウトによっては、コンロの幅を選ぶ段階で離隔距離の条件が有利になることもあるため、購入前に確認しておくとよいでしょう。
コンロのサイズの選び方は、ガスコンロのサイズの測り方|56cmと60cmの違いと選び方で詳しく解説しています。

DIYでの設置は避け、プロに相談を

離隔距離や防熱板の設置は、1mm違いでも危険につながるケースがあるとされ、型番ごとに指定された寸法を優先して確認する必要があります。
DIYで設置しようとすると、数値のズレによって基準を満たせないおそれがあるため、不安な場合はプロに相談することがすすめられています。

離隔距離の確保は、火災を防ぐための重要な安全対策です。自己判断で距離を詰めたり、防熱板の取り付けを省略したりしないでください。
ビルトインコンロの交換工事を依頼する際は、離隔距離の確認も含めて、有資格の業者に相談しましょう。
交換工事の依頼先の選び方は、ガスコンロの交換はどこに頼む?依頼先別の特徴と選び方で詳しく解説しています。

よくある質問

離隔距離を守らずにコンロを設置するとどうなりますか?

可燃物までの距離が不足したまま使用を続けると、熱によって周囲の壁や収納が徐々に炭化し、長期間の使用のなかで火災につながるおそれがあります。ステンレス板やタイルなどを可燃性の壁に直接貼り付けた場合も、熱伝導がよいため同様のリスクがあるとされています。離隔距離は火災予防条例で定められた基準であり、安全に調理を続けるために必ず守る必要があります。

防熱板を付ければ壁にぴったり近づけても大丈夫ですか?

いいえ、防熱板を取り付けた場合でも、壁と防熱板の間には1センチメートル以上の離隔距離が必要とされています。また、防熱板自体にも材質・厚さ・取付方法の基準があり、取扱説明書に従って正しく設置する必要があります。防熱板は距離をゼロにするための道具ではなく、必要な距離を短縮するための道具と理解しておきましょう。

ビルトインコンロを75cm幅にすると離隔距離は楽になりますか?

側方の離隔距離については、75cm幅タイプのほうが60cmタイプより短い距離(7.5cm以上)で済むとされています。ただし、後方や上方の距離基準は幅によって変わらない場合もあるため、コンロ全体の設置条件を総合的に確認する必要があります。キッチンのレイアウトによって有利不利があるため、購入前に自宅の壁・収納との位置関係を確認しておくことをおすすめします。

離隔距離が確保できない場合、コンロの設置自体をあきらめる必要がありますか?

多くの場合、防熱板を正しく取り付けることで、離隔距離の不足を補うことができます。ただし、防熱板の設置にも条件があり、1mm単位の違いが安全性に関わることもあるため、自己判断での設置は避け、専門業者に現地を確認してもらうことをおすすめします。設置自体が難しい場合は、コンロのタイプやサイズを見直すことも選択肢になります。

換気扇との距離も離隔距離に含まれますか?

はい、含まれます。吊戸棚がある場合は、吊戸棚から100cm以上(防熱板があれば80cm以上)、グリスフィルターまでは80cm以上離す必要があるとされています。コンロと壁だけでなく、上方にある換気扇や吊戸棚との距離も、火災予防の観点から重要な確認項目です。レンジフードの設置位置を見直す際も、あわせて確認しておきましょう。

まとめ

ガスコンロの離隔距離は、火災を防ぐために火災予防条例で定められた、可燃物との距離の基準です。
最後に要点を整理します。

ポイント内容
据置型の目安前方・後方・側方15cm以上、上方100cm以上
ビルトイン(60cm)の目安側方15cm以上、後方5cm以上、上方80cm以上
防熱板離隔距離を守れない場合に設置、壁との間に1cm以上必要
認知度「知らない」人が7割を超えるという調査結果がある
対応方法型番ごとの指定寸法を確認し、不安なら専門業者に相談する

まずは自宅のコンロと壁・吊戸棚との距離を実際に測り、基準を満たしているかを確認してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

目次