電気ストーブで部屋全体を暖めるのは、基本的に難しいです。
赤外線は空気をほとんど暖めず、さらに家庭用コンセントで使える電力には上限があるため、広さのある部屋を1台で暖めきるだけの熱量を出せないことが多いからです。
この記事では、部屋全体が暖まりにくい理由、必要な熱量の試算、部屋全体を暖めたいときの代わりの方法、電気ストーブの活かし方を解説します。
部屋を暖めたいからといって、電気ストーブを複数台つけっぱなしにしたり、延長コードでつないだりするのは危険です。
部屋全体が暖まりにくい理由
理由は、大きく2つあります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 暖め方の性質 | 赤外線は当たった人や物を暖め、空気はほとんど暖めない |
| 熱量の上限 | 家庭用コンセントで使える電力に上限があり、出せる熱量に限りがある |
理由1:空気が暖まらない
電気ストーブは、赤外線で人や物の表面を暖める暖房です。
赤外線は、空気をほとんど通り抜けるため、部屋の温度計の数字は上がりにくくなります。
体は暖かいのに、部屋は寒いままという状態になりがちです。
仕組みは、電気ストーブの仕組みの記事で解説しています。
理由2:熱量に上限がある
家庭用のコンセントは、100Vで15Aまで、つまり1500Wが目安です。
電気ストーブは、使った電気とほぼ同じ量の熱しか出せないため、1台あたりの熱量は、最大でも1.5kW程度になります。
部屋を暖めるのに必要な熱量の試算
どれくらいの熱量が必要か、試算してみます。
暖房の目安畳数の表示(燃焼式のファンヒーターの例)から逆算すると、1畳あたりの必要な熱量は、おおよそ次のようになります。
| 住まいの構造 | 1畳あたりの目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 木造(断熱が弱い) | 約0.36kW | 熱が逃げやすい |
| コンクリート(マンションなど) | 約0.28kW | 熱が逃げにくい |
(当サイト試算。
1機種の表示から逆算した値で、すべての住宅に当てはまるものではありません)
この数字を使って、6畳の部屋に必要な熱量を計算します。
| 住まいの構造 | 6畳に必要な熱量の目安 | 電気ストーブ1台の上限(1.5kW)との比較 |
|---|---|---|
| 木造 | 約2.2kW(0.36×6) | 足りない |
| コンクリート | 約1.7kW(0.28×6) | やや足りない |
6畳でも、1台の電気ストーブでは、熱量が足りない可能性が高いことが分かります。
実際には、断熱性能、窓の大きさ、外気温によって変わります。
また、暖房の効果は、「暖め続ける」ことで維持されるため、熱量に余裕のない暖房は、寒い日にはいつまでも暖まらないことがあります。
「部屋が暖まらない」ときに起きていること
電気ストーブを使っても、部屋が暖まらないと感じるのは、次のような状況です。
| 状況 | 原因 |
|---|---|
| 正面は暖かいが、背中が寒い | 赤外線が当たる面しか暖まらない |
| 離れた場所が寒い | 距離が離れると、赤外線の強さが急激に弱まる |
| 足元が冷える | 暖かい空気が少なく、床の冷気が残っている |
| 部屋の温度計の数字が上がらない | 空気を暖めていないため |
| 窓際が寒い | 窓からの冷気で、熱が逃げている |
こうした状況は、故障ではなく、電気ストーブの仕組みによるものです。
寒さの原因が、電気ストーブの性能ではなく、暖房の種類の選び方にある場合が多くあります。
部屋全体を暖めたいときの代わりの方法
部屋全体を暖めたい場合は、次のような暖房が向いています。
| 暖房 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| エアコン | 空気を暖める。少ない電気で多くの熱を運べる | 部屋全体を長時間暖める |
| 石油ストーブ・ファンヒーター | 暖房能力が大きい。換気が必要 | 寒冷地、広い部屋 |
| ガスファンヒーター・ガスストーブ | 暖房能力が大きく、即暖性が高い。換気が必要 | ガス栓がある部屋 |
| 床暖房 | 床から全体を暖める | 新築・リフォーム時 |
エアコンとの電気代の比較は、電気ストーブとエアコンの電気代を比較した記事で整理しています。
石油ストーブとの違いは、電気ストーブと石油ストーブの違い、ガスストーブとの違いは、電気ストーブとガスストーブの違いの記事で解説しています。
電気のファンヒーターとの違いは、電気ストーブとファンヒーターの違いをご覧ください。
電気ストーブを「補助」として活かす
部屋全体は、ほかの暖房に任せ、電気ストーブを補助として使うと、効果的です。
| 場面 | 使い方 | 効果 |
|---|---|---|
| エアコンを使っている部屋 | 足元だけ電気ストーブ | エアコンの設定温度を低めにできる |
| 暖房のない廊下・脱衣所 | 使う数分間だけ電気ストーブ | 一時的に暖かくなる |
| デスクワーク | 足元に電気ストーブ | 足元の冷えを和らげる |
| 起きてすぐの時間 | エアコンが効くまでの間だけ使う | 立ち上がりの寒さを減らす |
電気ストーブは、部屋全体の暖房ではなく、「寒い場所を、短時間だけ補う」道具と考えると、満足しやすくなります。
暖房の使い分けは、電気代の面でも有利になります。
電気代の考え方は、電気ストーブの電気代は1時間いくら?の記事で整理しています。
暖かさが逃げない環境をつくる
どの暖房を使うにしても、暖かさが逃げにくい環境をつくることで、効果が高まります。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 窓の断熱 | 断熱カーテン、断熱シート、すき間テープ |
| 床の冷気対策 | ラグ、断熱マット |
| ドアのすき間 | すき間テープ、ドア下のカバー |
| 暖房する範囲を絞る | 使わない部屋のドアを閉める |
| 空気を循環させる | サーキュレーターで、天井付近の暖かい空気を下ろす(電気ストーブに風を当てない向きで) |
サーキュレーターの風を、電気ストーブの発熱体に直接当てないでください。
ほこりが舞い上がったり、異常な発熱につながったりするおそれがあります。
自分の部屋で試算してみる
自分の部屋で電気ストーブが足りるかどうかは、次の流れで大まかに確認できます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 部屋の広さ(畳数)を確認する |
| 2 | 住まいの構造(木造か、コンクリートか)を確認する |
| 3 | 木造なら0.36、コンクリートなら0.28を畳数に掛けて、必要な熱量(kW)を出す |
| 4 | 電気ストーブの消費電力(kW)と比べる |
| 5 | 足りなければ、エアコンなどを主役にして、電気ストーブは補助にする |
たとえば、木造8畳なら、0.36×8で約2.9kWです。
1500Wの電気ストーブ1台では、約1.4kW足りません。
試算は、あくまで、暖房を選ぶときの目安です。
断熱が良い部屋や、暖房を使う時間が短いなら、試算より少ない熱量でも暖かく感じることがあります。
畳数別の目安は、電気ストーブは何畳まで?の記事でも整理しています。
電気ストーブで部屋を暖めたいときの注意点
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| 複数台を同時に使わない | 消費電力が増え、ブレーカーが落ちたり、コードが発熱したりするおそれがある |
| 延長コードやたこ足配線を避ける | コンセントやコードの発熱を防ぐ |
| 近づけすぎない | 衣類の焦げや、低温やけどにつながる |
| 就寝中は使わない | やけどや火災のおそれ |
| つけっぱなしにしない | 電気代がかさみ、消し忘れの危険もある |
コンセントの容量は、コンセントのワット数の記事で確認できます。また火災の仕組みは、電気ストーブによる火事の記事で解説していますので、詳細はそちらをご覧ください。
よくある質問
Q1. 6畳の部屋なら、電気ストーブ1台で暖まりますか?
試算では、木造の6畳で約2.2kW、コンクリートの6畳で約1.7kWの熱量が目安になります。
電気ストーブ1台の上限(1.5kW程度)を超えるため、部屋全体を暖めきるのは難しいと考えられます。
断熱性の高い部屋では、足りる場合もあります。
Q2. 電気ストーブを2台使えば、部屋全体が暖まりますか?
消費電力が増え、コンセントやコードに負担がかかります。
同じ回路で使うと、ブレーカーが落ちたり、コードが発熱したりするおそれがあります。
おすすめしません。
Q3. 電気ストーブは、部屋のどこに置くのがよいですか?
部屋全体を暖めるのではなく、人の近くに置くのが基本です。
壁や家具から、取扱説明書の距離を空けて置いてください。
Q4. 部屋が暖まらないときは、どうすればよいですか?
エアコンなど、空気を暖める暖房を併用してください。
窓の断熱や、床の冷気対策も効果があります。
Q5. 電気ストーブは、どんな場面なら役に立ちますか?
脱衣所やトイレなどで短時間使う、デスクの足元を暖めるなど、近くを短時間暖める場面です。
エアコンの補助としても役立ちます。
まとめ
電気ストーブで部屋全体を暖めるのは難しいため、役割を分けて使うことが大切です。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 難しい理由 | 赤外線は空気を暖めない。コンセントの上限で熱量にも限りがある |
| 試算 | 6畳で、木造約2.2kW・コンクリート約1.7kW。1台の上限(約1.5kW)を超える |
| 代わりの暖房 | エアコン、石油・ガスのストーブやファンヒーターなど |
| 電気ストーブの役割 | 足元や短時間の補助 |
| 併用のコツ | 窓の断熱、床の冷気対策、サーキュレーター |
| 注意 | 複数台・延長コード・就寝中は避ける |
部屋全体の暖房と、足元の補助を分けて考えてみてください。

