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ナフサ不足はどうなった?2026年10月時点の最新状況まとめ

ナフサ不足はどうなった?2026年10月の最新状況をテーマに、石油化学工場や輸送タンカー、プラスチック製品を描いたサムネイル画像
Yuta
記事監修者
現:ガス会社に勤める兼業WEBライター。所持資格はガス開栓作業に必要な高圧ガス販売主任者二種、ガス工事に必要な液化石油ガス設備士、灯油の取り扱いに必要な危険物乙四種、その他ガス関連資格多数と電気工事士などの資格も多数所持。

結論から言うと、2026年10月14日時点で、ナフサ不足による「必要なものが手に入らない」混乱のピークは過ぎたとみられます。
政府は石油製品について年度を越えて供給を続けられる見込みを示し、化学製品の原料になるエチレン設備の稼働率も、8月に半年ぶりの70%台(73.5%)まで戻りました。
ただし、中東の原油輸送ルートをめぐる不安は残っており、製品価格の値上げも時間差で続いています。
「元どおりに戻った」のではなく、「供給の山は越えたものの、価格と不安材料は残っている」というのが現状です。

この記事では、これまでの経緯、改善している点、まだ解消していない点、そして今後見ておきたい指標を、公表資料や報道をもとに整理します。
内容は2026年10月14日時点のもので、中東情勢は日々動くため、最新の発表もあわせて確認してください。

目次

2026年10月時点のナフサ事情を5つの要点で整理

項目現状(2026年10月14日時点)
供給政府は年度を越えた供給継続の見込みを説明。目詰まりに関する相談は減少したとしている
生産エチレン設備の稼働率は8月に73.5%(速報値)。3月以降の60%台から回復
住宅設備ユニットバスなどの受注停止は解消。焦点は「納期」から「価格」へ移った
価格国産ナフサの基準価格は下がる見込みだが確定前。製品価格の改定は時間差で続く
不安材料ホルムズ海峡の通航は戦前の水準に戻っておらず、9月には代替の輸送ルートも攻撃を受けた

ナフサ不足の経緯|2月末から9月までの流れ

ナフサ不足の発端は、2026年2月末に中東情勢が緊迫化し、ホルムズ海峡の通航が事実上困難になったことです。
日本はナフサの約4割を中東から輸入しており、残る約4割の国内精製分も、元になる原油を中東に頼っています。
そのため、海峡の通航が滞ると供給不安が一気に広がりました。

📎 出典:続くナフサ混乱、値上げや目詰まり 食品包装や塗料、ごみ袋など裾野広く(時事ドットコム)

時期主な出来事
2月末中東情勢の緊迫化でホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に
3月以降エチレン設備の稼働率が60%台の低水準で推移
4月上旬経済産業省が、量は確保できているが流通の目詰まりが課題だと説明
4月13日TOTOがユニットバスの新規受注を一時停止
5月カルビーが主力商品の包装を白黒に切り替えると発表
6月9日TOTOがユニットバスの新規受注を全面再開し、納期も平常に戻す
8月26日GX実行会議で、政府が目詰まり解消対策の成果を強調
8月エチレン設備の稼働率が73.5%(速報値)に回復
9月10日中東の陸上原油パイプラインが攻撃を受けて停止し、供給不安が再燃

3月から4月の混乱については、ナフサ不足で住宅設備の受注が止まる|浴室・建材・配管への影響と今後の見通しで詳しくまとめています。

ナフサ不足は解消に向かっている?改善している3つのポイント

石油精製工場を背景に、透明なナフサが入ったサンプル瓶を描いたイラスト。

政府は「年度越えの供給継続」を見込み、相談件数も減少

政府・与党は9月1日の発信で、ナフサ由来の化学製品を含む石油製品について、年度を越えて供給を続けられる見込みが立ったと説明しました。
あわせて、潤滑油、シンナー、農業用資材、包装容器、医療用手袋といった分野で、目詰まりに関する政府への相談が大きく減ったとしています。

対策の柱になったのが、メーカーから需要家へ直接販売する「直販スキーム」です。燃料は4月9日、潤滑油は6月10日、シンナー・塗料は6月23日に始まりました。
なお、4月上旬の時点で経済産業省は、ナフサを含む化学品全体について、国内需要の4か月分を確保していると説明していました。

ただし、これは政府・与党側の発表である点には注意が必要です。
現場の実感は業種や取引先によって異なるため、「全員の困りごとが解消した」という意味ではありません。

📎 出典:ナフサ不足「目詰まり」を解消 相談件数は激減、供給不安は収束へ(自由民主党)

📎 出典:赤澤経済産業大臣の閣議後記者会見の概要(経済産業省)

エチレン設備の稼働率は半年ぶりに70%台へ

石油化学工業協会は9月17日、プラスチックなどの原料になるエチレン設備の8月の稼働率が73.5%(速報値)だったと発表しました。
70%台になるのは、中東情勢の緊迫化の影響が出る前の2月以来、半年ぶりです。3月以降は60%台の低い稼働率が続いていました。

回復の背景には、原料のナフサを中東以外から調達するルートの確保が進んだことがあります。
3月以降に取り崩していたエチレンなどの在庫を戻そうという動きも、稼働率を押し上げました。
協会の会長は記者会見で、国内の必要な事業には「十分応えられるレベルだ」と述べています。

📎 出典:エチレン稼働率7割に回復 半年ぶり、代替調達確保(デイリースポーツ)

住宅設備の受注停止は解消

TOTOは6月8日、ユニットバスの新規受注を9日から全面的に再開すると発表しました。
ナフサを原料とする有機溶剤の調達が不安定になったことで4月に受注を一時停止していましたが、原材料の供給見通しが立ったとして、通常の受注と納期に戻しています。

少なくとも住宅設備の分野では、「注文そのものができない」という春の状況は落ち着いています。

📎 出典:TOTO、新規受注を全面再開 ユニットバス、中東情勢で一部制限(時事ドットコム)

まだ解消していない3つの課題

中東の原油・ナフサの供給ルートに不安が残る

ホルムズ海峡は、9月30日時点の整理では、全面的に封鎖されているわけではない一方、平時の状態に戻ったとも言えない状況です。一部の船は通航していますが、戦前の水準には届いていません。

📎 出典:ホルムズ海峡は今どうなっている?まだヤバい?日本の電気・ガス料金への影響度(セレクトラ)

さらに9月10日には、ホルムズ海峡を避けるための代替ルートとして重要性が高まっていた中東の陸上原油パイプラインが攻撃を受け、操業を停止しました。
その後は一部で再開したと報じられています。
石化協の会長は、この件について、現時点では大きな懸念はないとの認識を示しました。
一方で業界誌は、日本向けの原油や樹脂がすぐ不足する状況ではないものの、中東からの調達リスクが下がったわけではないと指摘しています。

📎 出典:中東の原油パイプライン停止を伝える記事(日本経済新聞、2026年9月11日)

📎 出典:原油パイプライン攻撃が日本の石化原料に与える影響を解説した記事(月刊包装技術)

値上げは時間差で続いている

樹脂メーカーの値決めの目安になる国産ナフサの基準価格は、報道ベースで2026年4〜6月期に1キロリットルあたり118,900円と過去最高になりました。
7〜9月期は104,800円、10〜12月期は95,900円と下がる見込みですが、この2つはまだ確定値ではありません。
7〜9月期の確定は10月下旬の公表が見込まれています。数字はいずれも参考値として見てください。

📎 出典:ナフサ価格推移2026完全まとめ(プラスチックパレット株式会社)

基準価格は数か月前の市況を反映する仕組みのため、原料が下がっても、店頭や見積もりの価格に届くまでには時間がかかります。
実際に、住宅設備では8月以降、ノーリツ・LIXIL・リンナイ・パロマなど各社が、給湯器・浴室暖房乾燥機・トイレ・浴室・水栓などの希望小売価格を改定しています。
2026年10月や12月に改定する動きも報じられており、12月の値上げについては2026年12月の値上げ一覧|TOTO住宅設備・調味料・電気代のゆくえで整理しています。
なお、メーカー希望小売価格の改定が、実際の販売価格や工事費込みの総額にどう反映されるかは、販売店や施工業者、在庫状況によって異なります。

📎 出典:ナフサショックが与える住宅設備業界への影響は?リフォームや交換は急ぐべき?(スムタノ)

📎 出典:ナフサ不足で建材・設備の値上げラッシュ、主要メーカーの価格改定一覧(日経クロステック)

包装・日用品の価格にも影響が残る

北海道内でも影響は続いています。札幌市の7月の店頭価格調査では、ポリ袋が19%値上がりしました。
道内のスーパーでは包装資材が3割高になり、総菜の値上げやポリ袋の設置とりやめも報じられています。
ナフサ不足が暮らしのどこに響いたかは、ナフサ不足の影響まとめ|暮らし・産業・経済への波及を分野別に解説にまとめています。

📎 出典:ポリ袋19%値上がり 札幌市、7月店頭価格調査 ナフサや製造コスト上昇で(北海道新聞)

📎 出典:ナフサ不足、北海道内スーパーにも打撃 包装資材3割高 総菜値上げ、ポリ袋の設置とりやめも(北海道新聞)

分野別の現状早見表

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分野供給の状況価格・注意点
燃料・潤滑油・シンナー・塗料直販スキームの開始後、相談は減少したと政府が説明原油価格や為替の影響を受けるため、今後の変動に注意
化学品・樹脂エチレン設備の稼働率は8月に73.5%まで回復基準価格は下がる見込みだが確定前。製品価格は時間差で動く
食品包装・日用品包装容器に関する相談は減少したと政府が説明北海道内ではポリ袋や包装資材の値上がりが報じられた
住宅設備・建材ユニットバスなどは受注を再開し、標準納期に戻った8月以降に価格改定が進み、10月・12月にも改定の動きがある

今後の見方|チェックしたい4つの指標

ナフサ不足がこの先どうなるかを断定することはできません。
ここでは、予測ではなく、状況を判断するために見ておきたい指標を挙げます。
終息の見通しを段階別に整理した記事は、ナフサ不足はいつまで続く?終息の見通しと家庭への影響を段階別に解説もあわせてご覧ください。

  • 7〜9月期の国産ナフサ基準価格の確定:10月下旬に公表される見込みです。見込み値からどれだけ動くかが、製品価格の改定時期を考える材料になります。
  • エチレン設備の稼働率:石化協が例年、毎月中旬ごろに公表しています。73.5%から上向くのか、足踏みするのかを確認します。
  • ホルムズ海峡の通航状況:通航する船の数が戦前にどこまで近づくかが焦点です。
  • 中東の原油輸送ルートの復旧:9月に停止した陸上パイプラインが、どの程度まで回復するかを見ます。

家庭でできること|買い急ぎより「確認」を

供給の山は越えたとみられる今、家庭で意識したいのは「買い急がないこと」と「価格改定のタイミングを確認すること」です。

まとめ

2026年10月14日時点のナフサ不足は、供給面では落ち着きを取り戻しつつあるものの、完全に元へ戻ったとは言えない状態です。

  • 供給は改善傾向:政府は年度越えの供給継続を見込み、エチレン設備の稼働率も8月に73.5%まで回復しました。
  • 価格は時間差で動く:国産ナフサの基準価格は下がる見込みですが確定前で、住宅設備などの価格改定は続いています。
  • 不安材料は残る:ホルムズ海峡の通航は戦前に届かず、9月には代替の輸送ルートも攻撃を受けました。

今後は、10月下旬の基準価格の確定、稼働率の推移、通航状況を目安に、冷静に状況を見ていくことが大切です。

よくある質問

Q1. ナフサ不足は解消しましたか?

供給面では落ち着きを取り戻しつつありますが、完全に解消したとは言えません。政府は年度を越えた供給継続の見込みを示し、エチレン設備の稼働率も8月に73.5%まで回復しました。一方で、中東の輸送ルートをめぐる不安や、価格の高止まりは残っています。

Q2. ナフサ不足はなぜ起きたのですか?

2026年2月末に中東情勢が緊迫化し、ホルムズ海峡の通航が事実上困難になったことが発端です。日本はナフサの約4割を中東から輸入し、国内精製分の原料となる原油も中東に頼っているため、影響が大きくなりました。

Q3. 値上げはいつまで続きますか?

はっきりした時期は断定できません。国産ナフサの基準価格は下がる見込みですが、確定前の数字です。また、基準価格は数か月前の市況を反映するため、下がっても製品価格に届くまで時間がかかります。住宅設備では、10月や12月にも価格改定の動きがあります。

Q4. 住宅設備は今、注文できますか?

ユニットバスなどは、TOTOが6月9日に新規受注を全面再開し、納期も平常に戻すなど、受注停止は解消しています。ただし、商品や時期によって状況は異なるため、実際の納期と価格は販売店や施工業者に確認してください。

Q5. 日用品は買いだめしたほうがいいですか?

過度な買いだめは必要ないと考えられます。買い急ぎが流通の偏りを強めたという指摘もあります。必要な分を必要なときに購入し、価格改定の予定がある設備は、見積もりの有効期限を確認するのが現実的です。

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この記事を書いた人

「暮らしの設備ガイド」は、給湯器・ストーブ・換気設備など、
家庭の安心と快適を支える“住まいの設備”に関する専門メディアです。

現在もガス業界で設備施工・保守に携わるYuta(ガス関連資格保有者)が監修し、一般家庭向けのガス機器・暖房設備・給湯器交換の実務経験をもとに、現場の知識に基づいた、正確で実用的な情報を発信しています。

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