中古住宅を購入した、賃貸に引っ越した、あるいは長く住んでいるけれど床暖房のことを詳しく知らない、という場合、「自宅の床暖房はガス式なのか、電気式なのか」がわからないことは珍しくありません。
方式がわからないと、光熱費の見通しが立てにくく、不具合のときの連絡先や、修理・交換の相談もしづらくなります。
実は、いくつかの場所を順に見ていくだけで、方式の見当をつけられることが多くあります。
この記事では、床暖房がガス式か電気式かを、ご自身で安全に確認するための手順を、方式別のヒントとあわせて整理します。
確認の前に知っておきたいこと
まず、床暖房の方式を整理しておきます。
| 方式 | 熱のつくり方 | 熱源機 |
|---|---|---|
| ガス温水式 | ガスで温水をつくる | あり(屋外などに設置) |
| 灯油式 | 灯油で温水をつくる | あり(屋外などに設置) |
| ヒートポンプ式 | 空気中の熱で温水をつくる | あり(屋外機) |
| 電気式 | 電気ヒーターが直接床を暖める | なし |
一般に「ガス式」と呼ばれるのは、ガスで温水をつくるガス温水式を指します。
また、電気を使う方式には、電気ヒーターが直接発熱する電気式と、ヒートポンプで温水をつくるヒートポンプ式があり、まぎらわしいので、見分けのポイントを知っておくと整理しやすくなります。
各方式の仕組みは、温水式床暖房の仕組みを解説した記事と電気式床暖房の仕組みを解説した記事で整理しています。
確認のために、床下を開けたり、機器のカバーを外したりすることは絶対に避けてください。
ガスや電気を扱う機器の内部は、感電やガス漏れ、やけどの危険があります。
以下の手順は、すべて外から見える範囲、または書類で確認できる範囲に限っています。
見分ける手順
次の手順で、順番に確認していきます。
上から順に確認すると、方式の見当がつきやすくなります。
手順1:床暖房のリモコンを見る
床暖房の運転・停止を行うリモコンには、方式のヒントが書かれていることがあります。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| リモコン本体の表記 | 「ガス温水式」「電気式」などの文字、メーカー名、型番 |
| 操作ボタン | 給湯の操作ボタンと一体になっているか |
| 表示 | 温度や、運転時間の設定の表示 |
給湯の操作ボタンと同じリモコンに床暖房の操作がある場合は、給湯機能と一体のガス熱源機の可能性があります。
ただし、確実ではないため、他の手順とあわせて判断してください。
手順2:屋外の熱源機を探す
温水式(ガス・灯油・ヒートポンプ)には、屋外などに熱源機があります。
一方、電気式には、熱源機がありません。
| 見つかったもの | 考えられる方式 |
|---|---|
| 給湯器のような機器(ガス配管がつながっている) | ガス温水式 |
| 灯油タンクと、そこにつながる機器 | 灯油式 |
| エアコンの室外機に似た機器(温水用の屋外機) | ヒートポンプ式 |
| 床暖房につながる熱源機が見当たらない | 電気式の可能性 |
熱源機は、建物の外壁沿いなど、屋外に設置されていることが多いです。
熱源機が見つかれば温水式、見つからなければ電気式の可能性が高いと考えられます。
ただし、機械室やパイプスペースに設置されている場合もあるため、見つからなくても断定しないでください。
手順3:分電盤を見る
電気式の床暖房は、専用の回路で電気を供給していることが多く、分電盤のブレーカーに「床暖房」と書かれている場合があります。
| 確認する場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 分電盤のブレーカーの表示 | 「床暖房」「電気床暖」などの表記があるか |
| ブレーカーの容量 | 大きめの専用回路になっているか |
ブレーカーの表記がある場合は、電気式、またはヒートポンプ式の可能性があります。
ただし、温水式の熱源機の電源が、同じように表記されている場合もあるため、他の手順とあわせて判断してください。
手順4:型番と取扱説明書を確認する
最も確実なのは、床暖房の型番や取扱説明書、施工時の書類で確認する方法です。
| 確認する書類 | 内容 |
|---|---|
| 取扱説明書 | 床暖房の方式、熱源、操作方法 |
| 保証書 | 機器の型番、メーカー、設置年 |
| 施工図面・仕様書 | 床暖房の範囲、熱源機の位置 |
| 住宅の設備一覧 | 購入や入居時に受け取った資料 |
書類が見つかれば、方式が明記されていることがほとんどです。
型番がわかれば、メーカーのサイトで検索して、仕様を確認できる場合もあります。
手順5:ガスメーターや契約を見る
ガス温水式の場合、ガスの使用量が増えるため、ガスの契約や請求書でも手がかりが得られます。
- ガスの検針票に、床暖房に関する項目があるか
- 冬にガスの使用量が大きく増えているか
- ガス会社の契約内容に、床暖房が含まれているか
これは補助的な手がかりです。
他の手順と合わせて判断してください。
方式別のヒント
見分けのヒントを、方式別に整理します。
| 方式 | ヒント |
|---|---|
| ガス温水式 | ガス配管につながる屋外の熱源機がある。給湯機能と一体のことがある |
| 灯油式 | 灯油タンクがある。灯油の補給をした覚えがある |
| ヒートポンプ式 | 室外機のような機器がある。熱源機が空気を取り込んでいる |
| 電気式 | 屋外の熱源機がない。分電盤に床暖房の回路がある |
床の暖まり方で判断できる?
床の暖まり方だけでは、方式を判断することは難しいです。
暖まり方は、機種、床材、断熱性能、設定温度で変わるためです。
参考程度にとどめ、他の確認方法を優先してください。
ガス式と電気式で、確認しておきたいこと
方式が分かったら、それに応じて確認しておきたいことがあります。
| 方式 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| ガス温水式 | ガスの契約、熱源機の設置年、点検の履歴 |
| 灯油式 | 灯油タンクの状態、補給の方法、点検の履歴 |
| ヒートポンプ式 | 屋外機の設置状況、霜取りや排水の状況、点検の履歴 |
| 電気式 | 専用回路の有無、床の温度の安定、点検の履歴 |
方式がわかると、光熱費の見通しが立てやすくなり、不具合が起きたときの連絡先もはっきりします。
見分けにくいケース
手順どおりに確認しても、方式がはっきりしないケースがあります。
マンションでは、熱源機が共用部の機械室や、パイプスペースの中に設置されていることがあります。
その場合、バルコニーや外壁を見ても熱源機は見当たらず、電気式と見間違えやすくなります。
給湯器がパイプスペースの扉の内側にある住戸では、床暖房の熱源機も、同じ場所にあることが多くあります。
扉を開けて確認できるのは、取扱説明書で「利用者が開けてよい」とされている範囲に限ってください。
また、リフォームで床暖房が追加されている場合や、一部の部屋だけ別の方式になっている場合もあります。
家の中に複数の床暖房がある場合は、部屋ごとにリモコンを確認し、それぞれの方式を整理しておくと混乱しません。
同じ家でも、部屋によって方式が違うことがあるという点は、意外と見落とされがちです。
相談するときの伝え方
メーカーや施工会社、管理会社に相談するときは、次の情報を伝えると、話がスムーズに進みます。
- 住まいの種類(戸建て、マンション、賃貸か持ち家か)
- 床暖房がある部屋と、リモコンの場所
- 屋外の熱源機の有無と、機器の見た目の特徴
- リモコンや銘板に書かれた型番、メーカー名
- 困っている内容(方式を知りたい、使い方を知りたい、不具合があるなど)
銘板(機器に貼られた型番や仕様が書かれたラベル)は、写真に撮っておくと、後で調べるときに役立ちます。
機器に近づいて撮影する際は、カバーを外さず、外から見える範囲にとどめてください。
方式がわかったあとの活かし方
方式がわかったら、光熱費の見方や、メンテナンスの考え方を整理できます。
ガス温水式であれば、冬のガスの使用量を検針票で確認し、床暖房を使う時間との関係を見ていくと、負担の目安がつかめます。
電気式やヒートポンプ式であれば、電気の使用量や、電気料金のプランを確認する材料になります。
灯油式であれば、灯油の使用量と補給の頻度を記録しておくと、シーズンごとの負担がわかります。
また、方式がわかると、熱源機の点検や交換の時期を考えるきっかけにもなります。
設置から年数がたっている場合は、取扱説明書やメーカーの案内に従って、点検を受けることを検討してください。
どうしても分からないとき
手順を試しても方式がわからない場合は、次の窓口に相談できます。
| 相談先 | 内容 |
|---|---|
| メーカー | 型番や機器の写真を伝えて、方式や仕様を確認する |
| 住宅の施工会社・販売会社 | 設備の仕様書や、施工記録を確認してもらう |
| 管理会社・大家さん | 賃貸の場合は、設備の仕様を確認してもらう |
| ガス会社・電力会社 | 契約や、機器の情報を確認してもらう |
型番がわかるものの写真を撮っておくと、相談がスムーズに進みます。
リモコン、屋外の熱源機、分電盤のブレーカーの写真を用意しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q1. 床暖房がガス式か電気式かは、どうやって見分けますか?
屋外に熱源機があるかを確認するのが、わかりやすい方法です。
熱源機があれば温水式(ガス・灯油・ヒートポンプ)、なければ電気式の可能性があります。
さらに、リモコンの表記、分電盤の表示、取扱説明書や型番で確認すると、確実性が高まります。
Q2. 電気式とヒートポンプ式は、どう違いますか?
電気式は、床下の電気ヒーターが直接発熱して床を暖めます。
ヒートポンプ式は、屋外機で空気中の熱を集めて温水をつくり、その温水を床下に循環させる温水式の一種です。
屋外機の有無が、見分けの大きなポイントです。
Q3. 賃貸で、方式が分からない場合はどうすればよいですか?
管理会社や大家さんに、設備の仕様を確認してください。
入居時の資料や、取扱説明書が残っている場合もあります。
自分で機器のカバーを外したり、分解したりすることは避けてください。
賃貸では、設備の不具合や交換の費用負担が、契約の内容によって決まることもあるため、自己判断で業者を手配する前に、管理会社へ連絡するのが基本です。
Q4. 型番から、方式を調べられますか?
メーカーのサイトや、カタログで型番を検索すると、仕様がわかる場合があります。
見つからない場合は、メーカーのお問い合わせ窓口に、型番とあわせて問い合わせてください。
Q5. 方式がわかったら、何をすればよいですか?
取扱説明書で、正しい使い方と、点検の目安を確認してください。
光熱費の見通しを立てたい場合は、使っている時間と、ガスや電気の使用量を記録しておくと役立ちます。
不具合がある場合は、メーカーや施工業者に連絡してください。
まとめ
床暖房の方式は、屋外の熱源機の有無、リモコン、分電盤、型番や書類を順に確認すると、見当がつきやすくなります。
最後に、この記事のポイントを整理します。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| まず確認する | 屋外の熱源機があるか。あれば温水式、なければ電気式の可能性 |
| 補助的な手がかり | リモコンの表記、分電盤のブレーカー、ガスの契約 |
| 最も確実 | 取扱説明書、保証書、型番、施工書類 |
| 注意 | 床下や機器のカバーを開けない。危険がある |
| 分からないとき | メーカー、施工会社、管理会社に相談する |
床暖房の種類全体の比較は、床暖房の種類を比較した記事で確認できます。
まずは、屋外に熱源機があるかどうかを、外から見て確認してみてください。

