リモコンに「800」が点滅して石油給湯機が止まった。
この表示は、他のエラーとは扱いが違います。
800は本体内の安全装置が働いたときに出る表示で、機器内で灯油が漏れている可能性が考えられます。
つまり、リセットして様子を見てよいエラーではありません。
この記事では、800が出たときに最初にやること、リセットして使い続けてはいけない理由、灯油漏れが引き起こす火災以外のリスク、連絡先の順番、そして日常点検で防ぐ方法までを解説します。
800は安全装置が働いたことを示す表示
ノーリツは800について、本体内の安全装置が働いたときに出る表示であり、機器内で灯油が漏れている可能性が考えられるとしています。
そのうえで、訪問による症状の確認が必要としています。
自分で対処できる項目は示されていません。
灯油切れやエア抜きで解決する110・120とは、性格がまったく異なります。
最初にやること
安全確認を優先してください。
- ただちに給湯機の使用を中止する
- リモコンの運転スイッチを「切」にする
- オイルタンクの送油バルブを閉める
- 機器の周囲と足元を見て、灯油のにおいや濡れがないか確認する
- 販売店またはメーカーへ連絡する
送油バルブの位置は、ノーリツも地震などの緊急時に備えてあらかじめ確認しておくよう案内している箇所です。
石油給湯機では、給水元栓とあわせて送油バルブの位置を把握しておく必要があります。
どこにあるか分からない場合は、取扱説明書で確認してください。
📎 出典:地震の場合|株式会社ノーリツ
リセットして使い続けてはいけない理由
多くのエラーは運転スイッチの入れ直しで復帰することがあり、その感覚で800も試したくなります。
しかし800は、漏れている可能性を検知して機器が自ら止まった状態です。
漏れた灯油がある状態で燃焼を再開させると、引火のおそれがあります。
表示が一時的に消えたとしても、漏れそのものは解消していません。
点火を繰り返す行為は、漏れ続けている灯油を増やすことにもなります。
「お湯が使えないと困るから」という理由で運転を続けるのは、この表示に限っては避けてください。
入浴は当日だけなら別の方法で代替できますが、火災は取り返しがつきません。
灯油漏れが引き起こすのは火災だけではない
見落とされやすいのが、火災以外の被害です。
灯油は消防法上の危険物であり、流出すると生活環境に広く影響します。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 火災 | 引火性があり、着火源があれば燃え広がる |
| 水質汚染 | 河川や海へ流出し、飲料水や地下水ににおいが移る |
| 土壌汚染 | 農地や自宅の敷地の土壌が汚染される |
| 漁業被害 | 河川から海へ流れ込み、被害が拡大する |
| 費用負担 | 油の回収や拡散防止の処理に多額の費用がかかる |
とくに最後の行は知っておく価値があります。
油の回収や拡散防止にかかる費用は、原因者が責任を持って負担しなければなりません。
道路や河川へ流出すると、道路の補修やオイルフェンスの設置が必要になり、管理者から高額な対策費用の支払いを求められる場合があります。
給湯機の修理費よりも、流出後の処理費用のほうがはるかに大きくなり得ます。
漏れの有無を確認するポイント
機器を止めたうえで、周囲の状況を見ておくと連絡時の説明がしやすくなります。
- 給湯機の下や周囲の地面が濡れていないか
- 灯油特有のにおいがしないか
- 送油管(銅管)の接続部から染み出していないか
- オイルタンクの脚部や配管に腐食、亀裂、緩みがないか
- 防油堤がある場合、その内側に油がたまっていないか
- 灯油の減りが、いつもより明らかに早くなっていないか
「灯油の減りが早い」は、漏れに気づく手がかりになります。
とくに埋設された配管は漏れが目に見えないため、使用量の変化でしか判断できないことがあります。
なお、機器の内部を開けて確認する必要はありません。
外から見える範囲だけで十分です。
屋外に灯油が広がっている場合
給湯機の周囲だけでなく、地面や側溝に灯油が流れ出している場合は対応が変わります。
流出を発見したときは、速やかに消防署へ通報してください。
河川などに油が流れているのを発見した場合も同様です。
自分で拭き取れる範囲を超えているなら、無理に処理しようとせず連絡を優先してください。
📎 出典:灯油の流出事故防止|松本広域消防局
連絡先の順番
状況によって、先に連絡すべき相手が変わります。
| 状況 | 連絡先 |
|---|---|
| 機器が止まり、周囲に灯油の広がりはない | 販売店またはメーカー |
| 地面や側溝に灯油が流れ出している | 消防署(そのうえで販売店・メーカー) |
| 賃貸物件に住んでいる | まず貸主または管理会社 |
| タンクが転倒している | 消防署 |
連絡するときは、次の情報を控えておくと診断が早く進みます。
- 給湯機本体の品名・型式名(本体前面のラベルに記載。リモコンの番号ではありません)
- 800が出たタイミング(運転中か、立ち上げ直後か)
- 周囲に灯油のにおいや濡れがあるか
- 送油バルブを閉めたかどうか
- 直近で給油した日と量
考えられる故障部品と費用
ノーリツが挙げている部品は次のとおりです。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| オイルセンサー | 機器内の灯油漏れを検知する |
| 電磁ポンプ(制御弁) | 灯油を送り出す・流れを制御する |
| 電装基板 | 機器全体の動作を制御する |
修理参考料金の目安は18,000円〜55,000円程度(税込)とされています。
これには出張費(上限3,300円)と故障診断料が含まれます。
ただし実際の金額は訪問時の診断で決まり、故障箇所が複数あればこの範囲を超えることもあります。
修理をしない場合や対応できない場合でも、出張料と診断料はかかります。
修理か交換かの分かれ目
判断の軸は使用年数です。
10年を超えた製品では部品供給が終了している場合があります。
| 使用年数 | 考え方 |
|---|---|
| 〜7年程度 | 修理で対応するのが基本 |
| 8〜10年程度 | 修理費と交換費を並べて比較する |
| 10年超 | 交換を前提に検討する。部品がない可能性もある |
800は機器内部の漏れに関わる表示なので、年数が経っている機器では交換の判断が現実的になりやすいエラーです。
判断の考え方は給湯器の寿命は何年?交換時期の目安と見逃されがちなサインで整理しています。
800を出さないための日常点検
漏れは突然起きるより、少しずつ進行して発覚することが多いものです。
消防機関が挙げている点検項目は、そのまま予防の指針になります。
| 点検箇所 | 見るポイント |
|---|---|
| タンク本体 | 脚部の腐食、緩み、固定の状態 |
| 配管 | 接続部の緩み、腐食、亀裂 |
| バルブ | 開閉が渋くないか、閉め忘れがないか |
| ストレーナー | 汚れ、水抜きの状態 |
| 防油堤 | 亀裂、破損、たまり水 |
| 灯油の在庫 | 減りがいつもより早くないか |
冬季はとくに注意が必要です。
落雪や除雪作業による配管の破損、雪解けで地盤が緩んだことによるタンクの転倒といった事故が起きています。
屋根から大きな落雪があった日や、雪下ろしをした後は、忘れずに点検してください。
給油の際にその場を離れないことも、基本的な事故防止策です。
灯油を扱う暖房機器全般の注意点はFF式石油ストーブとは?仕組み・メリット・設置時の注意点まで徹底解説でも触れています。
800と間違えやすい表示
| 表示 | 意味 | 800との違い |
|---|---|---|
| 110・120 | 点火できない・燃焼が止まった | 灯油が届いていない状態。補給とエア抜きで解決することがある |
| LL | 給油お知らせ | 残量が少ないだけ。お湯は使える |
| 280 | 灯油の残量検知部品の不具合 | 漏れではなく検知側の問題 |
| 88・888 | 点検時期のお知らせ | 故障表示ではなく、お湯は使える |
これらの表示は自分で対処できる余地がありますが、800だけは別扱いです。
数字を見間違えると対応がまったく変わるため、点滅している桁を落ち着いて確認してください。
88・888は日常の使用に支障がない表示です。
意味と解除の考え方はノーリツ給湯器のエラー888(88)解除方法で解説しています。
よくある質問
Q1. 800が出ましたが、灯油のにおいはしません。使ってよいですか?
使用は中止してください。
800は機器内で灯油が漏れている可能性を検知して安全装置が働いた表示で、外から見えない場所での漏れも対象になります。
においや濡れがないからといって、漏れていないとは限りません。
運転スイッチを切り、送油バルブを閉めたうえで、販売店またはメーカーへ連絡してください。
Q2. リセットしたら表示が消えました。そのまま使えますか?
表示が消えても、漏れが解消したわけではありません。
漏れた灯油がある状態で燃焼を再開させると、引火のおそれがあります。
点火を繰り返せば、漏れ続けている灯油が増えることにもなります。
表示が消えたかどうかにかかわらず、点検を受けるまでは使用しないでください。
Q3. 修理までのあいだ、お湯はどうすればよいですか?
その日の入浴は、銭湯や日帰り入浴施設を利用する、家族や近隣の協力を得るといった方法で代替できます。
電気ケトルや電気ポットでお湯を沸かせば、洗い物や洗顔には対応できます。
暖房も同じ機器から取っている場合は、エアコンや電気ストーブなど別の手段が必要です。
連絡の際に「暖房も使えない状態」と伝えると、訪問の優先度を判断してもらいやすくなります。
Q4. 灯油が地面にこぼれています。どうすればよいですか?
流出を発見した場合は、速やかに消防署へ通報してください。
河川や側溝に流れているのを見つけた場合も同様です。
自分で拭き取れる範囲を超えているなら、無理に処理しようとせず連絡を優先してください。
油の回収や拡散防止にかかる費用は原因者の負担になるため、被害を広げないことが結果的に負担を抑えることにつながります。
Q5. 賃貸物件で800が出たら、誰に連絡すればよいですか?
まず貸主または管理会社へ連絡してください。
給湯機やオイルタンクは建物側の設備として扱われることが多く、修理費の負担者があらかじめ決まっていることがあります。
ただし、灯油が地面に広がっているなど緊急性が高い状況であれば、消防署への通報を優先してください。
そのうえで、貸主または管理会社へ状況を伝えます。
まとめ
800は、機器内で灯油が漏れている可能性を検知して安全装置が働いた表示です。
自分で対処する項目はなく、リセットして使い続けてよいエラーではありません。
最後に、対応の流れを整理します。
- ただちに使用を中止し、運転スイッチを「切」にする
- オイルタンクの送油バルブを閉める
- 周囲に灯油のにおいや濡れがないかを外から確認する
- 表示が消えても、点検を受けるまで運転しない
- 地面や側溝に灯油が広がっている場合は消防署へ通報する
- 油の回収や拡散防止の費用は原因者の負担になる
- 落雪や雪下ろしのあとは、タンクと配管の点検を欠かさない
お湯が使えない不便さより、火災と流出のリスクのほうが重い表示です。
迷ったときは運転せず、販売店またはメーカーへ連絡してください。

