リモコンに「920」が点滅しているのに、お湯は普通に出ている。
このまま様子を見ていいのか判断がつかない、という状況で調べる方が多い表示です。
920は中和器の寿命が近づいていることを知らせる予告で、しばらくすると930に変わり、給湯器が使えなくなります。
つまり920は、お湯が止まる前に段取りを組むための猶予期間です。
この記事では、中和器がどういう部品なのか、なぜ年数ではなく使用量で寿命が決まるのか、交換費用の目安と本体交換との比較までを解説します。
920は予告、930は機器停止
まず2つの表示の関係を整理します。
| 表示 | 意味 | お湯は使えるか |
|---|---|---|
| 920 | 中和器の寿命予告 | 使える |
| 92 | 同上(2桁表示の機種) | 使える |
| 930 | 中和器の寿命告知(機器停止) | 使えなくなる |
ノーリツは920について、給湯器本体内部の中和器の寿命が近づいていることを知らせる表示であり、中和器の交換が必要としています。
そのうえで、お湯が出る場合は使用しても問題ないが、しばらくすると930に表示が変わり給湯器が使えなくなると明記しています。
930になると、中和器の交換が必要という点は同じですが、お湯が出ない状態で対応することになります。
中和器は何をしている部品か
エコジョーズやエコフィールといった高効率タイプの給湯器は、従来式では捨てていた排気の熱を再利用してお湯を温めます。
従来式の給湯器は、燃焼の際に200℃に近い排気ガスを排出しています。
エコジョーズはその熱を回収するため、排気が冷やされてドレン水が発生します。
このドレン水は酸性のため、そのまま流すことはできません。
給湯器内の中和器(炭酸カルシウム)を通って中和され、排水されます。
ドレン水の量と温度
具体的な数字も公表されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 排水量 | 約80〜100cc/分 |
| 排水時の温度 | 約30℃前後 |
1分あたりコップ半分ほどの水が、お湯を使っているあいだ出続けている計算です。
排水を見て「水漏れではないか」と心配になる方がいますが、ドレン配管からの排水であれば正常な動作です。
本体からの水漏れとの見分け方は給湯器の水漏れがポタポタ…水道代はどうなる?放置が危険な理由で整理しています。
📎 出典:給湯機器:エコジョーズ|株式会社ノーリツ
中和器があるのはガス機だけではない
エコジョーズという名称からガス給湯器の話だと思われがちですが、中和器は石油の高効率機にもあります。
ノーリツは290について、ガス給湯器全般に加えて石油給湯機の高効率(-C)タイプ、ガス化&高効率(-CG)タイプでも中和装置の詰まりなどが考えられるとしています。
| 製品名の例 | 燃料 | 中和器 |
|---|---|---|
| GT-C、GTH-C など | ガス(エコジョーズ) | あり |
| OTQ-C、OTX-CH、OQB-C、OQB-C(H) | 石油(エコフィール) | あり |
| OTQ-CG、OQB-CG | 石油(ガス化&高効率) | あり |
| 製品名に-Cが付かない従来型 | ガス・石油 | なし |
製品名に「-C」が入っていれば、燃料にかかわらず中和器を持つ機種と考えて差し支えありません。
従来型の給湯器では排気の熱を回収しないためドレン水が発生せず、920・930は表示されません。
なお、ノーリツが示している中和器交換の参考費用はガス給湯器のものです。
石油機の費用は公表されていないため、訪問時の見積もりで確認してください。
寿命は年数ではなく使用量で決まる
ここが920を理解するうえでの要点です。
中和器は、給湯器内で発生するドレン水を中和処理する部品ですが、一定量のドレン水を中和すると寿命を迎えます。
炭酸カルシウムが中和に使われて減っていくため、使えば使うほど早く尽きるという性質です。
つまり、次のような差が生まれます。
| 使い方 | 中和器の寿命の来方 |
|---|---|
| 家族が多く、お湯の使用量が多い | 早い |
| 単身で使用量が少ない | 遅い |
| 冬季に暖房でも使っている | 早い |
| 別荘など使用頻度が低い | 遅い |
「設置してまだ数年なのに920が出た」という場合でも、故障とは限りません。
使用量が多ければ、年数の割に早く到達することがあります。
逆に、年数が経っていても使用量が少なければ出ないこともあります。
年数で予測できない部品だという前提を持っておくと、表示が出たときに納得しやすくなります。
920が出たらやること
やるべきことは、お湯が止まる前に段取りを組むことです。
- 給湯器本体の品名・型式名と製造年月を控える
- 中和器の交換を依頼する
- あわせて、本体交換との比較も相談する
920の段階なら、見積もりを比べる時間があります。
930になってお湯が出なくなってから探すと、選択肢が限られます。
交換費用の目安
ノーリツは、中和器交換の参考費用の目安として、ガス給湯器で17,000円〜48,500円程度(税込)を示しています。
実際の金額は機種や設置条件によって変わります。
中和器交換か、本体交換か
判断の軸は使用年数です。
ノーリツは、製品を10年以上使用している場合は取り替えをすすめています。
| 使用年数 | 考え方 |
|---|---|
| 〜7年程度 | 中和器の交換で対応するのが基本 |
| 8〜10年程度 | 中和器交換費と本体交換費を並べて比較する |
| 10年超 | 本体交換を前提に検討する |
10年に近い機器で中和器だけを交換すると、その後まもなく別の部品で修理が必要になることがあります。
中和器交換に数万円かけた翌年に本体交換となれば、支出が二重になります。
「中和器だけ替えた場合、あと何年使える見込みか」を訪問時に確認しておくと判断しやすくなります。
交換時期の考え方は給湯器の寿命は何年?交換時期の目安と見逃されがちなサインで整理しています。
930になると止まる
930は中和器の寿命告知で、機器停止をともないます。
故障表示一覧でも、中和器の交換が必要と案内されています。
920から930までにどれくらいの猶予があるかは、使用量によって変わります。
毎日たくさんお湯を使う家庭では、思ったより早く切り替わることがあります。
930が出てからでも交換はできますが、それまでのあいだお湯が使えません。
冬季に重なれば、暖房も同時に止まる機種があります。
920が出た時点で連絡を入れておくのが、いちばん確実な備えです。
ドレン配管が設置されていない場合
まれにある話ですが、ドレン水はドレン配管を設置して排水処理をする必要があります。
配管が設置されていない場合は、取り付けを行った施工店への確認が必要です。
排水が正しく処理されていないと、機器のまわりに水がたまったり、凍結の原因になったりします。
920とは別の問題ですが、エコジョーズを使ううえで押さえておきたい点です。
920・930と間違えやすい表示
| 表示 | 意味 | 920・930との違い |
|---|---|---|
| 290 | 中和器の不具合、ドレン排水の詰まりなど | 寿命ではなく詰まりや不具合 |
| 170・190・430・640 | ドレン系の各部の異常 | 中和器そのものではない |
| 991・901 | 給湯燃焼異常 | 燃焼系統の異常 |
| 88・888 | 点検時期のお知らせ | 機器全体の点検時期。中和器とは無関係 |
290と920は、どちらも中和器に関わる表示ですが意味が違います。
290は詰まりや不具合、920は寿命です。
88・888も「使えるけれど何か知らせている」という点で920と似ていますが、こちらは機器全体の点検時期を示すもので、放置しても機器が止まることはありません。
意味と解除の考え方はノーリツ給湯器のエラー888(88)解除方法で解説しています。
よくある質問
Q1. 920が出ていますが、お湯は使えています。急いだほうがよいですか?
すぐに使えなくなるわけではありませんが、放置はすすめられません。
920は中和器の寿命が近づいていることを知らせる表示で、しばらくすると930に変わり給湯器が使えなくなります。
920の段階なら、見積もりを比べたり工事日を調整したりする時間があります。
お湯が止まってから探すより、条件のよい選択ができます。
Q2. 設置してまだ数年なのに920が出ました。不良品ですか?
不良品とは限りません。
中和器は一定量のドレン水を中和すると寿命を迎える部品で、年数ではなく使用量で寿命が決まります。
家族が多くお湯の使用量が多い家庭や、暖房でも使っている家庭では、年数の割に早く到達することがあります。
気になる場合は、訪問時に使用状況とあわせて確認してみてください。
Q3. 中和器だけ交換すればまた10年使えますか?
機器全体の状態によります。
中和器を交換しても、他の部品の劣化までリセットされるわけではありません。
使用年数が10年に近い場合、中和器の交換後まもなく別の部品で修理が必要になることもあります。
「中和器だけ替えた場合、あと何年使える見込みか」を訪問時に確認したうえで、本体交換と比較してください。
Q4. 給湯器の下から水が出ていますが、中和器が壊れたのですか?
高効率タイプでは、ドレン水が排出されるのは正常な動作です。
排水量は約80〜100cc/分、排水時の温度は約30℃前後とされています。
ドレン配管から出ているのであれば異常ではありません。
一方、本体の底面や接続部から染み出している場合は別の問題が考えられるため、どこから出ているかを確認してください。
Q5. 賃貸物件で920が出たら、どうすればよいですか?
まず貸主または管理会社へ連絡してください。
給湯器は建物側の設備として扱われることが多く、交換費用の負担者があらかじめ決まっていることがあります。
その際、920が寿命予告であり、放置すると930に変わってお湯が出なくなることを伝えてください。
先に伝えておけば、お湯が止まる前に手配してもらえる可能性が高くなります。
まとめ
920は中和器の寿命予告、930は寿命告知による機器停止です。
920が出ているあいだは、お湯が止まる前に動ける貴重な期間です。
最後に、要点を整理します。
- 920はお湯が使える状態での予告、930になると使えなくなる
- 中和器はドレン水(酸性水)を中和する部品で、炭酸カルシウムが使われている
- 寿命は年数ではなく、中和したドレン水の量で決まる
- 使用量が多い家庭では、年数の割に早く出ることがある
- 中和器交換の参考費用はガス給湯器で17,000円〜48,500円程度
- 使用年数が10年に近ければ、本体交換との比較が現実的
- ドレン配管からの排水は正常。水漏れではない
920が出た日に連絡を入れておけば、選択肢を持ったまま決められます。
930に変わってからでは、その余裕がなくなります。

